こんにちは。新規事業の開発や既存業務の効率化などに使える補助金・助成金の無料診断 / 申請支援を行う『補助金サポート』を提供しているクラウド軍師運営チームです。
事業再構築補助金は、中小企業庁が採択する中小企業等に向けた補助金です。コロナ禍を経た社会の変化に対応するための中小企業等の取り組みを支援することを目的に、整備されました。
この補助金では、中小企業等が行う新分野展開や事業転換、業種転換、業態転換、事業再編等の挑戦において、その一部の費用を補助します。
より詳しい内容については「事業再構築補助金とは?申請枠ごとに要件・補助額をわかりやすく解説」をご一読ください。
事業再構築補助金は、既に第11回までの公募・採択が終わっています。第12回についても、近いうちに公募が始まるでしょう。
そこで今回は、過去のデータをもとに、補助金の採択率の推移や傾向について解説していきます。
事業再構築補助金の採択率の推移
まずは、事業再構築補助金の公募回ごとの採択率の推移を表で確認していきましょう。
応募数 | 採択数 | 採択率 | |
第1回 | 22,231 | 8,016 | 約36.1% |
第2回 | 20,800 | 9,336 | 約44.9% |
第3回 | 20,307 | 9,021 | 約44.4% |
第4回 | 19,673 | 8,810 | 約44.8% |
第5回 | 21,035 | 9,707 | 約46.1% |
第6回 | 15,340 | 7,669 | 約50.0% |
第7回 | 15,132 | 7,745 | 約51.2% |
第8回 | 12,591 | 6,456 | 約51.3% |
第9回 | 9,369 | 4,259 | 約45.5% |
第10回 | 10,821 | 5,205 | 約48.1% |
第11回 | 9,207 | 2,437 | 約26.5% |
(参照:事業再構築補助金公式サイト「採択結果」)
上記の数字からは、応募数が回を経るごとに減少傾向にあることがわかります。
一方、採択率については、第10回までは40〜50%台を推移。応募者の4〜5割が採択されてきました。
しかし、第11回では採択率が激減しています。これには、内閣官房行政改革推進本部事務局によって実施された「令和5年度秋の年次公開検証(秋のレビュー)」での厳しい指摘が影響しているようです。
経産省は、第12回公募について、「指摘を踏まえた見直しを行った上で行う」としています。そのため、今後の採択率は第11回同様、厳しい内容になる可能性が考えられます。
【通常枠(成長枠)】事業再構築補助金の採択率の推移
事業再構築補助金には、複数の公募枠が設定されています。公募回によって枠のラインナップは異なりますが、どの回でも設定されている最も一般的かつ応募数・採択数ともに多い枠が、「通常枠(成長枠)」と呼ばれるもの。
ここでは、「通常枠(成長枠)」の採択率の推移を表でご紹介します。
応募数 | 採択数 | 採択率 | |
第1回 | 16,967 | 5,104 | 約30.0% |
第2回 | 14,859 | 5,398 | 約36.3% |
第3回 | 15,423 | 5,713 | 約37.0% |
第4回 | 15,036 | 5,700 | 約37.9% |
第5回 | 16,185 | 6,441 | 約39.8% |
第6回 | 11,653 | 5,297 | 約45.5% |
第7回 | 9,292 | 4,402 | 約47.4% |
第8回 | 7,261 | 3,562 | 約49.1% |
第9回 | 5,178 | 2,130 | 約41.1% |
第10回 | 2,734 | 1,242 | 約45.4% |
第11回 | 2,508 | 698 | 約27.8% |
(参照:事業再構築補助金公式サイト「採択結果」)
「通常枠(成長枠)」の応募数は、第1回をピークに減少傾向にあります。第1回の約17,000件と第11回では約2,500件を比較すると、その大幅な減少率がわかるでしょう。
一方、採択率は回を追うごとに上がり、第6回以降は40%台を維持してきました。
しかし、第11回では約27.8%と、大幅な低下を見せています。
【特別枠】事業再構築補助金の採択率の推移
次にご紹介するのは、特別枠の採択率です。
特別枠とは、緊急事態宣言に大きな影響を受けた企業を対象とする枠で、公募回によって呼び名が変わります。「特別枠」「緊急事態宣言特別枠」 「回復・再生応援枠」「物価高騰対策・回復再生応援枠」は、すべて「特別枠」にあたると考えてください。
これらの枠の採択率の推移は次のとおりです。
応募数 | 採択数 | 採択率 | |
第1回 | 5,181 | 2,866 | 約55.3% |
第2回 | 5,893 | 3,924 | 約66.6% |
第3回 | 4,351 | 2,901 | 約66.7% |
第4回 | 4,217 | 2,806 | 約66.5% |
第5回 | 4,509 | 3,006 | 約66.7% |
第6回 | 2,933 | 1,954 | 約66.6% |
第7回 | 2,144 | 1,338 | 約62.4% |
第8回 | 1,522 | 879 | 約57.8% |
第9回 | 1,146 | 590 | 約51.5% |
第10回 | 6,775 | 3,387 | 約50.0% |
第11回 | 5,671 | 1,451 | 約25.6% |
(参照:事業再構築補助金公式サイト「採択結果」)
特別枠の応募数は、第1回以降減少傾向にありました。しかし、第10回に「物価高騰対策・回復再生応援枠」という名前に変わってから、その数は大きく増加し、その数は通常枠よりも多くなっています。
この原因は、売上高減少要件が30%から10%に緩和されたためだと考えられます。
また、特別枠の採択率は、第10回まで50〜60%台を推移してきました。
