無料で始められる配送ルート最適化アプリ9選：比較ポイント・メリット等も解説

こんにちは。新規事業の開発や既存業務の効率化などに使える補助金・助成金の無料診断 / 申請支援を行う『補助金サポート』を提供しているクラウド軍師運営チームです。

ネットショッピングの利用が増加している現代において、商品の配送を担う企業は重要な役割を果たしています。しかし、このような企業では人手不足が深刻。荷物に対するドライバーの数は足りておらず、多くのドライバーが長時間労働を強いられています。

この課題を解決するために必要なのが、配送ルートの最適化を実現するアプリです。アプリによって配送ルートを最適化すれば、配送業務は効率的になり、ドライバーの負担も軽減されるでしょう。

では、配送ルートの効率化を実現するアプリにはどのようなものがあるのでしょうか。また、導入するアプリはどのような基準で選べばいいのでしょうか。

今回は、配送ルート最適化アプリやその選び方について、具体的な製品を挙げながら詳しくご紹介します。

配送ルート最適化とは

配送ルート最適化とは、文字通り、商品の配送・配車ルートを最適なものにすることです。車両や経路、順番などを最適化した配送計画を作成し、ドライバーはその計画で提示されたルートに沿って配送業務を行います。

とはいえ、複数箇所の配送先・複数の車両（ドライバー）がある場合、その配送ルートは何百通り・何千通り・何万通りも存在します。その中から人力で最適なルートを探し出すのは困難でしょう。

そこで利用されるのが、AIです。
多くの場合、配送ルート最適化にはAIが用いられます。AIは、車両や経路、順番、時間指定、道路要件など複数の条件を踏まえ、最適な配送ルートを瞬時に導き出し、提示することが可能です。
AIの指示に従って配送を行えば、全てのドライバーが最適なルートで荷物を配送できるようになります。自分の経験や勘に頼りながら、ドライバー自身がルート作成を行う必要もありません。

AIを用いた配送ルート最適化による配送の効率化は、配送関連業の深刻な人手不足を解決する手段のひとつとして注目され、各社で専用システムの導入が進められています。

配送ルート最適化アプリとは

配送ルート最適化アプリとは、最適な配送ルートを導き出すことのできる専用アプリのことです。このアプリにはAIが搭載されており、条件を入力してルート検索を行えば、あらゆる条件を踏まえたスコアリングから最適な配送ルートを導き出し、それをドライバーや支持者に提示することができます。

膨大な数の組み合わせがある配送ルートの中から最適なものを算出するという高度な作業を短時間で行えるこのアプリは、AI技術の進歩と学習データの増加によって実用性を向上させてきました。
現在では、物流・配送業に限らず、デリバリー業や自社商品の配送業、設備のメンテナンス業、ルート営業など、複数の客先や拠点を移動するあらゆる業種でこのアプリは活用され、移動の効率化を実現しています。

配送ルート最適化アプリの導入メリット

配送ルート最適化アプリの導入によって、業務で複数の配送先や拠点を移動する企業は、次のようなメリットを得ることができます。

上記6つのメリットについて詳しくみていきましょう。

配送時間を削減できる

配送ルート最適化アプリを導入すれば、アプリが毎回最適な配送計画を作成し、ドライバーにルートを指示してくれます。
この配送計画は距離だけでなく、交通状況や荷物の時間指定などあらゆる条件を踏まえた上で、最も配送時間を短縮できるような内容で作成されています。つまり、アプリを活用して配送ルートを最適化することで、配送作業は効率的になり、結果として配送にかかる時間を削減することができるのです。

また、アプリを利用すれば、ドライバーの経験による配送時間の差も出にくくなるのもメリットのひとつ。配送時間が長くなりやすい経験の浅い新人ドライバーも、アプリに従えば、無駄な時間をかけずに最短時間で配送業務を進めることができます。

前述のとおり、配送業は他業種に比べても長時間労働が深刻です。1日の拘束時間が16時間を超えるケースも少なくはありません。
アプリの利用による配送時間の削減は、ドライバーの長時間労働という課題の解決にも繋がります。

