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中小企業等を支援する補助金に、事業再構築補助金という制度があります。この制度では、事業の再構築にチャレンジする企業に対し、その事業経費の一部を補助します。
中小企業では、金銭的なリソース不足により事業改変を諦めるケースも多いですが、この補助金はそんな企業にとっての大きな助け舟となるでしょう。

ただし、事業再構築補助金を受け取るためには複数の手続きが必要で、その一連の流れもやや複雑です。
そこで今回は、事業再構築補助金の概要と、採択後の流れについてわかりやすく解説します。

事業再構築補助金とは

事業再構築補助金とは、中小企業や中堅企業、個⼈事業主、企業組合等に向けた国による補助金制度。その採択は中小企業庁が行なっています。

この補助金制度は、2020年以降の新型コロナウイルス流行の影響により、多くの企業で売上が大幅に減少したことを受け、2021年3月から開始されました。
補助の対象となるのは、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の社会的な変化に対応するために、事業の再構築を行う中小・中堅企業等です。ここでいう事業再構築とは、事業の新分野展開や事業転換、業種転換、業態転換、事業再編等を指します。

事業再構築補助金は2024年1月現在までに第11回までの公募が完了し、第10回までの結果が公表されています。第10回の採択率が48.1%、第9回が45.4%であったことを踏まえると、申請により補助金を受け取れる確率は五分五分だといえるでしょう。

事業再構築補助金の申請枠

事業再構築補助金には、次の8つの申請枠が設定されています。

  • 成長枠
  • グリーン成長枠(エントリー)
  • グリーン成長枠(スタンダード)
  • 卒業促進枠
  • 大規模賃金引上促進枠
  • 産業構造転換枠
  • 最低賃金枠
  • 物価高騰対策・回復再生応援枠

※最新の第11回では、従来のサプライチェーン強靭化枠は削除されています

申請枠の種類によって、申請要件や補助金額の上限、補助率は異なります。そのため、企業が補助金を申請する場合には、事前に各要件をよく確認し、自社に合った枠を選択しなければなりません。

また、補助金には対象経費と対象外経費があるので、これもよくチェックしておくようにしましょう。

事業再構築補助金の採択後の流れ

 

事業再構築補助金は、採択を受けた後にも、複数の工程が発生します。ここでは、その流れをみていきましょう。

事業再構築補助金の採択後の一連の流れは、次のとおりです。

事業再構築補助金の採択後の流れ Smallit クラウド軍師

  1. 採択通知
  2. 交付申請
  3. 交付決定通知書の受領
  4. 補助事業実施
  5. 実績報告
  6. 確定検査
  7. 補助金の振り込み

このように、応募申請を行なって採択を受けた事業者は、あらためて交付申請を行なった後に実際の事業を行い、その後検査を受けてから、補助金を受け取ることになります。補助金は後払いとなるため、事業実施時にあたっては、企業は必ず費用を立て替えるための資金を準備しておくようにしましょう。

事業再構築補助金は、事務局を相手に手続きを進めていきます。各手続きは電子申請システムにより電子化されているため、紙の書類をやり取りする必要はありません。

ここでご紹介した採択後の各工程については、次章以降、詳しく解説していきます。

【採択後の流れ①】採択通知

事業再構築補助金の応募申請を行なった後には、申請の締め切り日から2,3ヶ月程度後に、採択結果の公表が行われます。その結果は、登録メールアドレスへの通知、またはポータルサイトにアクセスして、確認することが可能です。

この工程での注意点が、「採択結果はなるべく早くに確認すること」。事業再構築補助金の補助事業は、あらかじめ実施期間が決められているためです。採択結果の確認が遅くなると、その分事業の実施期間が短くなってしまう可能性があるので、採択結果が出るであろう時期には、こまめにメールやサイトをチェックするようにしてください。

採択後に補助金を辞退する場合

採択後に補助金を辞退する時には、補助金のポータルサイト「jグランツ」を通して手続きを行います。マイページから必要事項を入力の上、辞退申請を行いましょう。

ただし、一度辞退してしまうと、それを取り消すことはできません。辞退の判断は慎重に行うようにしてください。

採択前に補助対象経費を支払いたい場合

補助金の支払い対象は、採択後に実施した事業における対象経費です。よって基本的に、採択前の経費は補助対象になりません。

ただし、「事前着手申請」制度を活用することで、採択前の経費を補助対象とできる場合があります。
この制度を利用すれば、事業に早期着手することも可能になりますが、その申請手続きは交付決定日までに行わなければならないので、スケジュールは綿密に管理しておくべきでしょう。

