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デジタイゼーションという言葉をご存知でしょうか。
これはデジタル化に基づく概念であり、既に多くの企業が実施しているものです。企業のDX実現には、その第一歩としてデジタイゼーションの実行が欠かせません。
では、デジタイゼーションを実行するにはどういった手順を踏めば良いのでしょうか。
今回はデジタイゼーションについて、その意味や類似する言葉との違い、実施の手順などについてご説明します。
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デジタイゼーションとは
アナログな方法で行っていた業務をデジタル化すること。業務(作業)のデジタル化。
デジタイゼーションとは、紙の書類や手作業でのデータ入力など、これまでアナログな方法で行っていた業務を、デジタル技術によってデータ化・自動化することです。
また総務省ではこれを、『令和3年 情報通信白書のポイント第1部 特集デジタルで支える暮らしと経済』の中で、「会社内の特定の工程における効率化のためにデジタルツールを導入する」ことと定義しています。
つまりデジタイゼーションは、業務効率化のため、アナログ作業をデジタルに置き換えることを指すのです。
デジタイゼーションとデジタライゼーションとDXの違い
デジタイゼーションとよく似た言葉に、「デジタライゼーション」や「DX」があります。これらはどれもデジタル化に関する言葉ではあるものの、それぞれ意味は異なります。
デジタライゼーションとは
デジタル技術を用いて、業務・製造プロセスをデジタル化すること。
また総務省ではこれを、『令和3年 情報通信白書のポイント第1部 特集デジタルで支える暮らしと経済』の中で、「自社内だけでなく外部環境やビジネス戦略も含めたプロセス全体をデジタル化する」ことと定義しています。
作業をデジタル化するだけでなく、デジタル技術によって個別の業務・製造プロセスをデジタル化し、ビジネスモデルの変革を目指すのが、デジタライゼーションです。
DXとは
デジタルトランスフォーメーションの略。
またはデジタル技術の活用によるビジネスモデルの変革のこと。
近年よく耳にするDXは、もともと「ICT(情報通信技術)の浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念を指す言葉として提起されました。
それに基づき、経済産業省はDXの定義を次のように示しています。
経済産業省によるDXの定義
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること
経済産業省『デジタルトランスフォーメーションを推進するための ガイドライン』より
つまり、デジタル技術の活用によって、製品やサービスに留まらず、ビジネスモデルや業務そのもの、企業風土まで変革し、市場競争力向上を目指すのが、DXです。
デジタイゼーション・デジタライゼーション・DXの違い
これら3つの言葉の違いについては、経済産業省のDXレポート2の中で次のように示されています。
アナログ・物理データのデジタルデータ化
・デジタライゼーション
個別の業務・製造プロセスのデジタル化
・DX
組織横断/全体の業務・製造プロセスのデジタル化
“顧客起点の価値創出”のための事業やビジネスモデルの変革
それぞれの言葉は、デジタル化の範囲や目指すものに違いがあるのです。
また、DXを進めるためには、デジタイゼーションとデジタライザーションの実行が欠かせず、これらはDX実現のための手段・プロセスと考えることもできます。
DX推進は下記の記事も参考になります。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の成功事例を紹介
中小企業がDXに取り組む際の課題やポイントとは?
