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近年種類が増え、市場規模を拡大しているビジネスモデルに、サブスクリプションビジネスというものがあります。サブスクリプションビジネスによるサブスクリプションサービスは、私達にとってすっかり身近なものになりました。
事業者にもユーザーにもメリットのあるサブスクリプションビジネスは、将来性の高いビジネスモデル。事業に取り入れることで、安定的な売上確保が期待できます。
では、具体的なサブスクリプションビジネスには、どのようなものがあるのでしょうか。
そこで今回は、増加するサブスクリプションビジネスの成功事例をご紹介します。
サブスクリプションビジネスとは
サブスクリプションビジネスとは、料金を支払うと、一定期間商品やサービスを利用できる形式のビジネスモデルのこと。略して「サブスク」などとも呼ばれています。
月額料金で好きな動画が見放題になる動画配信サービスや音楽が聴き放題になる音楽配信サービスなどが、サブスクリプションビジネスによるサービスの代表的な例です。
サブスクリプションビジネスの市場規模
コロナ禍の影響もあり、サブスクリプションビジネスの市場規模は急速に拡大しています。
日本国内における2021年のサブスクリプションビジネスの市場規模は9,615億5,000万円でした。この数字は年々増加し、2024年には1兆2,422億4,000万円になると予想されています。
(参考:株式会社矢野経済研究所『サブスクリプションサービス市場に関する調査を実施』より)
今後もサブスクリプションビジネスの成長は続き、画期的でユニークなサービスが登場していくでしょう。
サブスクリプションビジネスのメリット
サブスクリプションビジネスには、以下のようなメリットが期待できます。
◆事業者側のメリット
- 継続した売上と安定したコストにより、利益の見通しが立てやすい
- 事業を数字で把握でき、ロジックで事業戦略を立てやすい
- 利用状況から顧客ニーズを把握しやすい
◆ユーザー側のメリット
- コスパが高い
- 気軽で自由にサービスを利用できる
- 物の置き場に困らない
このように、サブスクリプションビジネスは事業者だけではなく、ユーザーにとっても大きなメリットのあるビジネスモデルです。
サブスクリプションビジネスの成功事例
サブスクリプションモデルは、さまざまな分野の企業が、法人向け・個人向けの製品やサービスの提供に活用しています。ここからは、サブスクリプションビジネスの成功事例を、B2BとB2Cの2分野に分けて計8つ見ていきましょう。
B2B向け
まずは、B2B向けのサブスクリプションビジネスの事例を3つご紹介します。
freeeの事例
個人や法人向けに、統合型経営プラットフォームの開発・提供を行うfreee。会計ソフトを中心に、人事労務ソフトや税務申告ソフト、電子契約システムなど、ビジネスに必要な業務や手続きを多様なクラウドサービスでサポートしています。
これらのサービスはサブスクリプション方式になっていて、定額の月払いもしくは年払いで利用可能。例えば、会計ソフトであれば、月額1,980円〜利用することができます。
freeeのソフトは、会計や人事労務などの複雑な業務も簡単な作業で行えるよう、また状況がわかりやすく可視化されるよう設計されています。そのため、freeeのソフトを使用すれば、専門知識のない社員でも専門性の高い業務を問題なく進めることができ、業務のブラックボックス化も防ぐことが可能です。
リーズナブルな価格設定と業務の効率化が叶うfreeeは、クラウド会計シェア25.4%・クラウド給与計算シェア39.8%を誇る人気サービスとして、約100万の事業所にサブスクリプション利用されています。
(参考:MM総研 クラウド会計ソフトの利用状況調査(2022年4月末) https://www.m2ri.jp/release/detail.html?id=536)
(参考:MM総研 クラウド給与計算ソフトの利用状況調査 https://www.m2ri.jp/release/detail.html?id=16)
Sansanの事例
ビジネスにおけるDXサービスを開発・提供するSansanの代表的なサブスクリプションサービスが、法人向けの名刺管理サービス。