【採択後の流れ②】交付申請

交付申請とは、採択を受けた補助金の給付を申請する手続きのことです。採択通知を受けた後には、速やかにこの手続きを行いましょう。

交付申請の手続きは、採択結果の確認と同じように、ポータルサイトである「jグランツ」から行うことができます。
ただし、この手続きには複数の書類が必要です。スムーズに手続きを進められるよう、書類は事前に準備しておくようにしましょう。書類の詳細については、事業再構築補助金のWebサイトからご確認ください。

この交付申請にあたっては、計画に基づく経費明細等を事務局に提出することになります。そしてそれを受けた事務局は、経費が適切なものであるか精査します。
精査の結果によっては、経費の一部が補助対象外となることもあるので、「採択されても、全ての経費が必ず補助されるわけではない」という点は押さえておきましょう。

また、もし事業計画を変更したい場合には、交付申請時にその旨を記載した書類を提出しなければなりません。変更の内容によって、用意すべき書類や記載すべき内容は異なるので、変更を希望する場合は一度事務局に問い合わせるようにしてください。

【採択後の流れ③】交付決定通知書の受領

交付申請が完了したら、その後30日前後で、補助金の交付を受けられるかどうかが事務局によって改めて決められます。その結果はポータルサイト「jグランツ」のマイページに通知されるので、必ず確認しておくようにしましょう。

交付が決定した場合には、マイページには交付決定通知書が届きます。これを受けた事業者は、事業再構築補助金の正式な「補助事業者」として、事業を行うことが可能です。

交付決定後に補助金を辞退する場合

万が一、この段階で補助金の受け取りを辞退する時には、「jグランツ」から辞退申請の手続きを行わなければなりません。その期日は交付決定通知書を受領してから10日以内なので、手続きを忘れないよう注意しましょう。

【採択後の流れ④】補助事業実施

交付決定通知を受けたら、いよいよ補助事業実施の工程に入ります。
ただし、補助事業を始められるのは、決定通知書に記されている交付決定日からです。「事前着手申請」済みの場合を除き、交付決定日より前の事業は補助の対象とはならないので注意しておきましょう。

事業再構築補助金制度では、対象の補助事業の実施期間が決められています。各申請枠の実施期間は次のとおりです。

  • 成長枠・・・交付決定日~12ヵ月以内
  • グリーン成長枠・・・交付決定日~14ヵ月以内
  • 卒業促進枠・・・交付決定日~成長枠・グリーン成長枠の事業計画期間終了まで
  • 大規模賃金引上促進枠・・・交付決定日~成長枠・グリーン成長枠の事業計画期間終了まで
  • 産業構造転換枠・・・交付決定日~12ヵ月以内
  • 最低賃金枠・・・交付決定日~12ヵ月以内
  • 物価高騰対策・回復再生応援枠・・・交付決定日~12ヵ月以内

※ 「成長枠」「産業構造転換枠」「最低賃金枠」「物価高騰対策・回復再生応援枠」については、補助金の交付候補者の採択が発表された日から14ヵ月後の日まで、「グリーン成長枠」については16ヶ月後の日までとなります

(事業再構築補助金事務局『事業再構築補助金 公募要領』より)

事業者は、12〜14ヶ月間の間に、設備の購入や検収、支払い等の事業工程を終わらせなければなりません。この期間をなるべく長く確保するためにも、前述の交付申請はできるだけ早く行うようにしましょう。
また、確実に期間内に事業を終わらせるには、スケジュール策定も綿密なものにしておきましょう。

補助事業実施期間に計画変更する場合

補助事業の実施中には、計画を変更しなければならなくなることもあるでしょう。そのような場合にも、事務局とのやりとりは必要です。ポータルサイト「jグランツ」から計画変更の申請手続きを行いましょう。

変更手続きには、補助金のWebサイト内の参考様式「補助事業計画変更(等)承認申請書 別紙(新旧対比表)」(様式第3-1)を利用します。ただし、変更内容によっては見積書や連携事業者の承認等の添付書類が必要になります。

また、設備投資の納期が実施期間内に間に合わないという場合には、期日延期の手続きも行わなければなりません。手続きを行えば、事業者側に非のない限りは、3ヶ月間期日を延期することが可能です。
この手続きも、「jグランツ」を通して行うようにしましょう。

【採択後の流れ⑤】実績報告

補助事業が完了したら、30日以内もしくは事業完了期限日までに、事務局に対して実績報告を行う必要があります。設備の購入から支払いまで、全ての事業計画が済んだら、速やかに「実績報告書」を作成し、提出しましょう。

