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2010年に行われた労働基準法の改正を受け、2023年4月から時間外労働に対する割増賃金率の引き上げが行われます
その対象となるのは中小企業。各企業には、これに対応できる環境整備が求められます。

では、この割増賃金率については具体的にどのような法改正が行われ、企業はどのように対応すればいいのでしょうか。

今回は、もうすぐ施行される割増賃金率の引き上げについて詳しく解説します。

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働き方改革とは

働き方改革とは、日本が抱える生産年齢人口減少等の複数の問題を解決すべく、人々がそれぞれの事情に合った柔軟な働き方を選べるようするための改革のことです。
これを実現するための法律が、働き方改革関連法。これをもとに、労働関連法の改正が進められています。
今回解説する割増賃金率の引き上げも、その一部です。

背景

働き方改革実施の背景には、日本社会の抱える次のような問題があります。

・生産年齢人口の減少
・慢性的な長時間労働
・有給取得率の低さ
・正規労働者と非正規雇用労働者間の格差
・育児・介護と仕事との両立困難
・働き方に対するニーズの多様化 など

特に深刻なのが、生産年齢人口の減少。少子高齢化が進む日本では、主力として労働を担う生産年齢人口が、大幅なペースで減少しています。このままでは、2060年には生産年齢人口がピーク時の半数になるという試算も出ています。

こうして生産年齢人口がどんどん減少していけば、あらゆる業界で人手不足が深刻になり、経済的なダメージが発生するでしょう。すると、当然日本の国力は低下していきます。

また、日本には上記のような労働環境の問題も多数。
長時間労働は慢性化し、労働者は有給も十分に取れていません。そのような状況では育児や介護と仕事の両立は難しく、これは人手不足に拍車をかける要因にもなっています。

目的

前述した問題による日本経済・社会への影響、ひいては国力低下を避けるために始められたのが、働き方改革です。

この改革では、長時間労働や非正規の格差などといった労働環境の問題を改善していくことで、国民ひとりひとりの、自身の事情に合わせた柔軟で多様な働き方の実現を目指します。これにより、一億総活躍としてより多くの人が社会で自身の能力を発揮できるようになれば、それは人手不足を改善すること、また国民ひとりひとりが将来により良い展望を持てるようになることに繋がります。

また、この改革ではデジタル技術を用いた生産性向上も推進。これも、人手不足や長時間労働などの課題解決に有効です。

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割増賃金とは?2023年4月から中小企業も対象に

割増賃金率の引き上げは、2010年の労基法改正で決定されましたが、その後中小企業を対象に猶予措置が取られていました。この猶予措置の終了を決めたのが、2019年4月施行の働き方改革関連法です。

割増賃金とは

日本では、1日8時間、週40時間が法定労働時間として定められています。しかし、企業が労働者との間に36協定を締結し、それを労基署に届け出れば、これを超えて働いてもらうことは可能です。
ただし、法定労働時間を超えて行う労働は、時間外労働として割増賃金支払いの対象となります

割増賃金とは


法定労働時間を超えた時間外労働に対する、通常の賃金を割増して支払われる賃金のこと。

割増賃金は労働基準法第37条に定められているもの。会社の規模や時間外労働の総時間(月毎)などによって、その割増率(下限)が定められています。
また、時間外労働だけでなく、休日労働や深夜労働も割増の対象となります。

2023年4月から適用の法改正の内容

2023年4月から適用されるのは、「中小企業における時間外労働の割増率の引き上げ」です。
どの部分が変更になるのか、表で確認してみましょう。

時間外労働中小企業月60時間以下25%以上
月60時間超25%以上→50%以上に変更
大企業月60時間以下25%以上
月60時間超50%以上
休日労働35%以上
深夜労働25%以上

このように、時間外労働や休日労働、深夜労働の賃金割増率は、企業の規模や時間によって異なります。
今回変更となるのが、「中小企業での月60時間を超える時間外労働」に対しての割増率。これまで25%だった掛け率が、50%に引き上げされます。

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該当の中小企業は?

