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現代では、あらゆる業界でDXが進められています。それは、医療現場も例外ではありません。
医療現場や関連会社におけるDXは「医療DX」と呼ばれています。

では、この医療DXとはどのようなもので、具体的にはどのような施策が進められているのでしょうか。

今回は、医療DXとはどんなものなのか、わかりやすく解説します。

医療におけるDXとは

DXとは、デジタルトランスフォーメーションを略した言葉で、「IT・デジタル技術を活用したあらゆる変革」を指します。
ビジネス上の競争が激化する現代社会において、各企業・組織が競争力を向上させるためには、DX推進が欠かせません。DXが進まなかった場合には、大きな経済損失が生じる恐れもあることから、近年多くの企業・組織がDXに取り組むようになりました。
それは、医療業界も例外ではありません。

「医療DX」とは、医療分野におけるDXのこと。厚生労働省はこれを次のように定義しています。

【医療DXとは】
保健・医療・介護の各段階において発生する情報やデータを、全体最適された基盤を通して、保健・医療や介護関係者の業務やシステム、データ保存の外部化・共通化・標準化を図り、国民自身の予防を促進し、より良質な医療やケアを受けられるように、社会や生活の形を変えること
(参照:厚生労働省「医療DXについて」)

ビジネス上のDXでは「競争力向上」が目的とされますが、医療DXの目的は「より良い医療の実現」にあります。
デジタル技術の活用によって医療サービスや医療データの取扱いを最適化し、より良い医療を実現することが、医療DXなのです。

現在、国を挙げて急がれるDX推進とその事例については、「DX推進とは?成功事例やポイント等も簡単に解説」でご紹介しています。

医療DXの現状

2023年に発表された独立行政法人情報処理推進機構の「DX白書2023」では、DXの取組状況を業種別に数値化しています。その中で、医療・福祉分野におけるDXの取組状況は、次のように表されました。

【医療・福祉分野におけるDXの取組状況】

  • 2018年度以前から実施している:5.4%
  • 2019年度以前から実施している:1.9%
  • 2020年度以前から実施している:2.0%
  • 実施していない・今後実施を検討:12.0%
  • 実施していない・今後も予定なし:78.7%

医療・福祉分野において既にDXを実施しているのは、9.3%。これは、この調査で挙げられた24種類の業種の中で、最も低い割合でした。
つまり、医療・福祉分野のDXは、他の業種と比較しても遅れているのです。

とはいえ、既にDXに取り組んでいる医療系企業・組織では、AIやVRなどの最先端の技術を用いた画期的なサービスや仕組みが構築されてきています。現状DXに取り組む企業・組織は少ないですが、技術開発が進みDXの事例が増えれば、今後DXに取り組む企業・組織は増えていくでしょう。

医療DXの課題

前述のとおり、医療分野のDXは他分野に比べ遅れを取っています。そして、その背景にはセキュリティの問題が存在します。

医療の現場で利用するシステムには、あらゆる機密性の高い情報が含まれています。そのため、従来の多くのシステムは、外部ネットワークと接続されていないクローズドな環境下で構築・運用されてきました。
しかし、医療DXを進めるとなると、外部ネットワークとの接続は必須。これまでのように、病院内だけのクローズドな環境でシステムを運用することはできません。そうなれば、セキュリティリスクも当然高くなってしまうでしょう。

医療DXがなかなか進まない背景には、このセキュリティリスク増加の問題があると考えられます。
とはいえ、近年のサイバー攻撃の巧妙化は、クローズドな環境における安全神話をも破壊しつつあります。セキュリティを重視しながらより良い医療を実現するためには、クローズド環境にこだわるのではなく、DXを進めながら万全なセキュリティ対策も実施することも検討すべきでしょう。

DXの必要性および推進しないことで生じるリスクについては「DXはなぜ必要なのか?推進しないリスクや成功させるポイント等を解説」をご一読ください。

「医療DX令和ビジョン2030」について

「医療DX令和ビジョン2030」とは、政府が打ち出すDX施策のひとつです。
これは、日本における医療分野の情報のあり方を根本から解決することを目的にしたもので、具体的には次の3つの施策が提言されています。

