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社内に新たなパソコンを導入する際には、キッティングという作業が必要です。これを終えてからでないと、パソコンは使用できません。
しかし、この作業は工数が多く複雑。実施には手間もかかります。特に機械が苦手な人の場合、「どう進めれば良いか」わからず頭を抱えてしまうこともあるでしょう。
そこで今回は、PCのキッティングについてその概要と進め方をわかりやすく解説します。
PCのキッティングとは
PCのキッティングとは、PC導入時に行う一連のセットアップ作業を指す言葉です。
購入したばかりのPCは、そのまますぐに使用できるわけではありません。PCを使える状態にするには、各種設定やインストールなど、ユーザーはいくつもの作業を行わなければなりません。これがキッティングです。
具体的な作業を挙げてみましょう。
- 開梱、通電確認、周辺機器接続
- OSのインストール
- 初期設定(ネットワーク、セキュリティ含む)
- 業務で使うアプリケーションのインストール、アップデート
- セキュリティパッチの適用 など
キッティングの工数は多く、作業を終えるまでには一定の時間がかかります。
これが完了すれば、ユーザーはPCを利用できるようになります。
キッティングの作業手法
この作業手法は、次の2つに分類されます。
- 手作業・・・一台一台のPCに対し手作業で作業を行う
- クローニング・・・マスターPCから一度に複数のPCに対し作業を行う
各手法の特徴を見ていきましょう。
手作業の特徴
手作業は、対象のPCの台数が少ない場合に向いています。1台ずつ作業するため、対象が多いと対応しきれず、ミスも発生しやすくなるためです。
この手法の特徴は以下の通りです。
- 事前準備なしですぐに作業を始められる
- 作業が属人化しやすい
- ヒューマンエラーが発生しやすい
- 1台あたりのコスト(人件費)が高くつく
対象PCの台数が少なく、かつ人員や予算などのリソースを確保できる場合には、手作業を検討すると良いでしょう。
クローニングの特徴
クローニングは、対象のPCの台数が多い場合に向いている手法。マスターPCからのコピーによって、一度に大量のPCを扱えます。
この手法の特徴は以下の通りです。
- 多数のPCに対応可能
- 各PCにおける作業品質の均一化
- 専門知識が必要
- マスターイメージ作成に時間がかかる
この手法では、マスターイメージのコピーを他のPCに配布します。よって、効率的かつ均一の品質での作業が可能です。
ただし、これは専門知識がなければ行えません。イメージの作成にも数週間〜1ヶ月程かかるため、時間の確保も必要でしょう。
採用する手法は、対象のPCの台数によって選ぶべきです。目安としては、10台未満なら手作業、10台以上ならクローニングを選択すると良いでしょう。
PCのキッティングの作業手順
ここからは、作業手順を手法ごとに見ていきましょう。
手作業の場合の手順
手作業の場合の手順は、次の通りです。
- 開梱・電源を入れる
- ログインユーザー設定
- 各種設定
- アプリケーションのインストール
- セキュリティ設定
- セキュリティパッチの適用
- ラベル貼付・台帳記帳
各手順について詳しくご説明します。
1.開梱・電源を入れる
まずは、PCを箱から取り出し、使用場所にセットします。同梱の取扱説明書も取り出し、すぐ使える場所に保管するようにしましょう。
コンセントを指し、PCの電源を入れます。
2.ログインユーザー設定
PCが起動したら、はじめにログインユーザーの設定を実施します。
この時にBIOSのセットアップを行うケースもありますが、一般的なPCでは初期設定の段階でBIOSは適切に設定されています。そのため、特別な作業は必要ないケースがほとんどでしょう。
3.各種設定
ホスト名、IPアドレス、Wifiなど、各種設定を実施します。
4.アプリケーションのインストール
業務で利用しているアプリケーションをインストールします。必要に応じて、ライセンス認証も行います。
5.セキュリティ設定
セキュリティをはじめ、省エネや画面表示など、PC利用に必要な各種設定を実施します。
6.セキュリティパッチの適用
セキュリティパッチが配布されている場合には、その適用を実施します。
セキュリティパッチやアップデートプログラムには、既存の脆弱性対策が含まれます。脆弱性に対するリスクを抑制するためにも、これらの適用は速やかに行うようにしましょう。