スマートフォンやスキャナーで読み取るだけで、名刺の情報をデータ化するサービスです。受け取る枚数が多く手動で管理するのに手間がかかる名刺も、このサービスを利用すれば簡単で正確に管理することができます。
また、ただ名刺管理を行うだけではなく、その情報をもとに人脈の管理を行うのも、Sansanの特徴。名刺と商談内容を紐づけて記録することもできるので、人と会うことが多い方も、「どの人とどんな話をしたか」きちんと把握しておけます。
さらに、役職変更や部署移動、転職などをプッシュ通知する機能も。
Sansanの契約期間は1年。名刺管理サービスとしてのシェア率は非常に高く、官公庁や大企業をはじめとした多くの企業に導入されています。
コマツ×三菱UFJリースの事例
建設機械を開発するコマツとリース会社である三菱UFJリース(現三菱HCキャピタル)が提携し、2020年に始めたのが、建設機械をICT(情報通信技術)対応にする機器のサブスクリプションサービス。月額制の料金を支払うことで、顧客は保有している建設機器に後付けできるICT対応機器を利用することができます。
この機器を取り付ければ、保有している建材機械をスマート化することが可能に。業務効率化や遠隔での施工管理が叶います。
月額料金は、約4万円〜。
このサービスは、「ICT機器そのもの」というよりも、「建材機械のスマート化」を商品にしたサブスクリプションビジネスのモデルだと言えるでしょう。
(参考:https://newswitch.jp/p/24858)
B2C向け
B2C向けのサブスクリプションサービスには、ユニークなものがたくさん。今回は、その中でも好調なB2C向けのサブスクリプションビジネスの事例を5つご紹介します。
Netflixの事例
B2C向けの代表的なサブスクリプションサービスが、Netflix。月額料金を支払った顧客が、好きな映画やテレビ番組を自由に視聴できるサービスです。
対応デバイスは、テレビやタブレット、スマートフォン、ゲーム機など。インターネット接続が可能なあらゆるデバイスから、映像を楽しむことができます。さらに、作品をダウンロードすれば、オフラインでの視聴も可能です。
月額料金は990円〜とリーズナブル。
コロナ禍で会員が大幅に増加したこともあり、その会員数は世界中で2億764万人(2021年3月時点)にも及ぶと言われています。また、サブスク型動画配信サービスにはいくつかの種類がありますが、その中でもNetflixはシェアNo.1(2021年)。全体の23%以上のシェアを誇り、順調に成長を続けています。
(参考:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN20DI20Q1A420C2000000/
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000108.000013190.html)
Adobeの事例
PhotoshopやIllustratorのソフトで知られるAdobeは、早々にサブスクリプションビジネスを取り入れた企業のひとつ。それまで売り切り型だったこれらのソフトを、2010年代前半から年間契約のライセンス形態に変更しました。
それまでの売り切り型の場合1年半〜2年のサイクルで開発を行っていましたが、サブスクリプション型への以降により短いサイクルでのバージョンアップが可能に。新機能をいち早くリリースできるようになりました。
サブスクリプション型への移行後、ユーザー数はそれまでの数百万規模から数千万の規模へと拡大。他のソフトウェア企業も、サブスクリプションサービスを導入し、今ではそれが当たり前のプランとなっています。
(参考:https://www.businessinsider.jp/post-189531)
キリンホームタップの事例
キリンのキリンホームタップは、ビールのサブスクリプションサービスです。生ビールサーバーとともに、定期的に自宅へ作りたてのビールが届くこのサービスは、ビール好きに好評。コロナ禍の影響もあり、自宅で店のような本格ビールを味わえると、会員数はサービス開始から半年足らずで10万人(2021年8月時点)を突破しました。
キリンホームタップは、ただビールが家に届くだけでなく、ビールの種類や数量を自由に変更できるのが魅力。通年商品だけでなく期間限定のビールも登場するので、1年を通して飽きることなく自宅ビールを楽しめます。