またこの制度では、場合によっては、補助事業が完了していない段階で事務局から遂行状況の報告を求められることもあります。そのような場合には、「遂行状況報告書」を用い、「jグランツ」を通して事業の進行状況などを報告しなければなりません。
ただし、もし事務局から状況報告を求められた段階で事業が完了し「実績報告書」の作成を進めているような場合には、状況報告への対応は不要です。

実績報告に必要な書類

実績報告では、経費区分ごとに規定の書類を添付する必要があります。経費区分ごとの添付書類は、下表のとおりです。

経費区分(補助対象)必要な添付書類
全ての経費区分
  • 出納帳のコピー(補助事業関連部分)
  • 通帳のコピー(補助事業関連部分と金融機関名・口座番号・名義等が記載された部分)
建物費
  • 見積依頼書(仕様書)
  • 見積書・相見積書(1社のみの場合はその業者を選んだ理由)
  • 契約書
  • 重要事項説明書(新築の場合)
  • 納品書・引渡書・完了報告書
  • 検収書
  • 工事完了後の写真・図面
  • 工事完了後の工事費内訳書・明細書
  • 請求書
  • 代金を支払済であることを証明する証票・取引記録のコピー
  • 領収書(ある場合)
  • 預かり金元帳(参考様式19)
  • 源泉所得税の納付書コピー 等
建物費(一時移転経費)
  • 一時移転先に移転していることがわかる写真
  • 退去したことがわかる証憑
  • 退去確認書・解約通知書
  • 移送先・発送先リスト 等
機械装置・システム構築費
  • 見積依頼書
  • 見積書・相見積書(1社のみの場合はその業者を選んだ理由)
  • 契約書
  • 検収書
  • 設置後また製造番号の写真
  • システムのトップ画面のスクリーンショット
  • 請求書
  • 代金を支払済であることを証明する証票
  • 領収書(ある場合)
  • 預かり金元帳(参考様式19)
  • 源泉所得税の納付書コピー 等
技術導入費
  • 見積書
  • 契約書
  • 請求書
  • 代金を支払済であることを証明する証票
  • 領収書(ある場合)
  • 預かり金元帳(参考様式19)
  • 源泉所得税の納付書コピー 等
専門家経費
  • 見積書・相見積書
  • 専門家就任承諾書(参考様式10)
  • 専門家業務報告書(参考様式11)
  • 旅費明細書(参考様式13)
  • 宿泊先の領収書
  • 航空券や切符等の領収書・請求書
  • 代金を支払済であることを証明する証票
  • 領収書(ある場合)
  • 預かり金元帳(参考様式19)
  • 源泉所得税の納付書コピー 等
運搬費
  • 見積書
  • 移送先・発送先リスト
  • 請求書
  • 代金を支払済であることを証明する証票
  • 領収書(ある場合)
  • 預かり金元帳(参考様式19)
  • 源泉所得税の納付書コピー 等
クラウドサービス利用費
  • 見積書
  • 契約書
  • 請求書
  • 代金を支払済であることを証明する証票
  • 領収書(ある場合)
  • ログイン後の登録者情報画面のスクリーンショット
  • 開発したアプリケーション等のトップページのスクリーンショット
  • 預かり金元帳(参考様式19)
  • 源泉所得税の納付書コピー 等
外注費
  • 見積書
  • 契約書
  • 納品後の加工品等の写真
  • 納品書・引渡書
  • 検収書
  • 請求書
  • 代金を支払済であることを証明する証票
  • 領収書(ある場合)
  • 預かり金元帳(参考様式19)
  • 源泉所得税の納付書コピー 等
知的財産権等関連経費
  • 見積書
  • 契約書
  • 公的機関の書類
  • 請求書
  • 代金を支払済であることを証明する証票
  • 領収書(ある場合)
  • 預かり金元帳(参考様式19)
  • 源泉所得税の納付書コピー 等
広告宣伝・販売促進費
  • 見積書
  • 契約書
  • 検収書
  • 請求書
  • 代金を支払済であることを証明する証票
  • 領収書(ある場合
  • 補助対象物件受払簿(参考様式4)
  • 看板等の写真
  • HPのスクリーンショット
  • 預かり金元帳(参考様式19)
  • 源泉所得税の納付書コピー 等
研修費
  • 見積書
  • 申込書
  • 契約書(ある場合)
  • 請求書
  • 代金を支払済であることを証明する証票
  • 領収書(ある場合)
  • 研修終了を確認できる書類
  • 預かり金元帳(参考様式19)
  • 源泉所得税の納付書コピー 等

