流通BMSは、流通におけるデータ交換の標準となるものです。2007年に初めて導入され、従来の標準に代わるものとして、2022年現在多くの小売業が既に導入を済ませています。
では、この流通BMSには、どのような内容が定められているのでしょうか。
今回は、流通BMSについて詳しく解説します。

流通BMSとは

流通BMS (Business Message Standards)

流通ビジネスメッセージ標準。流通業界共通の標準となることを目標に策定された、メッセージ・通信プロトコル・セキュリティにおいてのEDI*の仕様のこと。流通EDI標準とも呼ばれる。

流通BMSは、メーカー・卸・小売間で発生する流通作業をシームレスに繋ぐことで、業務効率化とコスト削減を目指すガイドライン。これは、従来型EDIの課題解決にも有効です。

*EDI:電子的データ交換。Electronic Data Interchangeの略称。企業間での流通に関するデータのやり取り。

従来型EDI標準「JCA手順」

従来は、電話回線で通信を行うJCA手順という仕様が、標準EDIとされていました。
しかし、この手順は通信速度が非常に遅く、通信できるデータの種類も限られるという課題がありました。インターネット回線の普及も影響し、電話回線を用いる手順が見直され、導入されたのが流通BMSです。

2024年にISDNサービスの一部が終了し、旧標準であるJCA手順は使えなくなります。その終了に間に合うよう、現在では、流通業者における旧標準から流通BMSへの移行が急がれています。

EDIの課題

従来型EDI(旧標準)には、複数の課題がありました。代表的なものが、次の3つです。

・通信インフラの老朽化
・データの制約
・小売ごとのシステム開発

これらの課題について詳しく見ていきます。

通信インフラの老朽化

旧標準に基づくEDIには、通信インフラが古く、使い勝手が悪いという課題があります。
具体的には、インターネット通信に比べ、通信速度が非常に遅く、スムーズな流通業務を妨げることや、電話回線の利用に必要なモデムの生産減少によりモデムの入手が困難になっていることなどが挙げられます。

データの制約

旧標準では、通信できるデータの文字数に制限があり、漢字や画像を送ることもできません。
さらに、データが統一されておらず項目の変更・追加がしにくいなど、やり取りするデータに制約があり、柔軟なデータ通信が行えない点が大きな課題でした。

小売ごとのシステム開発

旧標準では、やり取りするデータ形式が小売店ごとに異なっていました。そのため、受注を受けるメーカーや卸側は個別の対応をしなければならず、小売店ごとのシステム開発を余儀なくされていました。すると、当然システム開発にかかるコストと手間は大きくなります。
個別のシステム開発は、業務や経済状況の圧迫にも繋がる課題です。

流通BMSの特徴

旧標準に代わる流通BMSの大きな特徴が次の3つです。

・フォーマットの統一
・インターネットの利用
・検品・伝票レス

順にご説明します。

インターネットの利用

流通BMSでは、通信にインターネット回線を利用します。これにより電話回線を用いた旧標準と比べ圧倒的に速い高速通信が可能になりました。

フォーマットの統一

旧標準では小売ごとにデータ(メッセージ)形式が異なり、メーカーや卸は小売ごとにシステム開発を行わなければなりませんでしたが、流通BMSではデータのフォーマットを統一。データが標準化されたことで、全ての企業・店舗のデータをひとつのシステムで管理できるようになりました。

請求・検品・伝票レス

流通BMSでは、請求や伝票のやり取りのデータ管理が可能です。わざわざ請求作業を行なったり、伝票を発行・管理する必要はありません。
さらに、メーカーや卸側が出荷時の検品とそのデータ送信を行うことで、小売側での検品が不要になります。
請求や検品、伝票のやり取りといった流通間での作業を省略できる点は、旧標準との大きな違いです。

流通BMSの普及状況

流通システム標準普及推進協議会の実態調査によると、流通BMSの導入は次のような状況にあるとされています。

◆小売の導入実態
導入済み:60.0%
導入予定:11.3%
導入時期未定:12.5%
導入予定なし:11.3%
その他:5.1%(無回答含む)

 

◆メーカー・卸の対応実態
対応済み:70.3%
対応予定:3.7%
要請に応じて検討:16.3%
その他:9.7%(無回答含む)
(参考:流通システム標準普及推進協議会『2021年度 流通BMS導入実態調査結果』より)

流通BMSを導入・対応済みの企業は、年々増加しています。しかし、導入・対応していない企業や導入予定のない企業も未だ存在します。
旧標準を利用できるのはおそらく2024年までであり、あと数年しかありません。スムーズな流通のためには、流通BMSのさらなる普及推進が求められます。

流通BMSの導入メリット

流通BMSの導入には、業務効率化やコスト削減に繋がる複数のメリットがあります。
ここからは、そのメリットを5つご紹介しましょう。

システム開発コストの削減

流通BMSではデータが標準化されるため、小売ごとにシステム開発を行う必要がありません。メーカーや卸は、それまでかかっていたシステム開発にかかる手間やコストを削減することができます。

通信時間の短縮

流通BMSでは、インターネット回線を利用します。旧標準で利用する電話回線と比べると通信速度が格段に速くなるため、通信にかかる時間は短縮され、より効率的に業務を進めることができます。

請求・検品・伝票作成にかかる時間とコストの削減

流通BMSでは、請求・検品・伝票作成が不要です。一件ごとに請求・検品・伝票作成を行う手間がなくなるため、作業プロセスを省略でき、検品にかかる人件費や伝票代などのコストも削減可能です。

リアルタイムなデータ確認、データの精度向上

流通BMSでは、取引の各段階でその都度データ交換を行います。リアルタイムなデータ確認が可能になることで、データの精度が向上すれば、ミスやトラブルの発生を減少させることができます。
毎日の売掛照合も可能です。

出荷時検品の精度向上

流通BMSでは小売側で検品を行う必要がありません。その分出荷前の検品が重要になるため、メーカー・卸側の検品精度の向上が期待できます。

流通BMSを導入した企業事例

ここでは、流通BMS導入事例として、株式会社ヤクルトの事例をご紹介します。

食品事業や化粧品事業を展開する株式会社ヤクルトでは、これまで使用してきた量販店との受発注システムでの手入力作業が多く、業務効率が低下するという課題を抱えていました。また、ハードウェアの更新が迫っていたことから、これを機に現代の流通環境に対応する取り組みを集中的に始める意向を持っていました。

その取り組みのひとつとして導入したのが、流通BMS対応EDIシステム。入出荷管理や在庫管理といったメイン機能による業務改善に加え、流通BMSへの対応もできるシステムです。

このシステム導入によって、データマッピングを活用しながら新取引先とのEDI構築やデータの追加・修正などが簡単に行えるようになり、同社の業務負担は軽減されました。また、安価なパッケージソフトでシステムを導入しながら、管理機能は従来のオペレーションシステムで構築することで、コストカットと信頼性の両立を叶えることにも成功しました。
現在はよりシステム導入の範囲を広げるべく、社内でのシステム移行を続けています。
(参考:https://www.gs1jp.org/ryutsu-bms/info/case/001.html
https://www.usknet.com/jirei/yakult/

まとめ

流通BMSが共通標準として浸透すれば、メーカー・卸・小売における流通業務はよりシームレスになります。業務効率化やコスト削減も叶い、これは企業競争力の向上にも効果的でしょう。
しかし、それにはより多くの企業が流通BMSを導入し、それに対応しなければなりません。

メーカー・卸・小売企業が成長を続けるためには、従来型EDIの課題と流通BMSのメリットを把握した上で、時代にあった仕様へ積極的に対応していくことが大切です。


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