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予実管理は、経営マネジメントの手法のひとつ。企業が売上を伸ばし成長を続けるためには、適切な予実管理が欠かせません。
では、適切な予実管理とは、どのように行えば良いのでしょうか。
今回は予実管理の手順や効率的な管理方法について詳しく解説します。
予実管理とは
企業が、自社の予算と実績を管理する経営手法。予算実績管理。
予実管理では、あらかじめ設定した目標値である「予算」と、実際の結果である「実績」を比較し、その結果を分析します。そして、それを元に課題を見つけ出し、今後の方向性や施策を決定します。
簡単な例を挙げてみます。
ある企業で1ヶ月の売上予算を100万円に設定したとします。結果として売上実績が80万円だったのであれば、企業は実績が予算に20%届かなかった理由を分析し、現実的な数値に予算設定を下げたり、販売を強化したりと、予算と実績を近づけるための施策を講じなければなりません。
反対に実績が120万円だったのであれば、企業は予算を実績が20%上回った原因を確認し、必要に応じて今後の予算設定を上げたり、売上好調に繋がった施策を再度行ったりして、年間の売上予算達成に向け更なる売上アップを目指すことができます。
このように、予実管理は企業が課題を把握したり適切な予算を設定したり、施策を決定したりするのに役立ちます。目標を立てて実行し、その結果を分析して改善するという点では、PDCAサイクルに基づいたマネジメント手法だと言えるでしょう。
なぜ予実管理が必要なのか
予実管理は、将来的な目標達成に向けた進捗や課題を可視化し、把握・改善するために必要なものです。
予実管理が行われていない状況では、将来的な目標に対する進捗を正確に知ることは困難です。目標達成のために何がどれくらい足りていないかということが見えないため、適した施策を講じることができません。
また、予実管理を行わなければ、実績が予算を下回った原因も上回った原因も曖昧なまま、ビジネスが進んでいきます。これでは、課題を解決して売上を上げることも、効果的だった施策を次の施策に生かすこともできません。
将来的な目標を計画的に達成するためには、予実管理によってその過程をきちんと管理する必要があるのです。
予実管理の手順
次に予実管理を行う際の4つの手順を確認していきましょう。
②予算設定
③予算と実績の比較・分析
④戦略の軌道修正を行う
順に詳しくご説明します。
①予算目標を立てる
まず行うのが、全体の予算目標を立てることです。企業としての成長や方向性を踏まえながら、目標として目指す予算を設定しましょう。
この時の予算目標は、頑張れば現実的に達成可能な値にすることが重要です。これは、従業員のモチベーションを維持するためです。
②予算設定
先ほど立てた全体の予算目標達成に向け、具体的な予算を決定します。目指す予算目標や過去の実績を踏まえて、各項目、各部門、各月と、予算を落とし込んでいきましょう。
予算が決まったら、それをクリアするための施策についても詳しく詰めていきます。スケジュールや各KPIの目標値も決めておきましょう。
このようにして、予算達成のための計画を策定し、それを実行していきます。
③予算と実績の比較・分析
計画を実行したら、定期的に予算と実績の確認・比較を行います。
基本的には、この作業は毎月行うようにすると良いでしょう。比較を行うまでの期間が長いと、軌道修正が必要であるにも関わらず対応が遅れ、手遅れになってしまう可能性があるためです。
毎月の予算と実績の差を比較し、差が生まれた理由について詳しく分析を行います。
④戦略の軌道修正を行う
予算と実績の差について分析を行ったら、その結果をもとに軌道修正を行います。
成果の出なかった施策があるならその内容の見直しが必要でしょうし、売れなかった商品があるならその原因を突き止めなければなりません。
このように、予実管理では予算と実績の乖離から課題を突き止め、それを元に戦略の軌道修正を行っていきます。そしてこれを繰り返すことで戦略の改善を重ね、予算達成を目指します。
予実管理を行う際のポイント
予実管理を行う際のポイントは、次の4つです。
