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サービス提供や業務推進のため、ITシステムを運用している企業は多いでしょう。
ITシステムは柔軟で効率的なビジネスを実現する便利なツールです。ただし、これを安全で快適に運用していくには、「システム保守」が必須です。
では、「システム保守」とはどのようなものを指すのでしょうか。
今回は、その概要と契約のポイントについて解説します。
システム保守とは
ITシステムのトラブルに対応し、その修理や点検を行う作業を「システム保守」と呼びます。
現代社会では、さまざまな場面でITシステムが利用されていますが、これには故障や障害などのリスクがあります。安定的なシステム運用を行うには、リスクに対応する役割が必要です。
この役割を果たすのが、システム保守。
システム保守の作業は、突発的なトラブルに対応することがメインとなります。改修を行なってトラブルを解決しながら、それが再発しないように改善作業も実施します。
また、作業ではITシステムのソフトウェアだけでなくハードウェアも対象とし、アップデートやリプレイスまで担うこともあります。
システム運用との違い
システム保守と比較されやすいものに、「システム運用」という作業があります。
これは、ITシステムの安定的な運用のため、監視や管理を行う作業のこと。システム保守が突発的なトラブルに対応するのに対し、システム運用では日常的にトラブルを回避するための監視・管理を行います。
具体例としては、ソフトウェアの稼働を監視したりウイルスの侵入を監視したりする作業が、システム運用にあたります。
ITシステムの安定的な運用には、トラブルに対応するシステム保守とトラブルを未然に防ぐシステム運用の両方の作業が欠かせません。
これらは混同されやすいですが、対象とする作業内容は異なるので注意しましょう。
システム保守の業務内容
システム保守の主な業務内容は、次の5つに分類されます。
・アプリケーションの不具合への対応
・サイバー攻撃やウイルスへの対応
・ネットワーク障害への対応
・機器の点検
詳しく見ていきましょう。
ハードウェアの修理
ITシステムを運用するためのハードウェアには、故障や劣化の恐れがあります。
故障・劣化したハードウェアへの対応は、システム保守の仕事のひとつ。トラブルの原因を突き止めた上で、対象のハードウェアを修理したり部品交換を行ったりして、速やかなシステム復旧を目指します。
ハードウェアが故障するとシステムの運用はできず、企業の業務進行やサービスの提供に支障をきたします。そのため、ハードウェアの修理作業には、迅速な対応が求められます。
アプリケーションの不具合への対応
リリースされた後のアプリケーションやOSに、脆弱性やバグが認められることは少なくありません。これらを放置しておくと、ウイルス感染や不正アクセスなどのリスクは高くなってしまいます。
システム保守では、これらの不具合にも対応します。
必要に応じてアップデートや改修作業を行って不具合を解消し、生じ得るリスクを早期に排除して、システムの安定運用を図ります。
サイバー攻撃やウイルスへの対応
近年、サイバー攻撃やウイルス感染による被害は増加傾向にあります。ITシステムが狙われ、情報が盗まれたりページが改ざんされたりするトラブルも多数発生しています。
サイバー攻撃やウイルス感染については、早期発見・対応が重要になりますが、この対応もシステム保守の業務に含まれます。この場合、システム保守では感染経路の特定やウイルス排除、データ復旧などを実施することになるでしょう。
このようなリスクに速やかに対応するには、システムの監視を行うシステム運用との連携も重要です。
ネットワーク障害への対応
ITシステムで利用するネットワークは、システム運用によって監視されていますが、ネットワーク障害が発生した場合にはシステム保守がその対処を行うことになります。
この作業では、障害の原因を究明し、問題を解消して、システムの復旧を行います。
ネットワーク障害によるサービス停止は多くの人に影響を与えるため、この場合にも迅速な対処が求められます。
機器の点検
システム保守では、機器の点検も行います。
劣化した機器をメンテナンスしておくことで、トラブルの発生を未然に防ぐことができます。
また、システムやデータの点検を行い、必要に応じて修正を行うこともあります。
トラブルを未然に防ぐための監視・管理は基本的にシステム運用の範疇ですが、保守でもその対応の一部を担っています。
システム保守の必要性
ビジネスにおいて、ITシステムが重要な役割を担うにつれ、システム保守の必要性も大きくなっています。
なぜなら、システム活用には必ずリスクがあるためです。
近年では、サイバー攻撃が巧妙化し、不正アクセスや情報漏えいの被害が増加しています。また、インターネット利用者が増えて障害が起こったり、機器の故障につながる自然災害が発生したりする可能性も少なくはありません。
このような場合には、迅速な対応が何より大切になります。それを担うのが、システム保守です。
システム保守体制が整備されていなければ、緊急時のトラブル対応は後手に回り、結果として被害が拡大する恐れがあります。
システム運用による監視で全てのトラブルを未然に防ぐのが理想ではありますが、それは不可能です。
トラブルによる被害を最小限に収めるためにも、システム保守にはコストをかける必要があるのです。
システム保守はどこに依頼すればいいのか?
システム保守には、自社で専用部署を設置するケースと外部委託を行うケースがあります。
外部委託を行う場合の委託先には、次の2種類の選択肢があります。
②MSP(マネージド・サービスプロパイダ)
ひとつめは、対象のITシステムの開発を依頼したシステム開発会社に依頼する方法。多くのシステム開発会社では、開発後の保守・運用も担っています。
開発から保守までトータルでひとつの会社に任せられるため、自社でのシステム管理の手間を減らすことができる点がこの方法の魅力です。
またMSPとは、ITシステムの管理を代行するプロバイダのこと。
監視・運用・保守を専門としているため、トラブル時の迅速な対応が期待できます。
システム保守契約をする際のポイント
システム保守の委託では、自社ニーズにあった会社と契約することが大切です。特に次の3つのポイントには注意し、契約内容をよく確認するようにしましょう。
対象範囲・業務を明確にしておく
契約に際しては、システム保守として、「どの範囲の業務を委託できるのか」明確にしておくことが大切です。
保守の対象は、会社によって異なります。そのため、求める保守業務をしてもらうには、自社のニーズと委託先の考える保守の範囲をすり合わせる作業が必要です。
この作業を明確に行うには、自社のニーズを明確にしておくことも重要でしょう。
システム保守の業務は多岐に渡るため、どの業務を任せたいのか具体的に提示するようにしてください。
契約期間・更新についてよく確認する
システム保守契約は、長期契約を前提にしていることが多いです。
一度契約するとその内容を変更するのは難しいため、契約期間や自動更新などの契約項目については、必ず確認しておくようにしましょう。
また、必要な時には契約を変更できるよう、契約内容見直しに関する条文を契約に追加するのもひとつの方法です。
費用の適正を判断する
システム保守の委託には、コストがかかります。この価格設定は会社によって異なりますが、むやみに高い費用を請求されないためには、契約前にそれが適正価格かどうか見極める必要があります。
一般的な適正価格の相場は、開発コストの15%程度(年間費用)。サービス内容によって相場には差が生まれますが、これを目安に判断しましょう。
まとめ
ITシステムの活用が一般的となり、またシステムに対する脅威が蔓延する現代において、システム保守は重要な役割を果たしています。この作業にコストをかけず、日頃から保守体制を構築しておかなければ、トラブル発生時に迅速な対応ができず、結果として大きな被害を受ける可能性があります。
システム保守を請け負う会社は多数ありますが、委託にあたっては、ニーズに応じた質の高い保守業務を行う会社を選ぶことが大切です。
契約内容はよく確認し、後悔のない委託契約を行いましょう。