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近年、単品リピート通販のユーザーが増え、その市場規模は拡大を続けています。この通販手法は、安定的な売上確保や的確な生産管理に有効です。よって、化粧品や健康食品分野を中心に、多くの企業が導入を進めています。
では、単品リピート通販とはどのような通販手法なのでしょうか。また成功させるためにはどのような点に気をつければ良いのでしょうか。
今回は、単品リピート通販について詳しく解説します。
単品リピート通販とは
顧客に特定の商品を継続的に購入してもらう形で行う通信販売のビジネスモデルを、「単品リピート通販」と呼びます。
この手法では、企業はECサイトやカタログ上で限られた種類の商品を取り扱い(単品通販)、それらを顧客がリピート購入することで売上を確保します。
単品リピート通販で主に扱われるのは、繰り返し購入する必要がある消耗品です。またその商品は、通販を行う企業の自社商品やOEM商品であることが多く、仕入れ商品であることはほとんどありません。
具体的には、化粧品や健康食品などがその対象となります。
単品リピート通販に必要な機能
単品リピート通販を行うECサイトには、通常の機能に加え、次の3つの機能を搭載する必要があります。
- お届けスケジュールの変更
- 初回割引
- リマインド・購入確定メールの自動送付
上記機能の詳細と役割について確認しておきましょう。
【機能①】お届けスケジュールの変更
この通販方法は、顧客に繰り返し商品を購入してもらうことで成り立ちます。
多くの場合、顧客は最初の契約時に定期購入としてお届けスケジュールを決定しますが、都合によっては契約後に「今使っている分が早くなくなったから予定より早く次の分が欲しい」「今使っている分がまだあるからもう少しお届け日を先にしたい」「商品のお届けを一回スキップしたい」などの要望が出ることもあるでしょう。
このような要望に対応できるのが、お届けスケジュールの変更機能です。この機能がECサイトのマイページに搭載されていれば、顧客は自身の都合に合わせて柔軟にお届けスケジュールを変更することができます。
またこの機能は、リピート購入に対する顧客の不安解消にも役立つでしょう。
【機能②】初回割引
継続的な契約になる単品リピート通販は、単発的に商品を購入する場合に比べ、顧客にとってのハードルが高くなる傾向にあります。この課題解決には、カートシステムにおける初回割引機能(キャンペーン)の搭載が非常に有効です。
初回をお得にすれば、顧客は商品をお試し感覚で購入することができます。これにより、定期購入型商品の契約に対するハードルも下がります。
【機能③】リマインド・購入確定メールの自動送付
単品リピート通販では、この通販手法ならではのメール送信機能が必要になります。「いつ商品が届くか」「変更手続きはいつまで可能か」というリマインドメールや定期的な商品発送時の購入確定メールなどがその例です。
よって、ECサイトの機能としては、このようなメールに対応し、かつそれを自動送付できる機能が必要でしょう。メールの自動送付機能がなければ、企業側の業務負担は大きくなってしまいます。
総合通販と単品リピート通販のビジネスモデルの違い
総合通販とは、さまざまな商品をラインナップして顧客に販売するごく一般的な通販手法のこと。Amazonや楽天市場での販売もこれにあたります。
同じ通販手法であっても、総合通販と単品リピート通販には次のような違いがあります。
- 総合通販・・・スポット購入を前提とし、多くの商品を取り扱う手法
- 単品リピート通販・・・リピート・継続購入を前提とし、限られた商品のみを取り扱う手法
これらの手法は、購入(契約)の形や扱う商品数に違いがあります。
また、仕入れをほとんどしない単品リピート通販に対し、総合通販では仕入れ商品も広く扱うことが多いです。
単品リピート通販のメリット
単品リピート通販には、次の3つのメリットがあります。
- 価格競争に巻き込まれない
- 生産管理を行いやすい
- 売上予測が立てやすい
各メリットについて詳しくみていきましょう。
【メリット①】価格競争に巻き込まれない
この通販手法で扱うのは、自社のオリジナル商品であることが多いです。そのため、他の通販サイトとの価格競争に巻き込まれにくく、商品価格を必要以上に下げる必要もありません。
これにより、企業は高い利益を確保することができます。
【メリット②】生産管理を行いやすい
契約数に応じて正確な生産管理を実施できる点も、単品リピート通販のメリットです。
この手法は定期購入であるため、企業は必要な製品数を事前にある程度把握できます。それに合わせて生産・在庫管理を行えば、在庫過剰や在庫不足のリスクを軽減することが可能です。
【メリット③】売上予測が立てやすい
定期購入である単品リピート通販には、契約数やその内容を踏まえて、商品の売上を正確に予測しやすいというメリットもあります。
また、継続的に購入してもらう形式である分、安定的な売上も確保できるでしょう。
単品リピート通販のデメリット
メリットがある一方で、この通販方法にはデメリットもあります。それが次の3つです。
- 広告の効果が発揮されるまで時間を要する
- ブランドが認知されるまで時間がかかる
- ターゲットが限定される
各デメリットについて詳しくご説明します。
【デメリット①】広告の効果が発揮されるまで時間を要する
自社のオリジナル商品を定期購入してもらう単品リピート通販では、その認知度が売上を大きく左右します。魅力がよく知られている商品であれば、多くの消費者が購入・契約を行うでしょう。
商品の認知度を上げるには、マーケティングに基づき、ターゲットに合わせた広告を活用する必要がありますが、広告の効果が出るまでにはある程度の時間が必要です。
よって、販売を開始してすぐに大きな売上を期待できない点は、この手法のデメリットだと言えます。