人員不足を解消できる

配送ルート最適化アプリによる最適な配送計画を活用すれば、配送に伴う無駄が減り、少ない人数でも多くの荷物を捌きやすくなります。配送業は人員不足が深刻ですが、アプリによって配送が効率化されれば、人員不足に伴う既存ドライバーへの負担も緩和されるでしょう。

また、人員不足の配送会社では、特定のドライバーに負担が偏っているケースが見られます。この状態は、業務生産性の面でも労働環境の面でも良くありません。負担を担うドライバーの離職により、さらに人員不足が深刻になることも考えられます。
しかし、アプリを利用すれば、バランスの取れた配送計画を策定することが可能になります。特定のドライバーへの負担をなくすことで、離職率を下げることも可能でしょう。

さらに、アプリの利用はドライバーの採用においてもメリットをもたらします。採用にあたって「配送ルート最適化アプリの導入によりドライバーの負担軽減を実現している」旨をアピールすることで、就職希望者が増える可能性があるためです。

このように、最適化アプリを利用すれば、企業は配送における人員不足の緩和に対し、多方面からアプローチすることができます。

コストを削減できる

アプリで配送業務を最適化できれば、あらゆる無駄をなくすことができ、結果として企業はこれまで負担してきたコストを削減することができます。

例えば、アプリ利用で配送の効率が上がれば、ドライバーの残業時間が減り、企業は残業代を削減することができます。また、各車両が最短時間・最短距離のルートを走ることで、全体の車両数を減らすことも考えられます。
近年ではガソリン代が高騰しており、それが車での配送や移動を業務とする企業の大きな負担になっています。しかし、配送ルートを最適化すれば、無駄なガソリンの消費を防ぎ、ガソリン代を節約することも可能です。

属人化業務を標準化できる

複数の配送先や拠点を回る業務には、属人化しやすいというデメリットがあります。
長く経験を積んできたドライバーであれば、さまざまなルートを記憶しており、交通事情も把握しているため、最適なルートを自身で構築することができます。しかし、経験の浅い新人であれば、そうはいきません。最適なルートを自身で構築できるようになるにはかなりの期間が必要であり、その間の業務効率は低くなってしまいます。その分、ベテランドライバーに皺寄せがいくこともあるでしょう。

しかし、配送ルート最適化アプリを利用すれば、このような属人化は解消され、業務を標準化させることができます。ベテランドライバーであっても新人ドライバーであっても、アプリの指示に従うことで効率的に業務を進めることができ、業務効率の差は軽減されていくでしょう。
これにより、ベテランドライバーへの負担が増えたりベテランドライバーの離職によって業務が回らなくなったりするリスクも回避することができます。

リアルタイムの動態管理ができる

多くの配送ルート最適化アプリには、各車両に対するリアルタイムでの動態管理機能が搭載されています。
GPSによって「今どの車両がどこを走っているのか」がわかるため、管理者はそれをもとに状況に応じた指示を出すことができます。この機能を使えば、急ぎの配送依頼が入ったり他車両のトラブルによってサポートが必要になったりした場合でも、臨機応変かつ最適な対応を取ることが可能でしょう。

最適なルート作成だけでなく、その柔軟な変更にも対応できる点は、このアプリを導入する大きなメリットです。

経営の最適な見直しができる

配送ルート最適化アプリの利用データは、使うごとに蓄積されていきます。このデータを用いれば、配送の仕方と時間、コストなどの関係を可視化することができ、結果として企業は「もっとも効率的な配送」や「現在の配送の課題」などを数字で把握することができます。

データから得た数字を用いれば、現在の経営を見直し、最適な事業計画を策定することも可能でしょう。
曖昧になりやすい配送業務の現状を数字で把握し、それを経営の見直しに反映させられる点は、アプリ導入に期待できるメリットです。

配送ルート最適化アプリの比較ポイント

配送ルート最適化アプリには、さまざまな種類が存在します。その中から自社に合ったものを比較・選定する際には、必ず次の4つのポイントに注目するようにしてください。

各ポイントについて詳しくご説明します。

1.対応できる条件の種類は十分か

最適なルートを作成するために考慮しなければならない条件には、さまざまなものがあります。例を挙げてみましょう。

• 高速道路の利用の可否
• 渋滞
• 道路の通行止め、一方通行
• 道路の通行可能時間
• 道路の通行可能積載量
• 高架の高さ制限
• Uターン禁止場所
• 荷物の時間指定　など

