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パソコンを導入する際には、まずキッティングという作業を行わなければなりません。
キッティングは工数が多く、ある程度の時間を要する作業です。複数台のパソコンに実施するには、かなりの労力と時間が必要でしょう。
そこで、この作業を効率化するために有効なのが、キッティングの自動化。
今回は、キッティングの自動化のための方法と、それに役立つ専用ツールをご紹介します。
キッティングとは
キッティングとは、PCなどのデバイスをすぐに使える状態にする作業のこと。デバイスの入った箱の開梱からソフトウェアのインストール、各種設定、台帳への記帳まで、一連の作業を指します。
キッティングはセットアップと混同されやすいですが、セットアップがソフトウェアのインストールや各種設定作業のみを指すのに対し、キッティングは開梱から記帳まで全ての作業を含みます。セットアップは、キッティングの中の一部の作業を指すと考えると良いでしょう。
この作業は、新しくPCを導入した時はもちろん、PCの入替時やOS移行時にも行われます。
キッティングの方法は、「手作業」と「クローニング」の2種。前者では1台のPCごとに手作業でキッティングを行い、後者ではひとつのマスターイメージを他のPCにコピーして複数台のPCのキッティングを完了させます。
キッティングについては、「PCのキッティングとは?作業手順・注意点・効率化の方法を解説」で詳しくご説明しています。
PCのキッティング作業を自動化する方法
工数が多く手間のかかるキッティングは、自動化することで作業の効率化を図れます。
キッティングを自動化する具体的な方法としては、次の6つが考えられます。
- 方法1:バッチプログラムを活用する
- 方法2:Windows Autopilotを利用する
- 方法3:Windows Active Directoryを利用する
- 方法4:プロビジョニング手法を利用する
- 方法5:ベアメタルビルド手法を利用する
- 方法6:クローニングツールを導入する
各方法を詳しく解説します。
方法1:バッチプログラムを活用する
一定量・一定期間のデータを集め、一括処理するためのプログラムを、バッチプログラムと呼びます。これを活用すれば、キッティングの各作業を自動化することが可能です。
バッチプログラムでは、大量のデータ処理も夜間の処理も、人の手をかけずにプログラムで実行できます。
この方法では、コマンドプロンプトまたはPowerShellを利用し、コマンドを順番通りに設定します。事前にキッティングの各作業を洗い出し、コマンドごとに分類しておくと、この作業は進めやすいでしょう。
方法2:Windows Autopilotを利用する
Windows Autopilotは、Microsoftが提供するキッティング機能。この機能では、クラウドを通じ、複数台のパソコンへのキッティングを自動で行えます。
会社のIT管理を行うシステム部門が事前にAutopilotのプロファイルを作成しておけば、エンドユーザーは新しいPCをインターネットに繋いでそれを同期し、簡単にキッティングを終わらせることが可能です。
ただしWindows Autopilot機能は、「Microsoft 365 Business」「Microsoft Store for Business」「Azure AD (Microsoft Azure Active Directory)」「Microsoft Intune」いずれかのユーザーでなければ使えないので注意しましょう。
方法3:Windows Active Directoryを利用する
このWindows Active Directoryも、Microsoftが提供する機能のひとつ。デバイスやサーバー、アプリケーションなど、ネット上のオブジェクト情報を一元管理することができる機能です。
Active Directoryを利用すれば、ドメインのソフト管理機能から、使用するソフトをまとめて設定することが可能です。これにより、各ソフトをひとつずつ、PCごとにインストールする手間はなくなります。
方法4:プロビジョニング手法を利用する
プロビジョニングとは、マスターイメージを作成しないで行うキッティング方法。手間のかかるマスターイメージの作成が不要なので、作業を効率化できます。
この手法では、WindowsADKの“Windows構成デザイナー”というツールを活用して、プロビジョニングパッケージ(OSやソフトウェアの設定・インストール情報など)を作り、それを対象のパソコンに展開します。
環境やアプリケーションは限定され、PCの大規模導入には向かないものの、キッティングの短時間化に有効です。
方法5:ベアメタルビルド手法を利用する
ベアメタルビルドとは、Windowsの「バックアップと復元」でも使われている、環境の自動構築手法。マスターPCなしでOSの設定やアプリケーションのインストールが自動で行えます。
自動化作業は複雑化しやすいですが、複雑な構築にも対応でき、PCの大規模導入のキッティングを効率化できる点が、この手法の特徴です。
方法6:クローニングツールを導入する
