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工場の看板や商品パッケージで、ISO9001、ISO14001などの表示を目にすることがあります。
これは、ISO認証と呼ばれるもの。認証を取得した企業は、認証取得企業として、取引などのシーンで信用性を向上できたり、毎年受ける審査によって継続的な内部プロセスの改善を図れるなど、継続的な事業を行うにあたり有利性の高い企業として営業することができます。

今回は、ISO認証の中でもISO9001を中心に、ISO認証の概要や取得方法、メリット・デメリットなどを詳しく解説していきます。

ISOとは

ISOとは、「International Organization for Standardization」の略で、国際標準化機構という非政府組織のことを指します。
ISOは、円滑な国際的取引や製品の均質化のために、国際的な基準となる国際規格の制定を行っている組織。ISOが認定した規格の製品やシステムは、ISO認証取得を掲げることができ、これは国際的な信頼に繋がります。

ISOが認定する対象は、大きく2種に分かれます。それが、「モノ」と「マネジメントシステム」。
モノに対する規格認証は「モノ規格」と呼ばれ、マネジメントシステムに対する規格認証は「マネジメントシステム規格」と呼ばれます。

モノ規格とマネジメントシステム規格の例を挙げてみましょう。

モノ規格の例マネジメントシステム規格の例
ネジ(ISO68)

クレジット等カードのサイズ(ISO/IEC7810)

非常口マーク(ISO7010)

フィルムの感度(ISO100、400、3200など)

海上コンテナ(ISO668)など

品質マネジメントシステム(ISO9001)

環境マネジメントシステム(ISO14001)

食品安全マネジメントシステム(ISO22000)

労働安全衛生マネジメントシステム(ISO45001)

道路交通安全マネジメントシステム(ISO39001)  など

モノ規格は製品そのもの、マネジメントシステム規格は仕組みに対する規格認証だと考えると良いでしょう。

ISO9001とは

ISO9001は、「品質マネジメントシステム」 の国際規格のこと。提供する製品やサービスの品質を維持・向上するための、管理・改善の仕組みが整備されていることを保証する規格です。
これはISOによるマネジメントシステム規格のひとつで、世界で170ヵ国以上、100万以上もの組織に活用されています。

ISO9001の認証を受けるために求められるのは、以下の2点です。

①一貫した製品・サービスの提供
②顧客満足度の向上

さらに具体的に言うと、上記2点を達成するために、ISO9001ではQCDのバランスが求められます。QCDとはQuality(品質)、Cost(値段)、Delivery(納期)の略称のこと。

たとえば、いくら品質が良くて価格が安くても、納品に5年もかかるようではビジネスがビジネスが立ち行きません。同じように、どれだけ価格が安くて納期が早くても、品質が低ければ欠陥品が増え、多くの問題が発生するでしょう。

このように、ISO9001基準では、QCDのバランス良く満たすことが①一貫した製品・サービスの提供 ②顧客満足度の向上の双方を満たすと考えられています。

ISO9001の認証取得に、業種や業態の制限はありません。ISOの求める要件や基準を満たしさえすれば、製品やサービスを顧客に提供するあらゆる企業・組織が、ISO9001を取得することができます。

品質マネジメントシステム(QMS)とは

品質マネジメントシステム(QMS)とは、製造した製品や提供するサービスの品質を維持するための仕組みです。

製品やサービスの受注から製造、納品までの過程における手順やルールを決めて実行し、結果を評価して改善するPDCAサイクルを繰り返すことで、一定品質の製品やサービスを提供できるようにします。

ISO9001 PDCA

これにより、顧客に対して一定品質の製品やサービスを常に提供することができます。

ISO9001とISO14001の違い

ISO9001と並んでよく耳にする認証の種類に、ISO14001という国際規格があります。

ISO14001は、「環境マネジメントシステム」の規格のこと。具体的には、経済的なニーズと変化する環境に対応しながら環境を保護し、環境パフォーマンス向上を目指すマネジメントシステムを指します。