※必要書類については多くの規定が存在します。詳細については、事業再構築補助金のWebサイトをご確認ください。

事業完了期日までに実績報告がなされない場合、補助金は交付されません。添付書類の種類はかなり多いため、書類の用意は早いうちから始めておき、期日に余裕を持って報告を完了できるようにしておきましょう。

【採択後の流れ⑥】確定検査

実績報告後には、事務局が確定検査を行います。この確定検査とは、実際に給付する補助金額を確定するための検査のこと。事務局は、事業者が提出した報告書や添付書類を詳しく確認し、事業の内容が適切であったかを検査して、補助金額を決定します。

この検査においては、書類の確認だけでなく、事務局のスタッフが現地を訪れ実地検査を行うこともあります。導入した設備や建物が、計画・報告どおりにきちんと整備されているか・運用されているかを実際に見て確かめるためです。
具体的には、事務局は事業の成果や財産の活用状況、補助金の使途などを確認します。

この検査で問題が発覚した場合、事業者は補助金を受けられなくなる可能性があります。また、違反行為が発覚した時には、事業者名が公表されることもあります。

【採択後の流れ⑦】補助金の振り込み

確定検査の結果、事業実績に計画との乖離があったり補助金の使途に問題があったりしなければ、
実際に支払われる補助金の金額が決まります。金額が決まれば、ポータルサイトを通して事務局から「補助金確定通知書」が届くので、マイページから確認するようにしましょう。

通知書を受けたら、次に補助金の精算請求を実施します。「補助金精算払請求書」を作成し、事務局へ提出しましょう。
補助金の金額が決まっても、この精算請求の手続きを行わなければ補助金の振り込みは行われないのでご注意ください。

請求書を提出し事務局がそれを承認すれば、2週間〜2ヶ月程度で補助金が指定口座へ振り込まれます。

このように、事業再構築補助金は、応募申請から補助金の振り込みまでにかなりの時間を要します。全体を通して1年以上はかかると考えてください。
長期的なプロジェクトになることを考えると、事業再構築補助金の利用にあたっては、事前の明確なビジョンや綿密な計画策定が非常に重要だといえるでしょう。また、補助金制度の概要や流れについても、よく理解しておくようにしましょう。

また、この補助金は振り込まれて終わりではありません。事業完了後にも、事業者は数年に渡って事務局へ「事業化状況等報告」を行うことになります。

補助金を受け取るために必要な申請は2つある

ここまでご紹介したとおり、事業再構築補助金が企業へ振り込まれるまでには、複数の手続きが必要です。
その中で、特に注意しておきたいのが、「補助金を受け取るためには2度申請手続きを行わなければならない」ということ。1度目は最初の公募時に行う「応募申請」、2度目は採択通知後に行う「交付申請」です。
しかし、採択を受けた事業者の中には、後者の「交付申請」手続きを忘れてしまう事業者もいるようです。

補助金の手続きは、やや複雑です。これに慣れているという担当者はあまりいないでしょう。担当者が「申請が2度必要である」ということを知らないことも、十分にあり得ます。
しかし、「応募申請」はもちろん、「交付申請」も行わなければ、補助金の交付は決まらず、金銭は支給されません。よって、「事業再構築補助金の請求にあたっては、2度の申請を行う」ということを、必ず押さえておくようにしましょう。

事業再構築補助金の採択後に必要な報告は3つある

事業再構築補助金の手続きの過程では、事務局への報告が求められます。事業者が対応しなければならない報告の種類は、次の3種類です。

  • 【遂行状況報告】
    補助事業を開始してから3ヶ月後に行わなければならない進捗の中間報告のこと
    報告依頼は事務局からメールで行われる
  • 【実績報告】
    補助事業が完了してから行う事業実績の報告のこと
    事業完了後30日以内、または補助事業完了期限日のうち早い方が報告の期日となる
  • 【事業化状況等報告】
    補助金を受け取った後に行う状況報告のこと
    事業完了日の属する年度を含む5年間・6回の報告が必要になる

この制度では、補助金を受け取るまでに「遂行状況報告」と「実績報告」という2種類の報告を、事務局に対し行わなければなりません。これらの報告内容に問題がなければ、企業は補助金を受け取ることができます。

