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現代人の多くは、スマートフォンを所有しています。スマートフォンの普及にともない、チャットやゲームをはじめとしたアプリ利用も増加しました。
これを受け、ECサイトを運営する多くの企業が検討・実施しているのが、「ECサイトのアプリ化」。これにより、ユーザーによるサイト利用の利便性は上がり、企業は多くのメリットを受けることができます。
今回は、このECサイトのアプリ化に注目します。メリットやデメリット、事例など、その特徴を詳しく見ていきましょう。
ECサイトをアプリ化した「ECアプリ」とは?
ECサイトと同じ機能を持つアプリケーションのことを、「ECアプリ」と呼びます。
ECアプリでは、ブラウザからアクセスするECサイト同様、販売されている商品を見たり購入したりすることができます。
また、プッシュ通知や位置情報、カメラなど、アプリならではの機能を使うことも可能。ネットショッピングのツールとしてだけでなく、会員証やポイントカード、クーポン、コンテンツの発信といった多様な役割も担っています。
手軽に使えて機能豊富なユーザビリティの高さがECアプリの魅力。マーケティング施策としても有効なことから、アプリを開発する企業は増えています。
Webサイトをアプリ化する7つのメリット
Webサイト、つまりECのアプリ化には、次のようなメリットを期待できます。
- 収集できる顧客データ増でマーケティング施策が強化できる
- メルマガより高い開封率のプッシュ通知でリピート率向上が狙える
- 利用時間・頻度増でユーザーのアクティブ率が上昇
- 実店舗との連携など、オムニチャネル施策に活用できる
- Webサイトより通信量がかからないためユーザビリティがアップ
- ポイントカードやクーポン等で顧客育成ができる
- スマホ機能との連携によりCV率の向上をはかれる
詳しく見ていきましょう。
1. 収集できる顧客データ増でマーケティング施策が強化できる
アプリは、Webサイトに比べ利用率が高いと言われています。そのため、ECをアプリ化することで、その利用者や会員数の増加が期待できます。
アプリを使う人が増えれば、その分獲得できる顧客データは増えます。企業はこれをもとにさまざまな分析を行い、より効果的なマーケティング施策を実施できるようになるでしょう。
2. メルマガより高い開封率のプッシュ通知でリピート率向上が狙える
アプリは、プッシュ通知を利用できる点が大きな特徴です。
チャットのような感覚でお知らせが来るプッシュ通知は、メルマガに比べ、開封のハードルが低くなります。実際に、メルマガよりもプッシュ通知でのお知らせの方が開封率は高くなったという調査結果も出されています。
プッシュ通知を利用すれば、その内容を確認するためにユーザーがアプリを開く回数は増加。そこからリピーターに繋がることも多いでしょう。
3. 利用時間・頻度増でユーザーのアクティブ率が上昇
Webブラウザとアプリの利用時間を比べたある調査では、アプリの利用時間の方がWebブラウザの利用時間よりも圧倒的に長いことがわかっています。
つまり、スマートフォンを保有する人々は、Webブラウザよりもアプリを中心に利用しているのです。
ユーザーの利用時間や頻度が高いアプリケーションという手段を使えば、ECを運用する企業はさらなる売上アップや会員数増加を目指すことができます。
また、ユーザーへのクーポン配布やキャンペーン実施についても、その反応が得やすくなります。
4. 実店舗との連携など、オムニチャネル施策に活用できる
ECアプリには、多様な機能を搭載させることが可能です。そのため、オムニチャネル施策としての活用が可能です。
例えば、会員証やポイントカードとしての利用、SNSやECサイトとの連携、コンテンツの発信、カタログの配信など。
ECアプリひとつで、実店舗からSNSまでさまざまな顧客接点を作ることができることで、企業は販売機会を創出することができ、またユーザーは効率的に買い物をすることができます。
5. Webサイトより通信量がかからないためユーザビリティがアップ
アプリでは、Webサイトを利用する場合よりも、通信量を抑えることができます。初回のダウンロードやアップデートの際にある程度の通信量は必要ですが、普段の利用時における消費は少ないです。
そのため、アプリはWebサイトに比べさくさく利用を進めることが可能です。なかなか次のページに進めない、画像を表示できないなど、ユーザビリティを低下させるようなことも起こりづらいでしょう。
6. ポイントカードやクーポン等で顧客育成ができる
ECアプリでは、それ自体をポイントカード化したり、その中にクーポンをストックしたりすることが可能です。
これらは、アプリ内ではもちろん、実店舗でも使えるものが主流。ポイントカードやクーポンをアプリに集約することにより、ユーザーはスマートフォンさえ持っていれば、実店舗でもアプリでもそれらを利用することができます。
たくさんのポイントカードを持ち歩いたり、紙のクーポンを取っておいたりする手間は必要ありません。
これによりポイントとクーポン利用のユーザビリティが向上すれば、リピーターも増えていきます。
7. スマホ機能との連携によりCV率の向上をはかれる
スマホ機能との連携により、ECアプリの利用はより便利になります。
例えば、カメラを利用した遠隔での試着やカラー診断、位置情報機能を利用した店舗検索など。プッシュ通知によるリアルタイムでのお知らせも、そのひとつです。
このようなスマホ機能によって、アプリを用いた買い物の質が上がれば、当然CV率も向上するでしょう。
Webサイトをアプリ化する3つのデメリット
アプリ化においては、次のようなデメリットにも注意しておく必要があります。
- OSごとに開発したい場合は費用の負担が大きい