アプリではこのような条件を踏まえてルート作成が行われますが、設定できる条件の種類や数はアプリによって異なります。自社の求める条件を設定できるアプリでなければ、自社にとって最適な配送ルートを作成することはできないでしょう。

よって、最適化アプリを選ぶ際には、「自社の求める条件設定に対応できるかどうか」という点に注目する必要があります。そのために、自社の求める条件をひとつずつリストアップすることが重要です。

ただし、設定できる条件が少ないアプリでは柔軟な対応ができない可能性があります。アプリ選定にあたっては、自社のニーズと比較しながら、なるべく細かい条件設定ができるものを選ぶことをおすすめします。

2.リアルタイムの動態管理が可能か

急な配送計画の変更に対応したい場合には、GPSによるリアルタイムの動体管理機能が搭載されたアプリを選びましょう。
メリットとしてもご紹介したように、リアルタイムでの動態管理は、急な配送依頼やトラブルによる他車のサポートなどといった不足の事態への対応に役立ちます。

この機能の有無はアプリによって異なります。また、アプリによっては有料オプション扱いになることもあるため、事前によく確認しておくようにしましょう。

3.無料プラン・トライアルがあるか

最適化アプリには、無料プランや期間限定のトライアルを設定しているものがあります。これらを利用すれば、企業はコストをかけずに、実際のアプリの使いやすさを確認することができます。

アプリによって操作性や機能は大きく異なります。導入したアプリが自社に合わず、使いにくかった場合、十分な業務効率化は図れません。アプリの活用が進まず、導入が無駄になってしまうことも考えられます。
これを避けるためにも、まずは無料プランやトライアルのあるアプリを選定し、実際に使用してみてから導入の可否を決めるとよいでしょう。

4.手厚いサポートがあるか

アプリの比較・選定にあたっては、サポート体制についても確認しておきましょう。
多くのアプリは操作性に長け、慣れていない人でも無理なく運用できる仕様になっています。とはいえ、アプリを運用する中で不明点やトラブルが発生することもあるでしょう。このような場合に、早急に不明点を解消したりトラブルを解決したりするためには、ベンダー側からのサポートが必要です。迅速なサポートを受けられない場合、問題は解決できず、業務効率が落ちてしまう可能性もあります。

アプリ運用において安心感をより重視するなら、なるべく手厚いサポートを受けられるアプリを選ぶようにしましょう。
アプリによってサポート手段やその内容は異なるので、必ず確認しておくようにしてください。

無料で始められる配送ルート最適化アプリ9選

ここからは、現在リリースされている配送ルート最適化アプリの中からおすすめのものをご紹介します。今回挙げるのは、次の9つのアプリです。

これらは全て無料プランやトライアルが設定されているアプリです。よって、企業はコストをかける前に実際の操作感を確認してから、導入を決めることができます。
各アプリの特徴を確認していきましょう。

①GuRutto（グルっと）

GuRuttoは、操作性に優れた配送ルート最適化アプリ。行き先を追加し必要な設定を行うだけのシンプルな操作で、まるでグルっと一筆書きするように、複数の地点を繋ぐ最適ルートを作成することができます。

GuRuttoでは、アプリが効率的なルートを作成してくれるため、手作業でのルート作成に比べ移動時間を削減することが可能です。コース数や車両の種類をもとにした効率化や各コースの平均化など、ニーズに合わせた設定にも対応します。

また、このアプリでは、ルート作成やルート保存などの基本機能は無料で利用できます。クラウドサービスなので初期費用も不要。コストと手間の面で、導入しやすいアプリだと言えるでしょう。
一部設定やリアルタイムの動態管理は有料プランのみ利用可能で、上位プランになるほど多くの件数の効率化に対応できます。

②ルートメーカー

ルートメーカーは、基本機能を無料で使える移動ルートの最適化アプリ。複数の目的地を設定すれば、アプリが全ての目的地を経由するルートを作成します。
このアプリでは、所要時間・距離の計測やルートの最適化、訪問順番の入れ替えなどに対応可能。交通手段は「車・バイク」と「徒歩」の2種類から選べます。
シンプルなアプリなので複雑な設定には対応していませんが、基本的なルートナビとして活用できます。