・リアルタイムに進捗管理を行う
・データ活用の環境を整備する
・課題に優先順位をつける
これらのポイントを押さえておかなくては、適切な予実管理はできません。予算達成が難しくなるだけでなく、誤った方向にアクションを進めてしまう恐れもあるので注意してください。
適切な予算設定をする
まず重要なのが、最初の予算設定の段階で適切な値を設定すること。
予算目標および具体的な予算設定は、全ての計画の基礎となる値。この値が適切でなければ、その後の計画はうまくいきません。
ここで言う適切な予算設定とは、努力することで実現できる値のこと。会社の成長や業績だけでなく、従業員のモチベーションと能力を踏まえ、予算を設定しましょう。
低すぎたり高すぎたりする予算は従業員のモチベーションアップに繋がらないため注意してください。
リアルタイムに進捗管理を行う
進捗管理は、なるべくリアルタイムで行うのが理想です。予算と実績の比較・分析を毎月行うことはもちろん、案件管理や生産管理、施策の進捗管理なども定期的に行いましょう。
各項目は、放置しておくと軌道修正の必要に気づかず、大きな損失やミスに繋がる恐れがあります。進捗管理はこまめに行い、必要に応じて随時軌道修正することが大切です。
データ活用の環境を整備する
予実管理では、データ活用が重要です。予実管理における課題の把握や軌道修正は、収集された業務に関わるあらゆるデータを元に行われる必要があるためです。
データ活用が十分に行える環境がない場合、予算と実績の比較や課題の把握は、非常に曖昧なものになってしまいます。的確に現状を把握するためにも、データを活用できる環境づくりが必要です。
課題に優先順位をつける
予実管理の中で複数の課題が生まれた場合には、一度に全ての課題解決を目指すのではなく、ひとつずつ確実に解消していくようにしましょう。
そのためには、まず課題に優先順位をつけなければなりません。緊急性や影響度の大きさから優先順位を決め、優先度の高い順に課題をクリアしていきます。
課題がひとつ解決できたら次の課題に移り、最終的には全ての課題解決を目指します。
効率的な予実管理方法
効率的に予実管理を行うには、次のようなツールを活用するのがおすすめです。
Excel
汎用性に優れたExcelは、中小企業の予実管理によく用いられています。
導入しやすい
カスタマイズしやすい
◆Excelを活用するデメリット
メンテナンスに手間がかかる
スキルが必要
Excelは導入しやすい点が魅力ですが、事細かな予実管理を行うには手間もスキルも必要です。そのため、業務が属人化してしまうリスクもあります。
予実管理ツール
予実管理専用のツールもリリースされています。これを利用すれば、予実管理をより効率的に行うことが可能です。
予実管理機能に特化している
操作性に優れたものが多い
◆予実管理ツールを活用するデメリット
コストがかかる
このツールは、操作性に優れ使いやすいのが魅力です。運用コストはかかるものの、手動での管理にかかるコスト(人件費)を考えると、この点も一概にデメリットとは言えません。
SFA(営業支援ツール)
SFAとは、営業支援ツールのこと。案件管理や顧客管理など、営業に関するさまざまな情報をツール上で管理することで、営業活動をサポートするツールです。
このSFAの多くには予実管理機能が搭載されていて、営業データを活用した分析が可能です。
リアルタイムにあらゆるデータを反映できる
複雑な条件設定が可能
情報共有がしやすい
◆SFAを活用するデメリット
コストがかかる
SFAは、運用にコストがかかりますが、営業データをリアルタイムに集計し、比較・分析することができます。情報共有もしやすいので、従業員間での方向性共有にも役立ちます。
まとめ
売上目標を達成し企業を確実に成長させていくために、予実管理は重要です。定期的に予算と実績の比較・分析を行うからこそ、企業は大きく方向性を誤ることなく、戦略の改善を重ね、目標達成に近づくことができるのです。
ただし、これは闇雲に行えば良いというものではありません。その効果を得るには、適切な予算を設定し、こまめな管理と課題解決を続けていく必要があります。
管理をより正確にものにするには、専用ツールの活用も検討すると良いでしょう。