  • 「全国医療情報プラットフォーム」の創設
  • 電子カルテ情報の標準化(全医療機関への普及)
  • 「診療報酬改定DX」

政府は、これらの実現により、患者や医療従事者、ベンダーのそれぞれが大きなメリットを享受できるとしています。
ここでは、上記3つの施策を詳しく解説していきます。

「全国医療情報プラットフォーム」の創設

「医療DX令和ビジョン2030」の施策のひとつが、「全国医療情報プラットフォーム」の創設です。

「全国医療情報プラットフォーム」とは、レセプトや特定健診情報、予防接種、電子処方箋、自治体検診、電子カルテなどの医療情報を一元的に共有・交換することができる全国的なプラットフォームのこと。患者は、マイナポータル経由で情報にアクセスすることが可能です。

政府は、この活用により、患者が情報を医師や薬剤師と密に共有できるようになり、またデータ活用によって医療従事者の業務負担も減るとしています。

電子カルテ情報の標準化(全医療機関への普及)

次に挙げられた施策が、電子カルテ情報の標準化です。

これは、前述の「全国医療情報プラットフォーム」における情報共有を可能にするために、電子カルテの規格を標準化する手続きのこと。医療情報共有の国際標準規格となっているHL7FHIRを活用しながら、厚生労働省が主導し仕様を定めていきます。

また、電子カルテ標準化のために、電子カルテの普及率も上げていくとされています。その目標値は、2026年までに80%、2030年までに100%。
これを実現するため、政府は電子カルテ未導入の一般診療所などに対し、補助金などの施策を実施する予定です。

電子カルテによるデータ管理は、医療従事者の業務負担を軽減するとともに、新しい医療技術や薬の創出に役立てられます。

「診療報酬改定DX」

「医療DX令和ビジョン2030」の中の「診療報酬改定DX」とは、診療報酬の改定に伴う作業を効率化させるための施策のこと。診療報酬の改定に円滑に対応するため、「共通算定モジュール」の導入が検討されています。

この施策は、医療従事者とベンダーの負担軽減やコスト削減、保険者の負担軽減に有効です。

新型コロナウイルスが医療現場に及ぼした影響

次に、新型コロナウイルスの医療現場への影響についてみていきましょう。

2020年以降の新型コロナウイルスの流行は、医療現場にも大きな影響を及ぼしました。特に、次の点での影響は大きかったと予想されます。

  • 受診患者数が減少したことによる赤字
  • 常勤医師の負担増加
  • 入院患者の面会のお断り

上記3つの影響について詳しくご説明しましょう。

受診患者数が減少したことによる赤字

新型コロナウイルスの流行下では、多くの病院で、コロナ以外の受診患者数が大幅に減少しました。院内でのコロナ感染を恐れ、小児科を中心に受診を控える人が増えたためです。

この影響を受け、経営が赤字化する病院は増加。閉院したり外来を休止したりする病院も出るようになりました。

ウィズコロナの時代に突入した現在では、受診者数は回復しつつあります。しかし、コロナ禍における受診患者数の減少が経営の大きな痛手となっている病院は少なくはないでしょう。

常勤医師の負担増加

前述のとおり、コロナ禍で受診患者数が減った病院では、コスト負担を減らすため、フリーランスで働く非常勤医師の雇用打ち切りが行われました。また、政府による移動の自粛要請から、離れた地域からアルバイトの医師を呼ぶことも難しくなっていました。
もともと、日本では医師が不足しています。その中で非常勤医師やアルバイト医師がいなくなり、医師不足はさらに深刻なものになりました。

これにより大きな影響を受けたのが、常勤医師です。コロナ禍で受診患者数は減ったものの、医師も減ったことで、常勤医師は大きな負担を強いられることになりました。慣れないコロナ対応を強いられる中、当直や残業が増えたり、給与が減ったりした医師も少なくはありません。
これは看護師も同様です。医療従事者は、新型コロナウイルスの影響を特に大きく受けたと言えるでしょう。

入院患者の面会のお断り

コロナ禍では、入院患者の面会を断る病院が増えました。これは、院内でのパンデミックを防止するために必要な施策であったといえるでしょう。

しかしこれにより、これまで面会の家族が行なっていた入院患者の生活上のサポートが医療従事者の仕事になり、その負担は増加入院患者やその家族からの不安の声も大きくなり、看護師や事務員がその対応に追われることも多くなりました。