この変更で気になるのが、「どんな企業が中小企業にあたるのか」という点。
中小企業かどうかは、業種や資本金、労働者数によって決められます。

【小売業の場合】
資本金額もしくは出資金額・・・5,000万円以下
常時使用の労働者数・・・50人以下
【サービス業の場合】
資本金額もしくは出資金額・・・5,000万円以下
常時使用の労働者数・・・100人以下
【卸売業の場合】
資本金額もしくは出資金額・・・1億円以下
常時使用の労働者数・・・100人以下
【その他】
資本金額もしくは出資金額・・・3億円以下
常時使用の労働者数・・・300人以下

上記の各業種における2つの条件のうちどちらかを満たせば、その企業は中小企業と判断されます。

割増賃金率の引き上げまでにやるべきこと

割増賃金率の引き上げ適用に向け、中小企業はそれに対応できる環境を整えておかなければなりません。特に次の4点については、体制を整備しておくべきでしょう。

・労働時間を正確に記録できる仕組みづくり
・就業規則の見直し
・代替休暇制度の検討
・業務効率化の推進

詳しく見ていきましょう。

労働時間を正確に記録できる仕組みづくり

今回の変更に限らず、時間外労働に対してきちんとその対価を支払い、かつ長時間労働を抑制するには、各従業員の労働時間を正確に把握する必要があります。そのための仕組みづくりは、企業がまず取り組むべきことでしょう。

厚生労働省も、「使用者が労働者の労働時間を訂正に把握すること」「そのために始業・終業時刻を確認すること」を労働時間把握に関するガイドラインの中で定めています。
さらに、労働時間を記録するための方法としては、次の2つの方法を挙げています。

・使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録すること。
・タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎 として確認し、適正に記録すること。

(引用元:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置 に関するガイドライン」

つまり、使用者による確認、またはデジタル機器などの客観的記録による労働時間の把握が必要なのです。
これを実現するには、タイムカードや勤怠管理システムなどの活用が効果的です。中でも勤怠管理システムなら、労働時間や労働日数の計算が自動化され、状況の把握はしやすくなるでしょう。

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代替休暇制度の検討

割増率引き上げに際しては、代替休暇制度を取り入れるのも、ひとつでしょう。

代替休暇制度とは

月60時間を超過した分の時間外労働に対し、割増賃金を支払う代わりとして有給休暇を付与する制度

この制度は労働基準法第37条に定められているもの。本来割増賃金を支払わなければならない時間外労働について、有給休暇を与えることで代替します
休みを与えることで従業員のワークライフバランスを向上させ、その健康維持を促進することができること、また企業の残業代負担を抑制できる可能性があることが、その目的です。

ただし、この制度の対象は月60時間を超えた分の時間外労働のみ。60時間以内の時間外労働については、25%割増の賃金支払いが必要です。

就業規則の見直し

割増賃金率が引き上げられるとなると、就業規則の見直しも必要でしょう。
残業代や休暇制度の取り扱いが変われば、必ず就業規則部分にその内容を反映させなければなりません
この見直しはなるべく早めに行い、引き上げが適用となる2023年4月から運用を開始できるようにしましょう。

業務効率化の推進

今回の法改正は、慢性化する長時間労働を減らすための対策のひとつです。
割増率が上がると、時間外労働における企業の負担は当然大きくなります。この負担を避けるためにも、企業は業務を効率化し、時間外労働を減らす努力をしなければなりません。

業務プロセスを見直して最適化したり、属人化を改善したり、デジタル化を進めたりと、業務効率化のための方法はさまざま。自社の課題に合った方法で業務効率を上げ、企業と従業員の負担を軽減させましょう。

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まとめ

割増賃金率の引き上げ実施は、間近に迫っています。その影響を受ける中小企業は、それまでにその内容を把握し、適切な対策を取らなければなりません。

また、企業と従業員の負担を減らすには、残業自体を減らす努力も重要です。今後は、自社に合った手段による業務効率化も推進していくべきでしょう。


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