しかし、全体および通常枠同様、第11回では大きく減少し、これまでの半分に近い25.6%となっています。
第11回公募|事業再構築補助金の採択率
ここからは、令和5年に公募が行われた、最新の第11回公募の採択率について、枠別・業種別にご紹介します。
枠ごとの採択率
まずは、公募枠ごとの採択率をみていきましょう。
応募数 | 採択数 | 採択率 | |
成長枠 | 2,508 | 698 | 約27.8% |
グリーン成長枠 | 597 | 187 | 約31.3% |
産業構造転換枠 | 242 | 53 | 約21.9% |
最低賃金枠 | 189 | 48 | 約25.4% |
物価高騰対策・回復再生応援枠 | 5,671 | 1,451 | 約25.6% |
(参照:事業再構築補助金事務局「事業再構築補助金第11回公募の結果について」)
前述のとおり、第11回公募で最も応募数が多いのは、特別枠にあたる「物価高騰対策・回復再生応援枠」です。次に多いのが、通常枠にあたる「成長枠」。これらは応募数が多い分、採択数も多くなっています。
また、採択率はどれも20〜30%台とこれまでの公募回と比較するとかなり低めです。
「グリーン成長枠」が他に比べやや高めな点を見ると、今後は環境分野を強化していきたいという国の意図があるとも考えられるでしょう。
業種別の採択割合
次に、業種ごとの応募・採択割合をパーセンテージで確認していきます。
応募割合 | 採択割合 | |
建設業 | 13.5% | 13.1% |
製造業 | 19.7% | 30.3% |
情報通信業 | 5.4% | 6.6% |
運輸業・郵便業 | 1.6% | 1.5% |
卸売業・小売業 | 16.1% | 15.1% |
不動産業・物品賃貸業 | 4.1% | 1.9% |
学術研究・専門技術サービス業 | 6.9% | 7.1% |
宿泊業・飲食サービス業 | 11.5% | 8.4% |
生活関連サービス業・娯楽業 | 7.0% | 3.4% |
教育・学習支援業 | 1.6% | 1.2% |
医療・福祉 | 3.5% | 2.4% |
その他サービス業 | 6.8% | 6.3% |
その他 | 2.4% | 2.1% |
(参照:事業再構築補助金事務局「事業再構築補助金第11回公募の結果について」)
上表からは、業種によって応募割合も採択割合も大きく異なることがわかります。
応募割合が多いのは、建設業、製造業、卸売業・小売業。その中でも製造業は、応募割合が多く、また採択割合も30.3%とかなり多いことがわかります。
このことから、事業再構築補助金は、特に製造業にとって申請しやすく、採択されやすいと言えるでしょう。これには、業種による要件の満たしやすさや金額の大きい投資を伴う大胆な挑戦のしやすさが影響していると考えられます。
事業再構築補助金が不採択になる理由
補助金に申請を行って不採択となる主な理由としては、次の2つが考えられます。
書類に不備がある
不採択の理由として多いのが、申請時の書類不備です。実際に、書類不備によって不採択となる事業者は、全体の10%にも上ると言われています。
補助金の申請には複数の書類を用意する必要がありますが、その際には、内容はもちろん、ファイル名や様式、要件等を間違えないよう気をつけましょう。またそのためには、書類提出前に複数人によるチェックを実施すると良いでしょう。
審査項目が網羅できていない
補助金には、複数の要件および審査項目が設定されています。申請にあたっては、これらを網羅していなければなりません。
しかし、要件や審査項目に漏れがあり、不採択となる例も少なくはないようです。
このような漏れをなくすためには、まずは公募要領をしっかり読み込み、要件・審査項目を把握すること、そして提出する事業計画書を論理的に作成していくことが大切です。事業計画書の作成は簡単なものではありませんが、審査項目にもとづいたわかりやすい内容を心がけましょう。
この作成が難しい場合には、豊富な経営の知見を持つ中小企業診断士や申請代行に対応するコンサルタント等に相談するのもひとつの手でしょう。
不採択になった際の対応
不採択になってしまった場合、その事業者はその公募にあたって、補助金を受け取ることができません。しかし、次回以降の公募であれば、改めて申請を行うことはできます。
その際には、今回不採択となった理由を把握し、改善してから、申請に臨むことが重要です。まずは、不採択となった申請内容の見直しから始めましょう。
不採択の具体的な理由は、補助金コールセンターのナビダイヤルから問い合わせることも可能です。
また、書類作成にあたっては、経営の専門家の手を借りることも検討すると良いでしょう。
2024/4/24追記
後述「まとめ」でも記載していますが、コロナ禍から時間が経ち、予算の縮小や採択率の低下が見られます。2024/4/24~第12回が公募開始となりましたが「第13回以降があるのか?」「あるとしても採択率は担保できるのか?」などの問題が懸念されるため、確実に補助を受けたい場合は専門家に依頼する方が安心できるでしょう。
株式会社Smallitでは、年間500件以上の案件をこなし、事業再構築補助金を含む平均採択率が90%以上を維持しているサポートメンバーを有しています。
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まとめ
事業再構築補助金は、中小企業の挑戦を支援する制度です。
その採択率はこれまで40〜50%を推移してきましたが、最新の第11回においては約25%と、大きく数字を下げました。これは、通常枠・特別枠等枠ごとの傾向を見ても同様です。
また、枠ごとではグリーン成長枠、業種ごとでは製造業で、採択の割合がやや高い傾向があります。
今後の事業再構築補助金の採択率は、第11回のように厳しい水準になる可能性があります。
しかし過去の傾向を見ながら、「採択のされやすさとその理由」に注目して事業計画を策定すれば、より採択されやすい書類を作ることは可能でしょう。