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2020年以降、新型コロナウイルスの流行により、多くの企業が売上低迷の危機に陥りました。特に中小企業のダメージは大きく、倒産に追い込まれた会社は少なくありません。中には、現在も事業を立て直している最中だという会社もあるでしょう。

このような社会変化による事業の再構築については、国の事業再構築補助金を活用できる可能性があります。
では、この事業再構築補助金とはどのようなものなのでしょうか。また、申請にあたっては、どのような要件を満たす必要があるのでしょうか。

今回は、事業再構築補助金についてわかりやすく解説します。

事業再構築補助金とは

事業再構築補助金とは、中小企業庁による中小企業に向けた補助金です。

これは、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の社会変化に対応する中小企業の新たな取り組みを支援するもの。新分野展開・事業転換・業種転換・業態転換・事業再編などといった事業再構築を対象に、令和5年(2023年・第11回)においては、「成長枠」や「グリーン成長枠」をはじめとした8つの枠が用意されました。

事業再構築補助金では、枠の種類や要件によって補助金額や補助率が異なります。場合によっては1.5億円の高額な補助を受けることも可能なので、事業の再構築を予定している中小企業は、この補助金制度の積極的な活用を検討すべきでしょう。

令和5年における事業再構築補助金の予算額は5,800億円で、前年より323億円削減され、採択数も減少傾向にあります。令和6年についてはまだ詳細が発表されてはいませんが、予算額や採択数が減ることはあっても、引き続きこの補助金制度は継続されると予想されます。

事業再構築補助金|8つの申請枠

事業再構築補助金(第11回)には、次の8つの申請枠が整備されています。

  • ①成長枠
  • ②グリーン成長枠(エントリー)
  • ③グリーン成長枠(スタンダード)
  • ④卒業促進枠
  • ⑤大規模賃金引上促進枠
  • ⑥産業構造転換枠
  • ⑦最低賃金枠
  • ⑧物価高騰対策・回復再生応援枠

ここからは、公募要領についてまとめた中小企業庁『事業再構築補助金の概要』を基に、各枠における申請要件についてご紹介します。

①成長枠

「成長枠」は、成長分野に向けた大胆な事業再構築に取り組む事業者を対象にした申請枠です。

成長枠の申請要件

  • 事業計画について認定経営革新等支援機関の確認を受けること
  • 付加価値額を向上させること(年率平均4.0%以上の増加)
  • 取り組む事業が過去から今後いずれかの10年間で、市場規模が10%以上拡大する業者・業態(指定リスト有り)に属していること
  • 事業終了後3〜5年で、給与支給総額を年率平均2%以上増加させること

成長枠の補助金額

従業員規模

補助上限額

補助率

20人以下

2,000万円

中小企業→2分の1(大規模な賃上げを行う場合は3分の2)

中堅企業→3分の1(大規模な賃上げを行う場合は2分の1)

21〜50人

4,000万円

51〜100人

5,000万円

101人以上

7,000万円

②グリーン成長枠(エントリー)

「グリーン成長枠」は、グリーン分野での事業再構築において高い成長を目指す事業者を対象にした申請枠です。中でも「エントリー」は、要件が緩和された枠を指します。

グリーン成長枠(エントリー)の申請要件

  • 事業計画について認定経営革新等支援機関の確認を受けること
  • 付加価値額を向上させること(年率平均4.0%以上の増加)
  • グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する取り組みとして記載があるものに該当し、その取り組みに関連する1年以上の研究・技術開発または従業員の5%以上に対する年間20時間以上の人材育成(外部研修・専門家によるOJT)を併せて行うこと
  • 事業終了後3〜5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させること

グリーン成長枠(エントリー)の補助金額

従業員規模

補助上限額

補助率

中小企業

20人以下

4,000万円

2分の1(大規模な賃上げを行う場合は3分の2)

21〜50人

6,000万円

51人以上

8,000万円

中堅企業

1億円

3分の1(大規模な賃上げを行う場合は2分の1

③グリーン成長枠(スタンダード)