◆ISO9001とISO14001の違い

規格番号名称概要
ISO9001品質マネジメントシステム提供する製品やサービスの品質を維持・向上するためのマネジメントシステム
ISO14001環境マネジメントシステム環境パフォーマンス向上を目指すマネジメントシステム

ISO9001とISO14001はどちらもISOのマネジメントシステム規格ですが、その対象と内容は上記のように異なります。
ISOのマネジメント規格には、労働に関するもの、情報セキュリティに関するもの、食品衛生に関するものなど、他にも複数の種類の規格があり、それぞれに認証番号や対象、内容などが定められています。

ISO9001認証の取得方法

ISO認証取得方法を、4つのプロセスごとに見ていきましょう。

1.社内プロジェクト立ち上げ・必要事項の決定

まずはISO9001取得のためのプロジェクトを立ち上げ、メンバーやその役割を決定します。
メンバーが決まったら、ISO9001の取得範囲や取得目的、期間など、必要事項を決めていきましょう。スムーズに物事を決めるには、日本規格協会グループが販売している要求事項を参考にすると良いでしょう。

またこの時、全従業員に対しISO9001取得を目指す旨を宣言し、理解を得ておくことも大切です。

2.マネジメントシステム構築・運用

次に、ISO9001取得を目指すマネジメントシステムの構築に入っていきます。
現状とその課題を洗い出して管理すべきポイントを明確にし、マネジメントシステムを構築していきましょう。内容はマニュアルとして文書化しておきます。

システムが構築できたら、運用担当者を決めて試運用を開始します。運用結果は見直して評価し、必要に応じて改善を行うなど、PDCAサイクルを回します。

3.認証機関による審査

システムが整備できたら、認証機関による審査を受けます。審査は二段階になっていて、第一審査では書類審査やシステムの運用状況の確認が、第二審査ではISOの要求事項に沿ったシステム運用が出来ているかどうかの実地審査が行われます

4.認証登録

ISO審査機関の審査を経て認証登録が決定されれば、登録証が発行され、ISO9001認証企業としての活動を始められます。

ただし、認証登録には有効期間があるため、認証を維持するには定期的に審査を受けなければなりません

ISO9001が普及している背景

ISO9001はISOマネジメントシステムの中でも広く普及している認証です。その普及の背景には、製造業に対する社会のニーズが影響しています。

近代の製造業の課題は、「どのようにして大量生産を効率的に行うか」という点にありました。そんな中生まれたのが、製品の不良率を下げ生産の効率化を目指す「品質管理・品質保証」という考え方
この考え方は急速に浸透し、やがて1987年に「品質保証のモデル規格」として発行されたのが、ISO9001です。

「品質管理・品質保証」の観点から、親会社や取引先が要望としてISO9001の取得を製造業者に求めたり、官公庁が入札要件としてISO9001の取得を設けたりケースは増加しました。
その結果、取引先のニーズに応え、社会的信頼を向上させ、取引機会を増加させるために、製造業を中心にISO9001を取得する動きが広まったのです。

企業がISO9001認証を取得する理由

企業がISO9001認証を取得する主な理由としては、「信頼性向上」「事業参入機会の増加」「業務・意識改善」などが挙げられます。

「品質管理・品質保証」という考え方が浸透した社会において、ISO9001の取得は、その企業や製品、サービスの信頼性向上に繋がります。

また前述のように、ISO9001取得を取引要件とする会社や官公庁が多いことを考えると、ISO9001を取得した企業は、取得していない企業と比べ事業参入の機会が増加することになります。企業として活躍のチャンスを広げるため、ISO9001取得を目指すのは当然の流れでしょう。

さらに、現状の業務や従業員の意識に課題を感じ、それらを改善するために品質マネジメントシステムを整備し、ISO9001を取得するケースもあります。

ISO9001認証取得のメリット

ISO9001認証取得により企業が得られる具体的なメリットには、下記のようなものがあります。

・製品やサービスの競争力が向上する
・取引先や顧客からの信頼性が増す
事業参入要件を満たすことによるチャンス増加
・業務が効率化する
・従業員の意識が向上する
・企業や業務におけるルールや責任の所在が明確になる など