これも、医療従事者および患者とその家族が受けた、コロナ禍の大きな影響だといえるでしょう。

医療DXで実現できること

医療DXでは、次のようなことが実現できます。

  • 業務量の軽減・効率化
  • オンライン診療の実用化
  • 情報ネットワーク
  • クラウド化によるリスクマネジメント
  • スマホなどの端末によるヘルスケア

これらは、前述した新型コロナウイルス流行の影響への対策としても有効です。今後の予想だにしないパンデミックや災害の備えとしても、医療DXの推進は役立つでしょう。

ここでは、医療DXで実現できる上記5つのことについて詳しく解説していきます。

業務量の軽減・効率化

医療DXによって、システム上でデータ活用を行ったり、RPAツールを用いて既存の定型業務を自動化したりすれば、医療従事者の業務量は軽減され、その負担は軽くなります。
また、これらの活用によって作業はスピーディーに進み、人の手で全ての作業を行うよりも、業務は効率的になるでしょう。

さらに、医療現場では、診療報酬の計算や物資の管理など正確性を求められる業務が多数存在しますが、これを人の手で行うとなると、ヒューマンエラーはどうしても発生します。しかし、システムやRPAを利用すればミスを防ぎ、より正確に業務を進めることが可能です。

オンライン診療の実用化

医療DXを推進し、ICT機器を導入すれば、医師と患者が離れた場所にいても、遠隔での対応が可能になります。
遠隔診療は、患者の負担軽減や医療の格差是正に効果的です。なぜなら、遠隔診療を利用することにより、患者の通院負担は減り、さらに地域に関係なく診療を受けることが可能になるためです。

また、遠隔診療では、対面の場合に比べ、患者対応の手間も少なくなります。これは、医療従事者の負担軽減にも効果的でしょう。

情報ネットワーク

医療DXが進めば、医療関連情報の統一的なネットワーク構築も実現します。先ほどご紹介した「医療DX令和ビジョン2030」における「全国医療情報プラットフォームの構築」も、これを目指すものです。

医療情報のネットワークが構築され、医療機関と薬局、介護施設などの持つ情報がリアルタイムで共有されるようになれば、各機関における連携は密になり、また患者の引き継ぎもスムーズで正確になるでしょう。

さらに、情報ネットワークの構築によって、患者が医療関連の情報に簡単にアクセスできるようになれば、自身の体や病気に対する患者の理解も深まります。さらに、情報が一元管理されていることで、医療サービスも活用しやすくなることが予想されます。

クラウド化によるリスクマネジメント

医療DXで医療関連情報をデータ化し、クラウドで保管すれば、データへのアクセスの柔軟性は高くなります。

また、もし予期せぬ事故や災害が起こって病院内のパソコンやサーバが使えなくなったとしても、クラウド保管しておいたデータは損傷・消失することがありません。一方、院内のサーバにデータを保管していた場合には、医療情報が損傷・消失する恐れがあります。
つまり、データのクラウド保管はリスクマネジメントの手段として有効なのです。

日本は災害が多い国です。そのリスクを考えても、BCP対策の一環として、データのクラウド保管は進めるべきでしょう。

スマホなどの端末によるヘルスケア

医療DXが進めば、スマホやウェアラブル端末の活用も進んでいきます。これらの端末では、一般の人々が自身の体の状態を知り、管理することが可能になります。例えば、血圧の変化や睡眠の質、送っている生活習慣の体への影響など。
このような情報を自身の端末を通して知ることは、健康の促進および病気予防に繋がります。日々の自己管理により人々が病気にかかりにくくなれば、それぞれの国民の医療費負担は減り、また慢性的に人材が不足している医療従事者の負担も減るでしょう。

医療DXの主な取り組み

現在、多くの医療機関や関連企業で行われている医療DXの代表的な取り組みとしては、「電子カルテ」や「オンライン予約・診療」、「医療センシング」などが挙げられます。
ここでは、これらがどのような取り組みなのかご説明します。