「グリーン成長枠(スタンダード)」は、グリーン分野での事業再構築において高い成長を目指す事業者を対象にした申請枠です。その要件は「エントリー」よりも厳しくなりますが、その分補助上限額も高くなります。

グリーン成長枠(スタンダード)の申請要件

  • 事業計画について認定経営革新等支援機関の確認を受けること
  • 付加価値額を向上させること(年率平均5.0%以上の増加)
  • グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する取り組みとして記載があるものに該当し、その取り組みに関連する2年以上の研究・技術開発または従業員の10%以上に対する年間20時間以上の人材育成(外部研修・専門家によるOJT)を併せて行うこと
  • 事業終了後3〜5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させること

グリーン成長枠(スタンダード)の補助金額

補助上限額補助率
中小企業1億円2分の1(大規模な賃上げを行う場合は3分の2)
中堅企業1.5億円3分の1(大規模な賃上げを行う場合は2分の1)

④卒業促進枠

「卒業促進枠」は、成長枠またはグリーン成長枠の補助事業を通し、中小企業から中堅企業に成長する事業者に対する申請枠のこと。対象事業者に対しては、補助金額の上乗せが行われます。ただし、大規模賃金引上推進枠との併用はできません。

卒業促進枠の申請要件

  • 成長枠またはグリーン成長枠に同一の公募回で申請を行うこと
  • 成長枠またはグリーン成長枠の補助事業の終了後3〜5年で中小企業・特定事業者・中堅企業の規模から卒業すること(中小企業→特定事業者・中堅企業・大企業へ、特定事業者→中堅企業・大企業へ、中堅企業→大企業へ)

卒業促進枠の補助金額

従業員規模

補助金額

補助率

成長枠・グリーン成長枠に準ずる

中小企業→2分の1

中堅企業→3分の1

⑤大規模賃上引上促進枠

「大規模賃上引上促進枠」は、成長枠またはグリーン成長枠の補助事業を通し、大規模な賃上げに取り組む事業者に対する申請枠のこと。対象事業者に対しては、補助金額の上乗せが行われます。ただし、卒業促進枠との併用はできません。

大規模賃上引上促進枠の申請要件

  • 成長枠またはグリーン成長枠に同一の公募回で申請を行うこと
  • 成長枠またはグリーン成長枠の補助事業の終了後3〜5年の間に、事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引き上げること
  • 成長枠またはグリーン成長枠の補助事業の終了後3〜5年の間に、従業員数を年率平均1.5%以上(最低事業計画期間×1人の増員が必要)増員させること

大規模賃上引上促進枠の補助金額

従業員規模補助金額補助率
3,000万円

中小企業→2分の1

中堅企業→3分の1

⑥産業構造転換枠

「産業構造転換枠」は、産業構造の変化等によって、事業の再構築が強く求められる業種・業態の事業者に対し、補助率を引き上げるものです。この枠においては、対象経費として廃業費が追加されており、廃業費がある場合には補助上限額が上乗せされます。

産業構造転換枠の申請要件

  • 事業計画について認定経営革新等支援機関の確認を受けること
  • 付加価値額を向上させること(年率平均3.0%以上の増加)
  • 現在の主たる事業が過去から今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上縮小する業種・業態に属していて、当該業種・業態とは別の業種・業態の新規事業を実施すること
  • 地域の基幹となる大企業の撤退により、市町村内総生産の10%以上が失われると見込まれる地域で事業を行っていて、当該基幹大企業との直接取引額が売上高の10%以上を占めること

※3・4はいずれかを満たせば良い

産業構造転換枠の補助金額

従業員規模

補助上限額

補助率

20人以下

2,000万円

中小企業→3分の2

中堅企業→2分の1

21〜50人

4,000万円

51〜100人

5,000万円

101人以上

7,000万円

※廃業を伴う場合には、廃業費が最大2,000万円上乗せされます

⑦最低賃金枠

「最低賃金枠」は、最低賃金引き上げの影響を受けて、その原資の確保が困難な、特に業況の厳しい中小企業等を対象とした申請枠です。対象事業者に対しては、補助金額の上乗せが行われます。
「最低賃金枠」は、「物価高騰対策・回復再生応援枠」よりも採択率で優遇されます。