ISO9001認証を取得した企業は、ISOに認められた品質マネジメントシステムのもとで業務が行われている組織であるということ。これにより、取引先や顧客からの信頼性は増し、製品やサービスの競争力も向上します。
また、システムの構築によって業務効率やルール、従業員の意識が改善し、企業運営がより円滑になるメリットも期待できます。

ISO9001認証取得のデメリット

ISO認証取得には下記のようなデメリットもあります。

認証取得・維持に時間や費用を要する
・認証取得の効果実感に時間を要する
・従業員の負担が大きくなる可能性がある など

ISO認証を取得し、維持し続けるためには、システムの構築・運用・改善といった手間と労力が必要です。新しいシステムの導入が、従業員の負担になることもあるでしょう。

また、ISO認証取得の効果を実感するまでに時間がかかる点もデメリットだと言えます。システム運用には労力がいるものの、すぐに認証取得によるメリットを得られるわけではないので、従業員の不満が募る可能性もあります。

まとめ

ISO9001をはじめとしたISO認証取得は、企業にとって大きな強みとなります。ISO認証を取得している企業に対する社会の信頼性は高く、これは製品・サービスの売上や評価にも繋がるでしょう。

企業の強みを創出する手段として、ISO認証取得は有効です。認証取得には一定の手間がかかりますが、長い目で見た企業の競争力や価値向上を目指すなら、ISO認証の取得を検討してみてください。

監修者情報
合同会社Straid CEO 武林 勝太郎合同会社Straid CEO 武林 勝太郎
1985年生まれ。IT企業においてS/W・H/W・クラウドソリューションのセールスに3年従事し、BtoBマーケティング組織構築のマネジメントへ移行。ABM(Account Based Marketing)の構築を中心にDMP/CDP、MA、CRA/SFAを用いてパイプライン設計構築、KPI/KGI設計を行い、ToB、ToC共にマーケティングフローの設計構築を担う。その後、新規事業部に移籍し、データを活用した顧客リテンションツール、マスメディアとの連携をした地場活性化プラットフォームなどの立ち上げを担当。2017年からフリーランスとして独立その後2022年にマーケティングコンサルタント、ビジネスデベロップメント、自社サービス運用を軸に合同会社Straidを設立。

ISO9001に関するよくある質問

ISO9001を取得する意義は?

企業がISO9001認証を取得する主な理由としては、「信頼性向上」「事業参入機会の増加」「業務・意識改善」などが挙げられます。

詳しくは、企業がISO9001認証を取得する理由をご覧ください。

ISO9001の規格一覧は?

ISO9001は品質管理システムの国際規格であり、その規格一覧は以下のとおりです。

  1. ISO 9000:2015 – 品質管理システムに関する基本用語と原則
  2. ISO 9001:2015 – 品質管理システムの要件
  3. ISO 9004:2018 – 継続的改善に焦点を当てた品質マネジメントの指針
  4. ISO 19011:2018 – マネジメントシステム監査のための指針
ISO規格の身近な例は?

ISOが認定する対象は、大きく2種に分かれます。それが、「モノ」と「マネジメントシステム」。
モノに対する規格認証は「モノ規格」と呼ばれ、マネジメントシステムに対する規格認証は「マネジメントシステム規格」と呼ばれます。

モノ規格とマネジメントシステム規格の例を挙げてみましょう。

モノ規格の例マネジメントシステム規格の例
ネジ(ISO68)

クレジット等カードのサイズ(ISO/IEC7810)

非常口マーク(ISO7010)

フィルムの感度(ISO100、400、3200など)

海上コンテナ(ISO668)など

品質マネジメントシステム(ISO9001)

環境マネジメントシステム(ISO14001)

食品安全マネジメントシステム(ISO22000)

労働安全衛生マネジメントシステム(ISO45001)

道路交通安全マネジメントシステム(ISO39001)  など

モノ規格は製品そのもの、マネジメントシステム規格は仕組みに対する規格認証だと考えると良いでしょう。

詳しくは、ISOとはをご覧ください。