電子カルテ

従来、医療情報の管理は、紙の書類で行われてきました。例えば、問診票、カルテ、レントゲン写真、検査結果書類など。これらの複数の書類を紙で管理するには、大きな手間がかかります。必要な書類を準備するにも、時間がかかるでしょう。
電子カルテを導入すれば、この課題は解決できます。

電子カルテとは、患者の医療情報をデータ化し、一元管理するシステムのこと。これを利用することで、医療情報の管理の手間は軽減され、必要な書類もシステムを通してすぐに探し出せるようになります。患者の診療履歴や検査結果にもスムーズにアクセスでき、これは適切な医療の提供に繋がるでしょう。
さらに、電子カルテのデータは医療分野の研究にも役立ちます。

オンライン予約・診療

大きな総合病院から小規模な診療所まで、オンライン予約を導入している医療機関は少なくありません。オンライン予約ができれば、患者は長時間院内で待つことなく、診療を受けることができます。
オンライン予約時にオンライン問診票の記入を求めれば、来院時の対応はよりスムーズになるでしょう。

また、オンライン化は、予約だけでなく診療でも取り入れられています。
オンライン診療では、インターネット機器を用い、遠隔で診療を受けることが可能。医療機関を直接訪れることなく自宅で診療を受けられるため、体調不良で来院が難しい時や近くに医療機関がない時に便利です。
この体制は、感染防止や院内の待ち時間減少の観点から、医療従事者側にもメリットとなると考えられます。

医療センシング

センサーによって、患者の状態をリアルタイムで把握することを、医療センシングと呼びます。

医療センシングでは、医師や看護師が直接患者の状態をチェックしなくても、常にその健康状態を監視することが可能。センサーの通知によって、急変にも即座に対応することができます。
このシステムは、患者の不安軽減や医療従事者の負担軽減に繋がるでしょう。

また、医療センシングによって収集されたデータは、医療研究に活用されます。これにより新たな治療法や新薬が確立されれば、病気で苦しむ人が減る可能性もあるのです。

医療DXに役立つサービス・事例

ここからは、医療DXの実現に役立つ具体的なサービスや事例を8つご紹介します。

【事例①】症状検索エンジン「ユビー」

「ユビー」は、現役の医師が開発した傷病の症状を検索することができるシステム。誰でも、パソコンやスマートフォンから無料で利用することができます。

「ユビー」では、AIの質問に対するユーザーの答えから、考えられる病気や適した医療機関の情報を提供します。ユーザーは、それを参考に適切な医療を受けることができます。
また、その回答結果は、医療機関と連携させることが可能。事前に問診データが医療機関に送られるため、ユーザーは来院時にスムーズに診療を受けられます。

このシステムは、患者を適切な医療に繋げるとともに、医療機関側の負担軽減策としても効果的。手軽であることから、多くの人に利用されています。

【事例②】オンライン健康医療相談サービス「HELPO」

「HELPO」は、ソフトバンクが提供するヘルスケアアプリです。

このアプリでは、24時間365日、健康医療相談をすることが可能です。医療機関が閉まっている深夜や休日でも、チャットを通して専任の医療チームによるアドバイスを受けられます。

また、チャットだけでなくオンライン診療にも対応。スマホを通して医師の診療を受けられ、薬は自宅で受け取ることができます。

EC機能や万歩計機能など、他にも搭載機能は多数。
利用は有料ですが、急な体調変化にいつでも対応してもらえるツールがあれば、ユーザーは安心して毎日を過ごすことができるでしょう。

【事例③】ICU向け遠隔操作ロボット

ICUとは、医療機関の集中治療室のこと。大成建設と国立国際医療研究センターは、このICUに向けた遠隔操作ロボットを開発しました。

このロボットを使えば、医療従事者は患者と非接触のエリアから、ICU内の医療機器を遠隔操作することができます。これにより、患者と医療従事者双方の感染症のリスクを低減することが可能です。

また、新型コロナウイルスの流行時には、ICU内に入る際には、医療従事者はガウンやマスクを着用する必要があり、これは手間とコストの面で大きな負担となっていました。遠隔操作ロボットは、この課題解決にも有効な手段です。