無料プランの場合、ルートに設定できる経由地は10個まで。月額300円の有料版の場合であれば、経由地数の制限はありません。
他にも、有料版では他者とのルートの共有が可能になります。

③Circuit Route Planner

Circuit Route Plannerは、自動で配送ルートを整理してくれるルート最適化アプリです。
配送ルートの最適化により渋滞や引き返しを避け、業務時間の短縮を目指せる他、荷物情報や荷積み場所の記録にも対応。効率的に配送業務を完了させることができます。
配達先の登録は500件まで。立ち寄り先はドラッグ&ドロップで追加可能です。

荷物の管理機能に長け、音声入力にも対応しているCircuit Route Plannerですが、「住所入力を英語で行わなければならない」「ゼンリン地図が使えない」などといったネックも。

また、Circuit Route Plannerには14日間の無料体験が設定されているので、使いやすさを確認した上でサブスクリプション購入を決めることができます。

④配達NAVITIME

配達NAVITIMEは、地図ポータルサイト「NAVITIME」が提供する配達ドライバー向けアプリです。NAVITIMEがカーナビアプリで長年培ってきた技術とデータをもとに、配送業に特化したナビゲーションを実現しています。

このアプリでは、ワンタッチで配送ルートを最適化することができます。住所や郵便番号だけでなく、カメラによる伝票読み取りでも配送先を登録できるので、入力に手間取ることはありません。
時間指定はもちろん、代引き・着払い設定や置き配設定など、細かな配達条件にも対応可能です。

また、配達NAVITIMEではゼンリン地図から建物名や表札を確認することができます。これは、多くの荷物を捌く中での誤配防止に役立つでしょう。

⑤GODOOR

GODOORは、ゼンリン公式の配達アプリ。これひとつで、ゼンリン住宅地図・カーナビ・荷物管理の3つの役割を果たします。

GODOORは、配達先の把握や荷物情報の管理に特化しています。建物名がわからないことによる配達の遅延や誤配、配り忘れをフォローする機能が充実しており、ドライバーの抱えるさまざまな課題を解決することが可能です。
また、ゼンリン公式ならではの質の高いカーナビと地図も、GODOORの魅力でしょう。

ただし、このアプリにはルート作成の機能は付いていません。よって、配達する荷物の数があまり多くない業者やルートの流れを把握しているドライバー向きだと言えるでしょう。

GODOORは初月無料で利用できます。

⑥LYNA 自動配車クラウド

LYNA 自動配車クラウド は、ユーザー継続率95.5%の実績を持つAI自動配車システム。
これを利用すれば、AIのアシストにより、経験や勘に関係なく、誰でも最適な配送計画を立てられます。コストを重視した設定が可能なので、コスト削減を目指す企業にもおすすめです。

車両の稼働状況のグラフ化や車両別の配送ルート一覧など視認性の高い画面設計もこのアプリの魅力。企業ごとにシステムをチューニングすることもできるので、独自性の高い業態にも対応可能です。

また、LYNA 自動配車クラウドは企業ごとの複雑な条件に対応でき、サポートも手厚いのが特徴。知見のあるスタッフによるオンラインサポートの他、オフラインでのサポートも充実しています。

※拠点数、車両台数、利用人数などによって異なるため、要見積もり

⑦ODIN 配送計画

ODIN 配送計画は、BtoBの配送業務に特化した配送計画立案システム。運送業をはじめ、建設業やレンタル業、介護業など幅広い業種で活用されています。

このシステムは、配送計画作成の早さが特徴。独自のアルゴリズムを利用し、複数の配送先を繋ぐ最適なルートを数十秒〜数分で作成します。
また、アプリで作成される配車表では、その日のドライバーの予定を可視化できます。パッと見るだけで空き時間がわかるので効率的な割り当てができ、割り当て漏れもなくすことができます。

曜日ごとの定期便ルートを登録したり人力で組み立てたルートを反映させたりすることも可能で、配送指示書の作成にも対応可能。
オプションの動態管理機能を追加すれば、ドライバーはスマホアプリから配送指示書やルートを確認することができます。