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近年、DXの推進が世界的に急がれています。しかしその中で、日本の中小企業については、DXが思うように進んでいません。
では、必要性が高いにも関わらず、中小企業でのDXの取り組みが進まないのは何故なのでしょうか。
今回は、その理由とDX推進のポイントについてわかりやすく解説します。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?
まずは、DXとは何なのか確認していきましょう。
DXについて、経済産業省は次のように定義しています。
(経済産業省『デジタルガバナンス・コード2.0』より)
デジタル技術を活用すれば、企業は生産性を向上させたり顧客に新たな体験を付与したりすることが可能になります。これにより、市場における競争力を高めていくことが、DXです。
Webシステムや産業ロボット、AI、IoTなど、デジタル技術は日々進化しています。これらをうまく取り入れ(デジタル化)、ビジネスモデルなどを変革していくことで、DXは進められていきます。
中小企業におけるDXの現状・課題
独立行政法人 中小企業基盤整備機構の調査では、中小企業におけるDXの取り組み状況について、次の結果が発表されています。
2022年 | 2023年 | |
既に取り組んでいる | 7.9% | 14.6% |
取り組みを検討している | 16.9% | 16.6% |
必要だと思うが取り組めていない | 34.1% | 31.6% |
取り組む予定がない | 41.1% | 37.2% |
(独立行政法人 中小企業基盤整備機構『中小企業の DX 推進に関する調査(2023 年)』)
上表では、DXに取り組んでいる中小企業は増加傾向にあるものの、いまだ全体の約7割が取り組みを始めていないことがわかります。取り組む予定がない企業も全体の4割近く存在していることからも、DXはスムーズに進んでいないと言えるでしょう。
激しい競争にさらされている中小企業にとって、DXの推進は喫緊の課題です。それにも関わらず取り組みが進んでいないのには、リソース(予算・人材)やITに関する理解度などが影響していると考えられます。中小企業では、これらの点が大企業に比べ不足しているため、DXが思うように進まないのです。
中小企業のDXが進まない理由
中小企業基盤整備機構の調査では、中小企業が抱える課題について、以下のような調査結果を発表しています。
【DXに取り組むにあたっての課題(2023年)】
- ITに関わる人材が足りない・・・28.1%
- DX推進に関わる人材が足りない・・・27.2%
- 予算の確保が厳しい・・・24.9%
- 具体的な効果や成果が見えない・・・21.0%
- 何から始めてよいかわからない・・・19.9%
- DXに取り組もうとする企業文化・風土がない・・・16.3%
- 経営者の意識・理解がたりない・・・10.6%
- 情報セキュリティの確保が難しい・・・10.6%
- ビジョンや経営戦略、ロードマップがない・・・9.8%
- 既存システムがブラックボックス化している・・・5.4%
- その他・・・2.2%
(独立行政法人 中小企業基盤整備機構『中小企業の DX 推進に関する調査(2023 年)』)
ここからは、上記の結果から考えられる、中小企業のDXが思うように進まない4つの理由についてみていきましょう。
【理由①】認識が不足している
中小企業では、DXに関する認識が不足しています。多くの経営者および従業員が、DXそのものはもちろん、必要性や進め方を理解できていないという現状があります。
DXを理解していなければ、当然取り組みも進みません。DXの認知拡大は、中小企業がまず解決すべき大きな課題です。
【理由②】DX人材が不足している
DXを推進する技術や知識、経験を有する人材を、DX人材と呼びます。
DX推進にはDX人材が必要になりますが、日本ではこの人材不足が深刻です。数少ないDX人材はIT企業や大企業に流れることが多く、現状では、中小企業はDX人材を十分に確保できていません。
【理由③】予算が確保できていない
DXには、Webシステムを導入したりDX人材を確保したりするために、多額のコストがかかります。中小企業の予算は大企業と比べて小規模になるため、コストに見合う予算を確保するのが難しく、DXを進められずにいるケースは少なくありません。
【理由④】変革を恐れている
経営者や従業員が変革を恐れていて、DXが進まないというケースも見られます。変革には労力やコストが必要になるため、それを嫌がって、現状維持に固執してしまう企業は一定数あるでしょう。
特に、現状の事業が大きな問題を抱えていない場合に、この課題は発生しやすいです。
DXを推進するメリット
DX推進にあたって、中小企業は多くの課題を抱えています。しかし、DXのメリットを鑑みると、これらの課題を乗り越える価値は十分にあります。
ここでは、DX推進によって中小企業が得られる主なメリットを3つ挙げていきましょう。
【メリット①】競争力の強化
DXは、企業の競争力強化に効果的です。
データを活用したビジネス推進によって、より顧客のニーズにマッチした商品やサービスを提供できるようになるためです。また、デジタル技術の活用により業務が自動化・効率化されれば、それまでより生産コストを削減することも可能になり、さらに競争力は向上するでしょう。