ただし、補助金を受け取った後にも、報告義務は数年に渡って続きます。それが、「事業化状況等報告」です。
この手続きにおいては、事業化や知的財産権の観点からみた補助事業の成果を報告することになります。
手続きは補助金を受け取って終わりではないので、数年続く報告手続きには、必ず対応するようにしましょう。

採択後に返還する収益納付について

補助金は、返済を不要とする制度です。しかし場合によっては、交付された補助金を返還しなければならないことがあります。
これが、「収益納付」というルールです。

「収益納付」は、補助金を受けて補助事業を行い、その利益(直接収益)が補助金の額以上になった場合に、一度受けた補助金を国庫に返納しなければならないというもの。この返納は、補助金額が上限となります。
これは、各種補助金について定めた補助金適正化法に記載されているルールです。補助金は国民からの税金を原資としたものであるため、このようなルールが存在するのですね。

ただし、「収益納付」の算定の仕方は、補助金制度によって変わります。詳しくは、公募要領や事業の手引き等を確認するようにしてください。

また、「収益納付」とは別に、補助金の申請・利用にあたって虚偽申告や不正受給があった場合も、事業者は受けた補助金を返還しなければならないと決められています。

事業再構築補助金に採択されるためのポイント

近年の事業再構築補助金の採択率は40%代。申請を行なった全ての企業が採択されるわけではありません。
補助金を受けられる確率を上げるためには、申請手続きにおいて、次のポイントを意識することが大切です。

  • ①書類の不備がないか確認する
  • ②審査官に伝わりやすい事業計画書を作成する
  • ③コロナの影響を受けたことを明記する

ここでは、上記3つのポイントについて詳しくみていきましょう。

【ポイント①】書類の不備がないか確認する

補助金の採択を受けるためのポイントとしてまず重視したいのが、「提出書類に不備がないか確認する」こと。
事業再構築補助金を申請するためには、複数の書類の準備が必要です。補助金の獲得を目指すなら、まず必要書類の不備をなくすようにしましょう。

この制度では、実際に書類の不備によって不採択となる事業者が多く、その割合は10%にも上るようです。中には事務局から書類を差し戻され、その後再提出できる場合もあるようですが、申請期日が迫っていてこの対応ができないことも考えられるので、書類の準備はなるべく「最初から完璧」を目指すべきでしょう。

またそのためには、対象回の補助金の公募要領をよく確認し、期日に余裕を持って書類の準備を進めるようにしてください。

【ポイント②】審査官に伝わりやすい事業計画書を作成する

事業再構築補助金の審査では、提出した事業計画書の内容が重視されます。そのため、事業計画書の作成には力を入れるようにしましょう。

この時気をつけたいのが、「審査官に伝わりやすい内容で計画書を作成する」こと。
審査を行う事務局の審査官は、自社が扱う分野の専門家ではありません。そのため、事業計画書を専門知識があることを前提に作成したり、専門用語を多用したりしてしまうと、審査官に計画がうまく伝わらず、採択を見送られてしまう可能性があります。

事業計画書は、誰にでもわかる内容で作成するのが基本。専門的な内容はなるべく避け、わかりやすさを重視するようにしましょう。

【ポイント③】コロナの影響を受けたことを明記する

事業再構築補助金は、新型コロナウイルス流行の影響を受けて売上が低迷し、そこから事業の再構築にチャレンジする中小企業等を支援するための制度です。そのため、事業計画書においては、新型コロナウイルスの大きな影響を受けたことを明記し、自社がこの制度の対象であることをアピールすべきです。

ただし、第10回の公募以降は、補助金の申請要件から「新型コロナウイルスによる売上高の減少」が削除され、代わりに付加価値額(営業利益・人件費・減価償却費を足した額)の向上が追加されています。とはいえ、この制度がコロナ禍における中小企業等の支援を目的にしたものであることに変わりはなく、コロナ禍の影響を主張することは採択の可能性を高めるために有効だと考えられます。

よって、提出する事業計画書は、コロナ禍の影響を盛り込む内容で作成すると良いでしょう。

まとめ

中小・中堅企業の事業再構築にとって、資金確保は大きな課題ですが、事業再構築補助金をはじめとした補助金制度の利用によって、この課題は解決できる可能性があります。事業におけるチャレンジの際には、補助金・助成金制度とその内容についても調べ、自社で使える補助金・助成金がないか、必ず確認するようにしましょう。

またご紹介したように、事業再構築補助金を受け取るためには複数の手続きが必要で、手続きの完了までには時間もかかります。補助金や助成金は簡単に、またすぐに受け取れるものではないことも覚えておきましょう。