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デジタル技術が進歩する中で、よく耳にするようになったDX。DXは、市場競争力を向上させるための、企業や組織の喫緊の課題となっています。
また、近年ではDX以外にも、CXやUX、PXなどという言葉もよく使用されており、これらの言葉とDXを混同してしまっているケースはよく見られます。
DXとCX、UX、PXはそれぞれ別の意味を持つ言葉です。
そこで今回は、DXと混同されやすい言葉の意味とDXとの違い、DXとの関係性について詳しく解説します。
DX関連の言葉の意味を正しく理解できているか、チェックしてみてください。
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DX・CX・UX・PXの違い
まずは、DX・CX・UX・PXのそれぞれの意味について解説し、その意味の違いを確認していきましょう。
DXとは
DXは、デジタルトランスフォーメーション(Digital transformation)の略で、もともとは「ICT(情報通信技術)の浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること」として、ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授によって提唱された概念です。
経済産業省は、ビジネスにおけるDXを、エリック教授の提唱した概念をもとに、より具体的な内容で以下のように定義しています。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること
(経済産業省『デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン』より)
端的に言うと、ビジネスにおけるDXとは、「企業がデジタル技術の活用によって業務やそのプロセスを変革し、市場での競争力を高めること」です。
現状、日本のDXは他の先進国に比べ大きく遅れていると言われています。政府は、日本企業の市場競争力を維持・向上するため、数年前から国をあげたDX推進を実施しています。
CXとは
ビジネスで使われるCXという言葉には、下記の2種類の意味があります。
①カスタマーエクスペリエンス(Customer Experience)。顧客体験。顧客が製品を知り興味を持ってからその製品を購入し利用していく中での一連の体験のこと。
②コーポレートトランスフォーメーション(Corporate transformation)。企業を根幹から変革すること。
カスタマーエクスペリエンス、つまり顧客体験は、顧客満足度を高め売上を向上させるために重要な要素です。そのため、企業は顧客体験をより良いものにするため、さまざまな施策を実施しています。
また、コーポレートトランスフォーメーションは、競争力を維持・向上するために企業の経営モデルを抜本的に変えることを指します。これは経営共創基盤代表取締役CEOの冨山和彦氏が著書の中で提唱したことから近年注目されている言葉です。
DXは、コーポレートトランスフォーメーションの一手段にあたると考えられます。
UXとは
UXとは、ユーザーエクスペリエンス(User Experience)の略で、「製品やサービスを利用することで得たユーザーの体験」を指す言葉です。
CX(Customer Experience)と似た意味に思われますが、発生の対象に下記のような違いがあります。
◆CX・・・商品・サービスだけではなく、販売や物流・アフターフォローなどといった、ユーザーと販売企業とのあらゆる接点において発生する体験
UXはCXの一部であると考えれば、イメージしやすいですね。
PXとは
PXは、ここまでご紹介したDX・CX・UXとは分野の異なる言葉。PXはピクセルと読み、デジタル画像を構成する最小単位のことを指します。
PXは、画像のサイズやデジカメ・スマホの画素数を示す単位としてよく用いられます。
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DXはデジタル化・IT化と異なる
DXと混同されやすい言葉には、「デジタル化」「IT化」というものもあります。同じような意味に思えるこれらの言葉も、それぞれ正確な意味は異なります。
ここでは、DXとデジタル化・IT化との意味の違いを見ていきましょう。
デジタル化・IT化とは
デジタル化・IT化は、それぞれ下記のような意味を持ちます。
情報をデジタル形式に変換すること。
ex.紙の書類の情報をPDF化し、デジタルデータでの管理に変える など◆ IT化
業務を効率化するため、IT技術やデジタル技術を活用すること。アナログ作業をIT技術やデジタル技術を用いて自動化・効率化すること。
ex. 紙の契約書を電子契約に変更する など
デジタル化は、情報を数字や記号によるデジタル形式に変換すること、IT化は、IT技術やデジタル技術を活用することを指します。
デジタル化は、IT化のための一要素だと考えると良いでしょう。
DXとデジタル化・IT化 の違い
前述の通り、DXは、「企業がデジタル技術の活用によって業務やそのプロセスを変革し、市場での競争力を高めること」を指す言葉です。「デジタル技術の活用によって」という部分からも分かるように、DXを推進するためには、IT化が欠かせません。
つまり、DXのプロセスの中で行われるのが、IT化、そしてその中の一要素がデジタル化ということになります。
これらの言葉の意味は確かに似ていますが、含有する範囲に違いがあるということを覚えておきましょう。
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DXとCXの関係性
「企業がデジタル技術の活用によって業務やそのプロセスを変革し、市場での競争力を高めること」を指すDXと「顧客が製品を知り興味を持ってからその製品を購入し利用していく中での一連の体験のこと(顧客体験)」を指すCX(カスタマーエクスペリエンス)には、深い関係性があります。
DXは、CX向上に有効です。デジタル技術を活用することで、企業は顧客に、アナログとは異なる観点からより良いCXを提供できるようになります。つまり、「CXという目的のためにDXを手段として用いることができる」と考えると良いでしょう。
ただし、あくまでDXはCXのための一手段。DXが目的にならないよう、注意する必要があります。
また、CX向上の手段はDXだけではないため、DXだけにこだわらず、DMやアンケートなど、アナログな手段によるCX向上も目指すべきでしょう。
DXによりCXが向上した事例
最後に、DXによってCX(カスタマーエクスペリエンス)が向上した事例を2つご紹介します。
スターバックスの事例
スターバックスは、「ブランドが選ばれるには心を動かす体験が必要」と考え、CX向上に積極的に取り組んでいます。
CX向上のための手段として取り入れたのが、モバイルオーダー&ペイサービス。生活に浸透したスマートフォンを用い、ドリンクのオーダーや支払いを効率的にするシステムです。
コロナ禍において、人との接触をなるべく避けながら商品を受け取れるこのサービスは好評で、多くの顧客が利用するようになりました。
顧客ニーズに基づきデジタルサービスを導入したこの例は、DXによりCXが向上した例だと言えるでしょう。
(参考:CX Clip『店舗でもデジタルでも考え方は同じ。スターバックス コーヒー ジャパンCMOに聞く、心を動かす体験の作り方』より)
ZOZOTOWNの事例
通販大手のZOZOTOWNは、優れた顧客体験を提供する企業として知られています。
そのポイントとなっているのが、「商品を探すときの体験」や「購入時の体験」が優れていること。ブランドおよび商品の種類が多く、在庫も豊富で、絞り込み機能も充実したZOZOTOWNのサイトは、通販を利用する顧客により良い顧客体験を提供しています。
Webサイトというデジタルツールの質の高さでCXを向上し、顧客ロイヤルティを高めているZOZOTOWNも、DXでCXを向上させた企業の一例として挙げられるでしょう。
参考:ecc Lab『アパレルEC業界調査レポート』より)
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まとめ
DXと、意味を混同しやすいビジネス・IT用語についてご紹介しました。
DXをはじめとした用語には似たものが多いですが、それぞれ指すものや含有する範囲は異なります。内容をきちんと把握していないと、間違った用語を使用してしまう恐れもあるので気をつけましょう。
現在の日本は、さらなるDX推進に向け、舵を切っています。社会のDXの進行が遅れれば、日本のあらゆる企業の市場競争力が低下する恐れがあります。
社会のDXを進めるには、企業の積極的なDX推進が必須。まずはアナログな作業をデジタルへと、プロセスごとの変革を進めていきましょう。
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