【メリット②】新たなビジネスモデルの構築
DXにより、企業は新たなビジネスモデルを構築することができます。デジタル技術を用いた画期的な商品・サービスの提供は、顧客に新しい体験を与え、新規顧客やリピーターの増加に繋がるでしょう。
また、DXによる業務効率化で削減されたリソースをコア業務に割けば、新たなビジネスモデルの構築により力を入れることも可能です。
【メリット③】データドリブンな意思決定
DXが実現すれば、その企業ではデータドリブンな(データを基にした)経営が可能になります。勘や経験ではなく、データに基づいた意思決定を行うことで、ビジネスはよりロジカルで効率的なものとなるでしょう。
また、Webツールなどの導入により社内での情報共有を円滑化しておくことは、業務効率化や業務の標準化、従業員のモチベーションアップなどにも役立ちます。
DXの必要性については「DXはなぜ必要なのか?推進しないリスクや成功させるポイント等を解説」でもご紹介しています。
中小企業のDX推進ガイド
経済産業省では、中堅・中小企業向けに、DXの推進ガイドとして、『デジタルガバナンス・コード 実践の手引き2.0』を発表しています。ここではその中の『DXの成功のポイント』を基に、DX推進に必要な次の5つのポイントをご紹介します。
1.経営者が先導する
DX推進にあたっては、経営者のリーダーシップが非常に重要です。理解不足や変化への拒否が課題として残る中小企業では、経営者が先導してDXに取り組み、従業員の意識を変えることが必要だからです。経営者が先導すれば、スピード感を持ってDXを実現することも可能でしょう。
しかしそのためには、新たな視点の導入や支援者との出会いなど、経営者の意識を変えるための機会創出が必要です。
2.身近なところから始める
DXは、身近なところ・取り組みやすいところから始めましょう。例えば、個々の業務のデジタル化や情報のデータ化など。
小さな取り組みからDXのノウハウを得て、そこから取り組む範囲を広げていけば、着実にステップアップしながらDXを進めることができます。
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DXでは、複数のWebシステムを導入することになります。これにより、パスワード管理の手間は増え、セキュリティリスクも高まるでしょう。
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3.DX人材の確保
前述のとおり、DX推進にはDX人材の確保が欠かせません。しかし、DX人材は慢性的に不足しており、これを確保するのは至難の業でしょう。
そこで検討したいのが、ITベンダーやコーディネーターなど外部企業・組織のサービス活用です。DX人材を有する外部企業の支援を受けながらDXを推進し、自社でも人材育成を実施していくことが、人材面での解決策となるでしょう。
4.ビジネスモデルの変革
DXでは、顧客に新たな価値を提供することもひとつの大きな目的です。そのためには、デジタル技術を活かし、既存のビジネスモデルを変革していかなければなりません。
DX推進の中でデジタル技術に関するノウハウを蓄積していけば、その組織は変化に強くなり、顧客のニーズに合わせて変わり続けることができる「強い組織」になるでしょう。
5.中長期的なビジョンを明確にする
DX推進にあたっては、中長期的なビジョンが必要です。DXは簡単な取り組みで完了するものでなく、その実現には長い時間とコストが必要だからです。
よって、DXの推進計画は複数年にわたる中長期的なものとし、施策の方向性がぶれないよう、先のビジョンも明確にしておかなければなりません。
中小企業DX化のための補助金制度
予算の確保が難しい点は、中小企業のDX推進を妨げる要因のひとつです。この課題解決に役立つのが、DX関連の補助金制度。具体例としては、次のような補助金が挙げられます。
- 【IT導入補助金】
- 中小企業・小規模事業者が課題解決のために行うITツールの導入に際して、その経費の一部を補助する制度
- 【事業再構築補助金】
- ポストコロナ・ウィズコロナにおける社会変化への対応のため、中小企業等の事業再構築を支援する補助金
- 【ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金】
- 中小企業等が行う、革新的な製品・サービス開発、生産プロセスなどの省力化に必要な設備投資などの費用を支援する補助金
DX推進にあたっては、これらの補助金の利用も検討しましょう。
ただし、補助金によって応募要件は異なります。まずはこの要件をよく確認し、自社の取り組みに適用可能か適切に判断するようにしてください。
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まとめ
中小企業は、DX推進にあたってさまざまな課題を抱えています。DXを実現するためには、この課題をひとつずつ解決し、取り組みを少しずつでも前へ進めていかなければなりません。
DXに取り組まないままでいると、やがて企業は競争力を失ってしまうでしょう。これを避けるためにも、まずは身近で取りかかりやすい部分から、デジタル化を始めるようにしましょう。