このロボットについては、今後のより良い活用を目指し、現在も開発・導入が進められています。

【事例④】訪問診療専用スケジュール管理ソフト「CrossLog」

「CrossLog」は、訪問診療を効率化するスケジュール管理ソフトです。
このソフトでは、訪問診療のスケジュールを一元管理することが可能。訪問時の移動ルート作成および時間管理もサポートし、効率的な移動を実現します。

また、あらゆる情報をワンタップで開くことができるため、情報の確認がスムーズに行える点も、このソフトの魅力。医療機関や患者、その家族との情報共有にも対応します。

このような機能により、「CrossLog」は訪問診療における事務作業の手間を削減し、関係者間の情報共有を密にします。
これにより、医療従事者の事務負担を軽減しながらも、関係者間の連携を強め、より良いサービス提供を実現することが可能です。

【事例⑤】介護睡眠見守りシステム「センシングウェーブ」

「センシングウェーブ」は、介護の現場を助ける介護睡眠見守りシステム。ベッドマットレスの下に設置するだけで、ベッドの上のユーザーの睡眠や心拍、呼吸、入離床を常に検知・解析します。
このデータにより、介護担当者は適切な訪室回数やトイレに誘導するタイミングを把握することが可能になり、介護の質を上げながら、業務の負担を軽減させることができます。ナースコールやインカムとの連携も可能なので、容態急変の際には素早く対応することが可能です。

また、このシステムはクラウド型。施設の外からでも、インターネットを通じて情報を確認することが可能です。
そのため、外出時にもユーザーの状態を把握できる他、施設を利用していない間のユーザーのデータも確認でき、対応の最適化を図れます。

介護業界のDXについては「介護業界におけるDXの成功事例|取り組むコツやメリットを解説」 でもご紹介しています。

【事例⑥】遠隔集中治療患者管理プログラム「eICU」

「eICU」は、ICUの患者の情報を一元管理できるプログラム。ネットワークを通じて体の状態や生体情報、検査結果などをセンターに集めることで、厳しい集中治療の現場を支援します。

このプログラムでは、患者の情報を400万以上の膨大な症例データと比較し、より効果的な対応を提供します。アメリカでは、これによりICU滞在期間を2割程度短縮できたとの研究結果も出されています。

データの活用により、効率的な治療が可能になれば、専門医が不足する中でも適切な対応が可能に。また医療従事者の抱える負担も軽くなるでしょう。

【事例⑦】コミュニケーションツール「MeDaCa PRO」

「MeDaCa PRO」は、医療機関と患者とのコミュニケーションを促進するツールです。

このツールでは、医療機関はビデオ通話によって、患者とオンラインでのコミュニケーションを図ることができます。
また、臨床検査会社とシステム連携を行えば、検査会社から受け取った検査結果を患者にデジタルデータとして送信することも可能。効率的なコミュニケーションや診察を実現します。

「MeDaCa PRO」を使えば、通院が困難な患者にも、精度の高い診療を行うことができます。感染リスクも低減できるため、患者やその家族、そして医療従事者も安心して対応ができるでしょう。

また、あらゆる医療データは、患者自身のスマートフォンに保存することができ、これはパーソナル・ヘルス・レコード (PHR)の実現に役立ちます。

【事例⑧】クラウド型Modern BI「Domo」

「Domo」は、データ活用を促進するBIシステム。あらゆる業種で活用できるこのシステムは、医療現場での業務効率化にも効果的です。

このシステムには、データを自動で収集・加工し、レポートを作成する機能が搭載されており、ユーザーはこれをもとに、適切な意思決定を行うことができます。
医療現場の場合であれば、患者の医療情報を収集してそのデータを治療に活かしたり、収益情報を収集して分析し、それを病院の経営戦略に活かしたりすることが可能になります。

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医療現場でのデジタル化では、複数のシステムを導入・活用することもあるでしょう。
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まとめ

より良い医療を実現するためには、医療DXの実現が必要です。そして、多くの企業や医療現場が、そのための取り組みを進めています。
今後も、デジタル技術を用いた先進的なシステム開発はどんどん進んでいくでしょう。

とはいえ、医療・福祉分野でのDX推進率は低いのが現状です。業界としてのDXを成功させるためには、この推進率も向上させていかなければなりません。
ただし、そのためには現場の理解が必要です。国やシステムを開発する企業は、現場の理解促進にも力を入れていくべきでしょう。