最低賃金枠の申請要件

  • 事業計画について認定経営革新等支援機関の確認を受けること
  • 付加価値額を向上させること(年率平均3.0%以上の増加)
  • 2022年1月以降の連続する6ヶ月間のうち、任意の3ヶ月の合計売上高が、2019〜2021年の同3ヶ月の合計売上高よりも10%以上減少していること(※2023年度の場合)
  • 2022年10月から2023年8月までの間で、3ヶ月以上最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員の10%以上いること(※2023年度の場合)

最低賃金枠の補助金額

従業員規模

補助上限額

補助率

5人以下

500万円

中小企業→4分の3

中堅企業→3分の2

6〜20人

1,000万円

21人以上

1,500万円

 

⑧物価高騰対策・回復再生応援枠

「物価高騰対策・回復再生応援枠」は、コロナや物価高騰等によって依然として業況が厳しい事業者を対象とした申請枠です。

物価高騰対策・回復再生応援枠の申請要件

  • 事業計画について認定経営革新等支援機関の確認を受けること
  • 付加価値額を向上させること(年率平均3.0%以上の増加)
  • 2022年1月以降の連続する6ヶ月間のうち、任意の3ヶ月の合計売上高が、2019〜2021年の同3ヶ月の合計売上高よりも10%以上減少していること(※2023年度の場合)
  • 中小企業活性化協議会から支援を受け、再生計画等を策定していること

※3・4はいずれかを満たせば良い

物価高騰対策・回復再生応援枠の申請要件

従業員規模

補助上限額

補助率

5人以下

1,000万円

中小企業→3分の2または4分の3

中堅企業→2分の1または3分の2

6〜20人

1,500万円

21〜50人

2,000万円

51人以上

3,000万円

事業再構築補助金の補助対象経費

サプライチェーン強靱化枠以外・サプライチェーン強靱化枠(2023年は除外)において、事業再構築補助金の補助対象となる経費は、「事業拡大に繋がる事業資産への相応規模の投資」かつ「本事業の対象として明確に区分できるもの」でなければなりません。よって、建物費やシステム構築費等は補助対象となりますが、人件費や光熱水道費などは対象外となります。

また、事業の中にも補助対象外となるものもあるので、補助金申請前にはよく確認しておくことが大切です。

具体的な対象経費については、事業再構築補助金事務局『事業再構築補助金 公募要領』をご確認ください。

審査で重要視されるポイント

事業再構築補助金は、申請したからといって必ず採択されるわけではありません。その採択率は30〜50%程度。採択される可能性を高めるためには、次のポイントを重視し、適切な事業計画を策定する必要があります。

  • 事業計画は適切で実現可能か(資金力、収益性、人員等の観点から)
  • 事業の再構築によって、十分な利益(付加価値)を得られるか
  • 市場・顧客の分析結果を正しく把握し、明確なターゲットを定められているか
  • 自社のポジションを明確化できているか
  • 既存事業との経営における相乗効果が見込めるか
  • 既存サービスとの明確な差別化ができているか
  • 事業の再構築が、地域経済の活性化に貢献するものであるか 等

上記は一例であり、重視すべき項目は他にも存在します。事業再構築補助金事務局『事業再構築補助金 公募要領』には、審査における加点項目が一覧で記載されているので、事業計画はこの項目を基に策定するようにしましょう。

まとめ

事業再構築補助金は、中小・中堅企業を支援する補助金です。中小・中堅企業のチャレンジにおいては、金銭的リソース不足がハードルとなることが多いですが、補助金を活用すればこの課題を解決することも可能でしょう。

ただし、補助金は申請してすぐにもらえるわけではありません。入金は基本的に後払いとなるため、事前の資金の用意は必要です。
また、不採択となる可能性がある点も理解しておきましょう。