デジタイゼーションの具体例
デジタイゼーションは、業務(作業)のデジタル化だとご説明しました。
では、具体的にはどのようなことがデジタイゼーションにあたるのでしょうか。具体例を一覧で見てみましょう。
・書類を物理的スペースでの保管からクラウドでの保管に変える(書類の電子化が前提)
・対面での会議をオンライン会議に変える
・紙の広告をウェブ広告に変える
・印鑑を電子印鑑に変える
・パソコンやタブレット、スマホ、電子黒板などIT機器の導入
・Webシステム利用により、ワークフローを電子化
上記のような変化は、全て特定の作業をデジタル化したものであり、デジタイゼーションにあたります。
デジタイゼーションのメリット
デジタイゼーションにより、企業は次のようなメリットを得ることができます。
・コスト削減
・ヒューマンエラーの削減
それぞれ詳しくご説明します。
業務効率化
アナログで行っていた作業をデジタル化すれば、業務効率は向上します。
紙の書類を電子化すれば相手とのやり取りがスムーズになり、紙の書類の整理・保管にかかる手間もなくなります。テレワークによる出勤・移動時間を短縮も行いやすくなるでしょう。
デジタイゼーションによる業務効率化は、生産性向上や柔軟な働き方の実現にも影響します。
コスト削減
業務効率化が実現されれば、それまでのアナログ作業にかかっていた必要以上の人件費を削減することができます。
また、紙の書類を保管するためのスペース確保にかかるコストも不要になります。
ヒューマンエラーの削減
アナログな方法での業務は、どうしてもヒューマンエラーの確率が高くなってしまいます。
しかし、業務のデジタル化によって複雑な作業を自動化すれば、計算ミスや誤字、書類の紛失などのミスが起こりにくくなり、ヒューマンエラーの確率を減らすことが可能です。
デジタイゼーションの進め方
次に、デジタイゼーションの進め方について見ていきましょう。
デジタイゼーションを成功させるには、いきなり全てをデジタル化するのではなく、次の手順を踏んで施策を実行することが大切です。
①業務プロセス・課題の可視化
まずは、業務プロセスを可視化していく必要があります。
プロセスやリソースを分解し、整理していくことで、具体的な方針や業務の課題が明確になります。
この作業により、後の優先順位決定も行いやすくなります。
②デジタイゼーションを行うプロセスの洗い出し
業務プロセスを可視化し課題を把握したら、課題解決を目的に、実際にデジタイゼーションを行うプロセスを洗い出します。洗い出したプロセスは実行の優先順位を付け、整理してください。
また、施策実行についての詳細も決めていかなくてはなりません。必要な物や手順、処理・管理方法、責任者など、決めておくべきことを明確に決めておきましょう。
③ツールやサービスの選定
デジタイゼーションの実行にあたっては、多くの場合、ツールやサービスを利用します。
企業のニーズや目的、課題によって、適したツールやサービスは異なるため、よく比較検討し、自社に合ったものを選定することが大切です。
④デジタイゼーションの実行・効果測定
デジタイゼーションを実行し、ツールやサービスの運用を開始します。
実行後には効果測定を行い、問題点がある場合には改善を行います。
デジタイゼーションを推進する際のポイント
デジタイゼーションを推進する際に気を付けたいポイントは、次の5つです。
・優先順位を設ける
・現場の状況を正確に把握
・既存システムを活用
・デジタル化自体を目的としない
上記の点を意識し、効果的なデジタイゼーションを目指しましょう。
会社全体で取り組む
デジタイゼーションを成功させるには、会社全体で取り組みを行う必要があります。全ての従業員がその意義や目的を理解し、同じ方向を向いて施策取り組むことで、より効果的なデジタイゼーションを実現できます。
優先順位を設ける
いきなり全てのプロセスをデジタル化することは、現場の混乱に繋がります。業務プロセスを整理する段階で、どの部分にデジタイゼーションを適用するかという優先順位を決め、それに応じた施策の実行を行いましょう。
スモールスタートで徐々に対象を広げていくのが、成功の秘訣です。
現場の状況を正確に把握
デジタイゼーションは、現場の状況を正確に把握し、導入すべき部分に導入しなければ、成功しません。また、実際にデジタル機器を操作するのは、現場の人間です。
そのため、デジタイゼーション推進にあたっては上層部やシステム担当だけで詳細を決めるのではなく現場の意見をよく聞き、現状や課題を正確に把握してください。
既存システムを活用
デジタイゼーションを円滑に進めるには、クラウドサービスをはじめとした既存システムを活用するのがおすすめです。一から自社でシステムを構築するには時間もコストもかかりますが、既存システムを利用すれば、コストを抑えつつスピーディーなシステム導入が可能になります。
近年では、あらゆる専門業務に活用できるシステムが多くリリースされているので、目的に合ったものを選定し、導入を検討してください。
デジタル化自体を目的としない
デジタイゼーションの最終目標はDXです。デジタイゼーション自体を目的にしてしまうと、部分的なデジタル化に満足してDXが進まず、今後の企業の成長が難しくなる恐れがあります。
まとめ
企業が市場での競争力維持・向上させていくには、アナログな手法による非効率な業務を変革し、デジタル化を推進する必要があります。デジタイゼーションにより、アナログ作業が効率化されれば、企業の生産性は向上し、DXの実現にも近づくことができるでしょう。
ただし、闇雲にデジタイゼーションを進めるのはおすすめできません。実行にあたっては、まず業務プロセスや目的、課題、ニーズなどを明確にし、それらを踏まえた施策を取ることが重要です。
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