ビールサーバーは基本的に無料でレンタル可能で、月額料金は利用料金とビール代を合わせて月額8,250円〜。料金はビールの量や種類によって変動します。
(参考:https://www.advertimes.com/20210811/article360322/amp/)
KINTOの事例
大手自動車メーカートヨタが提供するのが、自動車のサブスクリプションサービスKINTO。月額料金で、トヨタの自動車に乗れるサービスです。
自動車には多くの維持費がかかるものですが、KINTOの利用料金はその維持費込みの価格。車検代や自動車税、自動車保険代など、自分で自動車を保有する時にかかるさまざまな費用を、利用料金とは別に支払う必要がありません。
車両のラインナップも多く、コンパクトカーからSUV、ミニバン、クーペまで車種も豊富。希望すれば、レクサスの新車に乗ることも可能です。
月額料金は選ぶ車種によって異なりますが、コンパクトカーで約14,000円〜。法人向けのレンタルも実施しています。
利用者数は順調に伸び、2021年6月には約2万人に。若者の車離れが進む中、手軽に自動車に乗れるこのサービスは、20〜30代の若い世代を中心に支持されています。
(参考:https://www.jmrlsi.co.jp/scto/case/2022/kinto.html)
aiboの事例
ソニーのaiboは、1999年に発売され一世を風靡したものの姿を消し、2018年に復活を遂げ今注目されている犬型エンターテイメントロボット。
表情やしぐさが可愛らしいaiboは、ロボットでありながら喜怒哀楽を感じられ、育て方によって性格が変わるのが特徴です。まるで本物の犬と暮らしているように、共に生活する中でaiboも成長していきます。
環境や年齢、体質などのせいで本物の犬を飼えない方でも犬との暮らしを味わえると、女性を中心に人気となっているaiboは、サブスクリプションサービスでも提供されています。
これは、aibo本体と関連サービスを月々11,100円〜利用できるというもの。比較的手軽に利用できるため、30代から70代まで、幅広い世代に利用されています。
一緒に過ごすごとに愛着が増していく犬型ロボットaiboのサブスクリプションサービスは、解約につながりにくく、企業の安定的な収益という点でも有効でしょう。
(参考:https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00005/042300021/)
失敗から見えてくるサブスクリプションビジネスの課題
サブスクリプションビジネスは、失敗に終わるものも多くあります。失敗に終わったサブスクリプションビジネスには、カスタマーサクセスを妨げる以下のような課題がよく見られます。
・利用数規定などの縛りが多く、利用者数が伸びない(解約率が高い)
・使用しないパッケージサービスが多く、解約率が高くなる
・プロモーション不足で利用者数が伸びない
・商品やサービスに魅力がない
・初期投資コストによる圧迫
サブスクリプションビジネスを成功させるには、商品やサービス自体の魅力はもちろん、規定にも気を配る必要があります。サブスクリプションサービスの魅力は、月額料金を支払えば自由に商品やサービスを楽しめること。厳しい規定や既存パッケージに行動を制限されては、消費者にとってのサブスクリプションの魅力は半減してしまいます。
またサービス開始直後から十分な売上を上げることは難しいため、初期投資のコストについてもよく考えておきましょう。
サブスクリプションビジネスは、今後も増えていくと考えられますが、それを成功させるには、消費者目線に立って、本当に魅力のある内容のサービスをリリースすることが大切です。
会社HP:https://luna-company.com/
多数のBtoB向けサブスクリプション(SaaS)事業の立ち上げを成功に導き、それらの事業を数億円規模に成長させた実績を持つ。また、BtoC向けのサブスクリプション事業も立ち上げ、短期間で5万人のユーザーを抱えるサービスを構築した。特に、事業の初期段階での戦略策定や、ユーザー基盤の拡大に向けたマーケティング戦略の構築に強みを持つ。今回の記事では、後藤氏の監修のもと、サブスクリプションビジネスの成功事例やそのメリット、そしてサブスクリプションビジネスを取り入れることで得られる安定した収益構造について詳しく解説されている。