7.ラベル貼付・台帳記帳
最後に各PCに管理番号を記載したラベルを貼付しましょう。また、各PCについては会社の資産として、その状態やコストを台帳で管理するようにしてください。
クローニングの場合の手順
次に、クローニングの場合の手順を確認していきましょう。
- マスターPCを作成
- PC内の固有情報の削除
- マスターイメージの作成
- 各PCのブートオーダーを変更
- マスターイメージの配信
- 個別のセットアップを実施
- 動作確認・評価
各手順について詳しく見ていきます。
1.マスターPCを作成
まずは、作業のベースとなるマスターPCを作成します。
OSをセットアップした後の初期設定画面より、[Ctrl] + [Shift] + [F3]でOSにログインしてから、手作業と同様の手順でPCのキッティングを行います。
2.PC内の固有情報の削除
OSに搭載されているSysprepを用い、PCの固有情報を削除します。
これを行わずにこの後の作業を実行した場合、ライセンス違反になる可能性があるので注意しましょう。
3.マスターイメージの作成
次に、マスターイメージの作成に入ります。専門ツールを用い、作業を進めましょう。
4.各PCのブートオーダーを変更
各PCのブートオーダーを変更し、マスターPCからの同時コピーができるようにします。
この変更は、それぞれのPCのハードディスク上で実施します。
5.マスターイメージの配信
各PCにマスターイメージを配信します。
6.個別のセットアップを実施
ホスト名、IPアドレスの設定など、各PCの個別セットアップを行います。
7.動作確認・評価
動作確認・評価を実施し、問題がないか・業務を開始できるか確認します。
自社でキッティングを行う際の注意点
作業を自社で行う場合には、必ず次の3点に気をつけるようにしてください。
- 事前準備を念入りに行う
- 適切なスケジュール管理を行う
- セキュリティ対策に力を入れる
各ポイントについて確認していきましょう。
事前準備を念入りに行う
自社での作業を問題なくスムーズに進めるには、事前準備が大切です。
作業前には手順書やチェックシートを作成し、検証にも念を入れるようにしましょう。
この準備をおそろかにすると、ミスや不具合が発生する恐れがあります。クローニングの場合は、マスターイメージに関するミスが他のPCにも波及するので、特に気をつけましょう。
適切なスケジュール管理を行う
作業はすぐに終わるものではありません。台数にもよりますが、作業の完了までにはある程度の時間を要します。
そのため、PCが必要になるタイミングから逆算し、リソースを踏まえ、余裕を持ったスケジュール設定を行いましょう。
セキュリティ対策に力を入れる
安全にPCを利用するためには、セキュリティ対策も重要なポイントです。
例えば、「特定のアプリ以外の使用を不可にする」「閲覧サイトを制限する」「ロック機能を設定する」など。このようにセキュリティ設定を強化することで、従業員のPC利用におけるリスクを抑制できます。
キッティングを効率化する方法
ご紹介したように、キッティングには手間と時間がかかります。これを効率化するには、次の2つの手段が効果的です。
- 方法1:外部の専門企業にアウトソーシングする
- 方法2:クローニングツールを活用する
キッティングは、外部のIT企業にアウトソーシングすることができます。コストはかかるものの、専門企業に作業を任せれば、自社の負担を軽減しながら、質の高い作業を実現できるでしょう。
ただしこの場合、外注先の選定は慎重に行う必要があります。作業範囲や期間、コストについてもよく確認するようにしてください。
また、専用ツールの活用も検討しましょう。ベンダーからは、クローニング作業を簡単かつ効率化してくれるツールがリリースされています。
これを利用すれば、自社での作業も進めやすくなるでしょう。
まとめ
キッティングは、PCの利用を開始するため、また安全・快適な環境でPCを利用するために欠かせない作業です。
この作業には2種類の手法がありますが、どちらも工数が多く、実施には時間と手間を要します。そのため、作業の実施は計画的に行う必要があります。
自社で作業を行う場合には、必ず事前準備やスケジュール調整を念入りに行い、問題なく作業を進められるようにしましょう。
また、効率的な作業のため、アウトソーシングや専用ツールの導入も検討すると良いでしょう。