AIに教え、AIに教わる。着工前の三日間

この記事を書いたチーム:その他

※この記事は、noteで連載している「AIに、仕事の流れごと任せる」の第5回を転載したものです。元の記事はnoteでお読みいただけます。

株式会社Smallitの足立です。連載「AIに、仕事の流れごと任せる」の5回目です。

前回は、SES事業部の営業が毎日使っている「AIマッチング」というツールを、SMAL WAYでWeb版に作り直すと書きました。比べるのは製造とテストで、当時は2人で2か月、4人月でした。

今回から、実際に試して起きたことを書いていきます。最初の工程は「先に決めきる」です。

SMAL WAYの本領が発揮されるのは、計画に乗って仕事が動き出してから。今回はその前の、準備の話です。それでも、AIと組むだけで準備はずいぶん楽になり、抜けも減りました。

この準備は、言ってみれば、これから仕事を任せるAIに「何をつくり、どう進めるか」を教え込む工程です。ところが、その教え込みを手伝ってくれたのも、AIでした。

最初の3日間、AIに作らせなかった

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試しを始めて最初の3日間、私がやったのは、決めることだけでした。AIを、作る作業には入らせていません。作り始めたのは4日目からです。

といっても、3日間この作業にかかりきりだったわけではありません。本業の合間に、AIから届く問いに答えていた、というのが実際のところです。

正直に言うと、初日は「早く動くものを見たい」とうずうずしていました。AIに任せれば、画面くらいすぐ出てくるのは分かっていたからです。

それでも先に決めきるのが、SMAL WAYの考え方です。何をつくるか、どんな計画で進めるかがあいまいなままAIに任せると、AIはあいまいなりのものを、ものすごい速さで作ってきます。あとで「そうじゃない」と気づいたときに、作り直す量も同じ速さで増えていきます。

最初に決めた4つ

最初の3日間で決めたのは、次の4つです。

1つ目は「やりたいこと」。誰が、何のために、何ができるようになりたいのか。

2つ目は「実現すること」。そのやりたいことを、どんな機能や決まりで形にするのか。

3つ目は「全体像」。画面やデータの流れを含めた、仕組み全体の見取り図です。

4つ目は「マスタスケジュール」。どんな順番で作っていくかを、粗めの工程表に落としたものです。

順番にも意味があります。上が決まらないと、下は決められません。やりたいことがぶれたまま全体像を描いても、描き直しになるだけです。

一方で、ゼロから決めなかったものもあります。開発の決まりごと、サーバーなどの基盤の組み方、そしてAIにどこまで任せてよいかの決まり。この3つは、社内の別のプロジェクトで使っていたものを、そのまま借りてきました。

3つ目の「任せてよい範囲」は、AIに仕事を渡すうえでの土台です。AIが必ず守る約束ごとと、危ない操作を止める仕掛け。そして、AIには専用のアカウントを用意し、仕事に必要な権限だけを渡す。任せる範囲を先に決めておくから、安心して手を離せます。

一度決めて使ってきた型は、次のプロジェクトでも使い回せます。おかげで私は、限られた時間を、このツールならではの「何をつくるか」を決めることに集中して使えました。

AIが聞いてくる、私が決める

決めるといっても、白紙から私が書いたわけではありません。

まずAIが、これまでの資料を読み込んで、私に質問をしてきます。誰が使うのか、何に困っているのか、どこまでを目指すのか。私が答えると、AIがそれを「この仕組みで何を実現したいか」という目標の形にまとめます。最初の下書きは、30分ほどで出てきました。

途中で、AIに「この細かさで決めてよいですか」と聞かれ、私が「そもそも、ここでは何を決めればいいの?」と聞き返す場面もありました。元エンジニアの面目は丸つぶれです。AIは嫌な顔ひとつせず、「この段階では目的と範囲まで。数値や操作は次の段階で決めます」と整理し直してくれました。

抜けていた「移行」に、作る前に気づいた

いちばん効いたと感じたのは、点検です。

AIが書いた目標の下書きを、別の目線で点検させると、抜けや食い違いを次々に指摘してきます。初日の点検で出てきた指摘の中に、「今のデスクトップ版から、Web版へどう移るか」という目標が丸ごと抜けている、というものがありました。

言われてみれば当たり前です。今も営業が毎日使っているツールなので、Web版へ移る段取りが要ります。それが、つくるものの目標から抜けていました。

しかもAIの指摘は、「移行が抜けている」のひとことで終わりませんでした。しばらくはデスクトップ版とWeb版を並べて動かす期間が要ることまで考えたうえで、目標の案を出してきました。作り始めてから気づいていたら、営業のみなさんに迷惑をかけるところでした。

もうひとつ、私からAIに頼んだこともあります。「今のデスクトップ版の機能が、全部入っているか確かめて」。AIは今の機能を142項目に洗い出し、目標の一つひとつと突き合わせてきました。そこでも、足すべき目標が見つかりました。

指摘は1日100件、私が答えたのは15問

作り始めるまでの間、AIからの点検の指摘は1日100件ほど出てきました。ただ、そのすべてが私に回ってきたわけではありません。

判断の要らない指摘は、AIが自分で直します。私のところに来るのは、私が決めないといけないものだけです。しかも、選択肢と、AIのおすすめと、その理由がそろった状態で来ます。私が答えた問いは、1日15問ほどでした。

その15問も、ほとんどはすぐ答えられる確認です。じっくり考えたのは、1日3問くらいでしょうか。そういう問いは、AIに図や表にして見せてもらってから決めました。文章だけで読むより、ずっと早く判断できます。本業の合間でも回せたのは、このおかげです。

前回、「何をつくるかを決めることと、確かめることに専念する」と書きました。最初の3日間は、まさにその前半だけをやっていた、という感覚です。

今回の問い

皆さんの会社の開発では、作り始める前に、どこまで決めきっているでしょうか。抜けに気づくのは、作る前ですか、作ったあとですか。

次回は、決めきったあとの話です。タスクや進み具合の管理をAIが持つと、私の毎日がどう変わったかを書きます。


足立 高洋|株式会社Smallit 取締役
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