- ダウンロードをする労力がかかるため、ブラウザ版よりもハードルが高い
- 半永久的にOSへの対応や不具合対応などが発生
順にご説明します。
1. OSごとに開発したい場合は費用の負担が大きい
ECアプリの開発には、多額の費用がかかります。
スマホアプリのOSはAndroidとiOSの2種類ですが、これらのOSそれぞれに向けたアプリを開発しようとすると、その額はかなり大きくなるでしょう。
具体的な開発費用については、後の章でもご紹介します。
2. ダウンロードをする労力がかかるため、ブラウザ版よりもハードルが高い
ECアプリの利用を始めるには、まずアプリをダウンロードする必要があります。この作業を面倒に感じ、アプリの利用を諦めるユーザーは少なくないでしょう。
一方のブラウザ版であれば、この手間は要りません。
初回のみのこのひと手間が大きなハードルになっている点は、アプリの懸念点です。
3. 半永久的にOSへの対応や不具合対応などが発生
ECアプリには、半永久的に何らかの不具合が発生します。機能の追加も必要でしょう。
開発側は、それに対応し、新たなプログラムを半永久的に提供し続けなくてはなりません。
このように、アプリ運用には手間がかかります。無理なく運用を進めるには、自社で十分な人的リソースを用意するか、運用の外部委託が必要でしょう。
大手ECサイトのアプリ導入・成功事例
大手ECサイトのアプリ導入による成功事例を3つご紹介します。
楽天市場アプリ
楽天アプリでは、インターフェイスをとにかくポイント重視のデザインに設定しています。
アプリを開くと、まず保有ポイントやポイントキャンペーンが目に入るようになっており、ゲームや提携店舗でのポイント付与も実施。関連サービスの利用によるポイント率アップも行われます。
さまざまな場面で利用できる楽天ポイントは、意識して集めている人も多く、アプリではその効率的な運用が可能になります。
楽天市場アプリは、ポイントによる顧客の囲い込みに力を入れている事例だと言えるでしょう。
UNIQLO(ユニクロ)アプリ
ユニクロアプリは、店舗と連携する利便性の高さが特徴。
バーコード読み取りにより商品の店舗在庫を表示したり、欲しい商品を他店舗から取り寄せたりすることが可能です。会員証としても機能し、店舗とECでの購入履歴を一元管理することができます。
また、セール情報のプッシュ通知やユーザーに合ったアイテムの提案など機能も豊富。オンライン限定商品にも力を入れており、店舗とは異なる顧客体験を味わうことができます。
ZOZOTOWNアプリ
ハイブランドからファストファッション、コスメまで多数のブランドを取り扱うZOZOTOWNのアプリは、検索のしやすさが魅力です。
検索条件の設定項目が多いため、膨大な商品の中からニーズに合ったものを探すことができます。
クーポンの発行や値段の変更、またその人だけのセールの実施といった施策を頻繁に実施している点も特徴的。これにより、ユーザーの頻繁なアプリチェックおよび利用を促し、売上に繋げています。
【ケース別】アプリ化推奨の企業、見送っても良い企業の違い
「ECをアプリ化すべきかどうか」は、企業の目標や状況によって異なります。
アプリ化を進めるべきケース、また見送っても良いケースを一覧で見てみましょう。
- 【アプリ化を進めるべきケース】
- ロイヤルティの高い顧客を増やしたい
- 顧客育成を行いたい(見込み顧客→顧客、顧客→リピーターへ)
- ユーザビリティを向上させたい
- 顧客満足度を向上させたい
- 十分なリソース(コスト、人、時間)が確保できる
- 【アプリ化を見送っても良いケース】
- 新規顧客を増やしたい
- Webサイトの認知が不十分
- 十分なリソース(コスト、人、時間)を確保できない
Webサイトに既にある程度の顧客がいて、その顧客をリピーターへ、ロイヤルティ向上へと育成したい場合に、アプリ化は有効です。アプリによるユーザビリティ向上や顧客満足度アップは、その手段のひとつになります。
一方、既存顧客や世間からの認知が十分でないWebサイトについては、急いでアプリ化を進める必要はありません。まずは、Webサイトの認知を広め、その顧客を増やす施策を取るべきでしょう。
ECアプリ制作の手段と開発費の相場は?
ECアプリ制作の主な手段としては、「Webアプリ」や「ネイティブアプリ」、「ハイブリッドアプリ」と呼ばれるものがあります。
各手段の特徴とその費用相場についてご紹介します。
- 【Webアプリ】
- インターネット上で利用するアプリのこと。
ダウンロードするのではなく、ブラウザからアクセスする。YouTubeやGmailなどがその例。
開発費の相場は30万円〜と比較的リーズナブルだが、ユーザビリティの点ではWebサイトとさほど変わらない。 - 【ネイティブアプリ】
- デバイスにダウンロードして利用する一般的なアプリ。スマホとの機能連携にも対応する。
開発費用の相場は100万円~と、Webアプリに比べ高額。また、アプリストアで配信するには、審査が必要。 - 【ハイブリッドアプリ】
- 上記2つの特徴を併せ持つアプリ。
デバイスにダウンロードしての利用が基本だが、一部の利用にはインターネットへのアクセスが必要。スマホ機能との連携も可能。
開発費用の相場は10万円~と、他に比べリーズナブルであることが多い。
このように、制作手段によって、実現できるアプリの機能も開発にかかる費用の額も異なります。
アプリ開発にあたっては、自社のニーズに合った手段を選ぶことが大切です。
まとめ
ECアプリには、多くのメリットが期待できます。この導入により、ユーザーはさらなる利便性を手に入れ、企業は売上向上やより多くのデータ獲得を目指すことができます。
ただし、アプリにはコストや手間の点で懸念すべき点があることも事実。
アプリ化を検討する際には、その必要性を慎重に確認した上で、自社のニーズに合った手段を選ぶようにしましょう。