【デメリット②】ブランドが認知されるまで時間がかかる
総合通販では、取り扱う商品が多く、またその商品が自社商品に限定されない分、顧客の流入が多くなり、短時間で売上に繋がる可能性は高いです。
しかし、単品リピート購入では、取り扱う商品が自社商品に限定され、種類も少なく、またその商品のブランドが一般的に知られていないことも多いです。売上を確保するためには、まず自社ブランドおよび商品の認知度を上げることから始めなければなりません。
先述の通り、ブランドや扱う商品がターゲット層に広く認知されるには時間がかかります。広告をはじめとしたマーケティング効果はもちろん、口コミ効果が売上に反映されるにまでにもある程度の時間が必要であり、その間に十分な売上を確保することは困難です。
【デメリット③】ターゲットが限定される
この通販手法では、取り扱い商品が少ない分、ターゲットも限定されます。十分な売上を確保するためには、特定のターゲットに適したアプローチに力を入れなければなりません。
幅広くターゲットを設定できないため、売上の可能性が狭まるという点が単品リピート通販のデメリットです。
単品リピート通販の市場規模
単品リピート通販を行う企業やそのユーザーは増加傾向にあります。
市場規模も成長を続けており、実際に2011年から2016年までの間で、その規模は63億円から2,900億円にまで拡大しました。5年間で約46倍の成長を遂げていることからも、この通販手法には強い勢いがあることがわかります。
これは、化粧品や健康食品のD2C通販が進んだ結果だと考えられます。実際に、この分野のEC化率は近年大きく進んでいます。
この変化が現在も続いていることから、今後も単品リピート通販の市場規模は拡大していくでしょう。
単品リピート通販に向いている商材
単品リピート通販では、何度も同じ商品を継続的に購入してもらうことが前提となります。そのため、対象の商品は基本的に消耗品でなければなりません。また、毎月内容の異なる雑誌などもこの手法で販売可能でしょう。
また、ここまでにもご紹介してきた通り、この手法で扱われる商品は、通常そのECでしか購入できない自社のオリジナル商品であることが多いです。どこででも手に入るような商品であれば、わざわざ通販で定期購入しようと考える顧客は少ないためです。
つまり、消耗品かつどこででも手に入るわけではないオリジナル商品であることが、単品リピート購入に向いている商材の要件だと言えるでしょう。
単品リピート通販を成功させるポイント
単品リピート通販を成功させるには、次の4つのポイントを意識した運営を行う必要があります。
- プラットフォームの簡潔化
- 的確なターゲットの選定
- 新規顧客の獲得強化
- アップセル・クロスセルを活用してLTVを高める
それぞれのポイントについて解説していきます。
【ポイント①】プラットフォームの簡潔化
単品リピート通販では、LPが通販のプラットフォームとなります。
LPとは、さまざまなルートから流入してきたユーザーがはじめにアクセスするWebページのこと。商品の魅力がよくわかる簡潔なLPは、通販契約に繋がる可能性が高いです。
LPがわかりにくかったり長すぎたりすると、ユーザーが離脱する可能性が高くなるので注意しましょう。
また、LPから直接商品を購入できるようにしておくと良いでしょう。
【ポイント②】的確なターゲットの選定
この通販手法では、取り扱う商品が限定される分、アプローチするターゲットも的確に選定しなければなりません。明確にターゲットを定めた上で、それに合うデザインやマーケティング施策でアプローチすることで、契約に至る可能性は高くなります。
【ポイント③】新規顧客の獲得強化
単品リピート通販で売上を拡大していくためには、新規顧客を絶えず獲得していくことが重要になります。広告やSEO、SNS運用など、ブランドや商品の知名度を高めるための施策は随時実施し、新規顧客の獲得強化を図りましょう。
【ポイント④】アップセル・クロスセルを活用してLTVを高める
単品リピート通販の売上を上げるには、LTV(顧客生涯価値)を上げることにも注力しなければなりません。既存顧客に対してアップセル・クロスセル施策を実施し、購入単価の向上を目指しましょう。
具体的な施策としては、まとめ買いキャンペーンやセット販売などが効果的です。
また、施策実施に当たってはCRMの導入も検討しましょう。
単品リピート通販を行う際の注意点
単品リピート通販の実施に際しては、定期購入に関する規約を明確に記載することが大切です。
規約が明確に示されていなかったり無理に定期購入を勧めたりするような場合には、顧客からの信頼を損ねてしまいます。場合によっては、消費者庁による規制に引っかかることもあるでしょう。
これを避けるためには、Webページに最低限次の項目を明記する必要があります。
- 定期購入の契約であること
- 初回購入価格と2回目以降の購入価格、送料
- 解約のルール
- 支払いのタイミング
- 発送のタイミング など
また、特定商取引法では、カートシステムの最終確認画面において、商品の価格や分量、支払いの方法、契約解除などに関して明確に表示することが義務付けられています。
トラブルを避けるためにも、法令を遵守するだけでなく、顧客にとっての利便性や安心を踏まえた対応を心がけましょう。
まとめ
単品リピート通販を成功させるためにまず重要なのは、商品選定です。
この手法に合うのは、消耗品のオリジナル商品。リピート購入が必要ない商品やどこででも購入できる商品は向かないので注意しましょう。
また、単品リピート購入では、運用開始後のマーケティング施策が大きな役割を果たします。ターゲットに合った施策の実施により、新規顧客の獲得やアップセル・クロスセルに力を入れ、顧客の増加・売上の増加を目指しましょう。
顧客数やLTVが上がれば、リピート購入という性質上、安定的な売上を確保できます。安定的な売上があれば、それをもとに事業をさらに拡大していくことも可能でしょう。