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DX(デジタルトランスフォーメーション)が注目を集めている昨今、企業の中には「DXを推進する方法が分からない」「社内にDX人材がいない」といった課題を抱えている場合も多いでしょう。

本連載では、DX推進に成功した企業に、その進め方や課題、苦悩などをインタビュー。第1回となる今回取り上げるのは、株式会社URBAN LiKE(以下、アーバンライク)様です。

「理想の暮らしを舞台に人々の素敵なドラマを作る」をミッションに、住宅事業を中心とする様々な事業を展開しているアーバンライク様。コロナ禍の微減を除き、9期連続の売上増加を達成し、2021年にはTOKYO PRO Marketでの上場も果たしています。

一方で、業界柄、ITに疎いメンバーも多く、DX推進に難航している過去がありました。そんな同社が社内外の多くの手続きをデジタルで一元管理化し、感謝の声も上がるようになった現在に至るまでにどのような苦悩や工夫をされてきたのか。

DX推進室マネージャーの馬場様、広報の柴田様に伺ってきました。

ITに不慣れなメンバーが大半の中でのDX推進

DX推進に注力するようになったきっかけを教えてください。

DX推進室を立ち上げて、DXに注力していくことになったのは上場の話が出たタイミングで、今後に備えて競争力を上げていこうとなったのがきっかけです。

もともと、住宅業界という業界柄、ITに疎い社員が大半というところがスタートでした。一方で、代表の吉野がIT推進派だったために、システム企画部のような形でDX推進自体は行っていました。具体的な例で言うとSalesforceの導入などですね。

ただ、導入は済んでいるものの、社員の中で定着しておらず、ほとんど活用されていない状況でした。私が入社したのはこの時ですね。そこから上場の話が出たタイミングで、DX推進に本腰を入れて対策を始めた形です。

ITに不慣れな社員さんが大半の状態からスタートとのことでしたが、定着のためにどのようなところから着手されたのでしょうか?

私がDX推進に取り組み始めた当初は、システム担当として入社したばかりの状態で「Salesforceをうまく活用できるようにしてくれ」っていう状態だったので、他の社員の方々と信頼関係もなければ、協力者もいないような状態がスタートだったんですよ。

なので、いきなりシステムをばーっと作って「こうやってください」って言っても恐らく誰も動いてくれないような状況だと把握していました。そこで、まずは社員の方々と信頼関係を作るのと協力者を探すことを一番最初にやりました。

具体的には、会社の中で権力者と言ったらあれですけど、発言力がある方や信頼度が高い方、他の方を動かせる方を通して全体に周知しました。弊社の実例で言うと、部長や社長を通して情報発信するように徹底していました。

その他に、DXを推進するうえで「有効だった」と感じた工夫はありますか?

そうですね。その他で言うと、最初はSalesforceの申請システムで手当などのような直接社員の給与につながる部分を入力をしないと手当がもらえませんとか、成績評価されませんと言って強制的にやるような仕組みづくりが有効でした。やっぱり、 メリットもデメリットもないっていう形だと人も動かないので。

なので、システムをまずどうこうするよりも、人をどう動かすかっていうところを、エンジニア側も考えることが大切だと思います。

新しい取り組みを行う中で、社内で反発の声などはありませんでしたか?

施策を行い始めた当初は「使いづらい」「よくわからない」「項目が多い」とかっていう声が上がってました。やっぱり、導入しても入力などの実務をするのは結局現場なのでそれなりに反発はありました。

ただ、入力したものがどこで使われているかを見える化すれば、入力した意味がわかるんじゃないかと思ったんです。そこで、Salesforceのレポートとかダッシュボードっていう機能を使って、ログインしたら、1ページ目に強制的にグラフや数字で集計したデータが表に出てくるように見える化を進めたんですよ。

たとえば「Aさんの契約が〇件で1位」「この人は5件受注した」みたいな形でランキングを作ったりとかですね。

そうやって、入力したものを表に出して可視化することで、徐々に入力しても意味がないという声が減ってきて、入力もだいぶ 安定してきたな というところはありますね。

システムの導入だけでは変わらない。活用を定着させるまでがDX。

導入しているツールやその活用方法など、現在の状況を具体的に教えてください。

現在、弊社で導入しているツールは主に「Salesforce」です。具体的な活用例としては以下のようなものになります。

  • 社内のワークフロー申請
  • 動画マニュアルの掲載
  • 社内SNS
  • スケジュール管理
  • 商談情報なども含めた顧客情報の管理
  • 住宅建設完了後のアフターメンテナンス状況の管理

基本的には ベースとなる標準機能を応用して使うような形ですね。SalesforceはSFAとしての機能、CRMとしての機能が主軸であるものの、その他にも機能が充実していて自由度も高いので、可能な限り一元的にSalesforceで終わらせる勢いで活用しています。

導入実施後の社内の反響はいかがでしたか?

活用が進んだ現在では、経営層から感謝の声をよく貰うようになりました。会社の状況が数字で定量的に分かるようになったっていうところだったりとかを評価していただいてますね。 管理部門の方からも「管理がしやすくなった」という喜びの声をいただいてます。社員の方からも「ランキングは結構見てて、モチベーションが上がります」といった話を聞くことがあって、やってて良かったなと感じます。

ここまで進められた秘訣は何だと思いますか?

いかに”定着”に注力するかを気にかけて施策を実行してきた点でしょうか。

近頃だと、「DX」って結構流行っていますが、その中で「DXは新しいシステムを導入したら終わり」「新しいシステムを入れたら何かが変わる」みたいに思ってる人が多い気がします。ところが、私が入社した当初のアーバンライクも「Salesforceは導入済みだけど、全然活用が定着していない」という状況に課題を感じていました。なのでやっぱり、導入後にいかに”定着させるか”っていうのが一番大切かなと思っています。

定着させる方法としては、先述のような、システム担当だけでなく社内の協力者や関係者を巻き込みながらやっていくことが大切だと思います。

今後の展望について教えてください。

現在弊社では利用しているクラウドサービスが複数あるので、できるだけ二度手間にならないように、api連携とかを使いながら片方で入力したものを他のクラウドサービスにも共有するようにしていきたいというのが今思ってることです。

Salesforceについては、 いろんなことをSalesforce内で完結させたいですね。 たとえば申請の手続き手順だとか、資料の格納場所だとか、Q&AみたいなサイトをSalesforce内に構築して、ナレッジベースみたいな形で活用していければなというところを今考えて作り始めています。

株式会社URBAN LiKE(アーバンライク)
2008年に住宅会社の常識を変えたいという想いから「理想の暮らしを舞台に人々の素敵なドラマを作る」をミッションに掲げ、福岡県で設立。「高品質な日本の材料で外国のような家を造る」というコンセプトのもと、20〜30代の若いファミリー層を中心に高い支持を受け、コロナ禍での微減を除き、9期連続の売上増加を達成。住宅事業の他に、不動産事業や、福祉関連事業なども展開し、2021年にTOKYO PRO Market(TPM)への上場も果たす。