前述の通り、クローニングとは、ひとつのマスターイメージを他のPCにコピーして複数台のPCのキッティングを行う手法のこと。大量のPCキッティングに向いていますが、マスターイメージの作成に手間がかかるという懸念点もあります。
とはいえ、クローニングには専用のツールがあるので、これを活用することでより効率的で正確な作業が可能です。よって、大量のPC導入にあたっては、クローニングツールの導入も検討すると良いでしょう。
おすすめのPCキッティング自動化ツール8選
PCのキッティング自動化ツールには、さまざまな種類があります。今回ご紹介するのは、次の8つのツールです。
- PalletControl
- Acronis Snap Deploy
- Symantec Ghost Solution Suite
- SetROBO for Kitting
- 瞬快
- ActiveImage Deploy USB™
- ImageMaker
- M2DeployTools
それぞれの特徴を見ていきましょう。
PalletControl
PalletControlは、JALグループのPC展開・管理を支えてきた実績を持つキッティングソフトウェアです。
ネットワークの設定やアプリケーションの配布、ドメインへの参加などといったキッティング作業の自動化が可能で、PC情報を管理し、展開から運用、廃棄まであらゆる作業をサポートします。
柔軟性の高い配布設定機能や台帳の作成・編集機能を有する点が、このツールの特徴です。
Acronis Snap Deploy
キッティングツールであるAcronis Snap Deployでは、イメージファイルを作成し、それを複数台のPCへ一斉配置することができます。それぞれのPCを手動で立ち上げる必要はなく、従業員への負担の少ない効率的なキッティングを実行することが可能です。
処理速度に優れたこのツールは、多くのPCに対する高速でのベアメタルデプロイに適しています。手順はシンプルで、操作性にも優れています。
Symantec Ghost Solution Suite
Symantec Ghost Solution Suiteは、PCやタブレット、サーバーのイメージおよび配備をサポートするソフトウェアです。
このツールは、多くの企業に導入されているキッティングの定番ツール。スピーディーなイメージングやその配備が可能で、PC1台ごとの作業にも複数台同時の作業にも対応し、簡単な手順でクローニングを完了させることができます。
SetROBO for Kitting
SetROBO for Kittingは、キッティング専用のRPAツール。複雑なキッティング作業を自動化し、設定ミスを抑制するこのツールを使えば、1人で膨大な数のPCキッティングに対応することができます。
このツールは、展開するPCの台数に関わらず同一料金で利用できます。ネットワーク未接続でも作業を実行できる他、1つの実行形式ファイルで各PCに異なる値を設定することも可能です。
瞬快
富士通が提供する瞬快は、PCの環境維持・更新を担うクローニングツール。マスターイメージの一斉配信により、複数のPCに対するキッティングを高速で完了させることができます。
利用情報の収集やPCのリモート管理、HDDの故障復旧など、PC運用に関するあらゆる情報を管理することもできる瞬快は、PC運用のフェーズに合わせた多様な機能により、必要な作業を自動化します。
ActiveImage Deploy USB™
ActiveImage Deploy USBは、USBメディアのみでクローニングを実行できるキッティングの自動化ツール。ActiveImage Protectorのエンジンを搭載した専用USBメディアの利用により、手間やコストをかけない効率的なクローニングが可能です。
直感的な操作ができる優れたインターフェースで、誰でも簡単にキッティングを行えます。
ImageMaker
ImageMakerは、OSイメージの作成・展開により、クローニング作業をサポートするキッティングツール。必要なのはUSBと外付けHDDだけ。最小限の環境でクローニングを実行できます。
単価は業界最安値で、100ライセンス単位での購入が可能。ツール導入におけるコストを抑えながらキッティングの負担を軽減できるソリューションです。
M2DeployTools
M2DeployToolsは、キッティングに当たって生じる複数の作業を1つのパッケージとして実行できるツール。キッティングの手間とコストを抑え、作業を簡易化することができます。
Macに特化しているこのツールは、大量のPCの同時導入や異なる機種の断続的な導入に向いており、PCごとの個別設定にも対応可能です。
まとめ
自動化ツールは、キッティング作業の効率化に有効です。しかし、ツールの利用にはある程度の知識が必要です。従業員に専門知識がなく、ツールをうまく使いこなせないこともあるでしょう。
そこでおすすめしたいのが、アウトソーシング。専門業者にキッティングを外注すれば、作業をより効率化することができます。
キッティングによる自社の負担を軽減したいなら、キッティングのアウトソーシングサービスの利用も検討しましょう。